劇団のナンバーワンの付き人になった俺

付き人

あれから三か月、付き人として家の掃除などの家事全般や、事務処理、公演へ同行しお世話したりと忙しい日々の中、遥久さんに稽古もつけてもらっていたが、やっぱり俺はセンスが無いのだろうか、上達した気がしない。
遥久さんは気を遣ってくれているのか凄く褒めてくれる、褒めて伸ばすタイプかな。

「遥久さん、俺これ以上出来そうも無いので、付き人を辞め、、、」
「ダメ、僕のこんなとこ見せれるの伽耶くんしかいないんだから、絶対ダメ」
ソファーにもたれて、僕の髪をくるくると指で弄っている。
「伽耶くんの家事スペックが凄すぎて、他の人には任せられない、この短期間で僕の全てを網羅してるし」
朝は弱いからコーヒーは濃いめとか、ハンバーグが好きとか、舞台でほんの少し失敗しただけで凄く落ち込むけど、俺をぬいぐるみにして抱っこすると元気になるとか。
最後のだけ、何か違う気がするが。
今も横から抱きつかれてる。
「伽耶くんチャージ中」
同居して一週間で、俺の遥久さんの王子様のイメージは崩れている。
だって、俺に、すっごく、甘えてくる。
最初は隣に座ってた、肩に触れられたり、髪を弄られたり、膝枕とか、だんだんエスカレートして、今は抱きついてチャージされてる。
憧れてる人からこんなことされたら、憧れが、恋に、変わりそう、、、。
そしたらここを出なきゃな、下心持ってたら居られない、いつか押し倒しちゃいそうで、ん？俺が押し倒していいのか？逆か？
まあ、こんな平凡ど真ん中の俺には、そんなラッキーハプニングは起きない。
俺は彼女の代わりなんだろう、ナンバーワンには彼女を作ることも許されないのだろうか。
王子様には性欲は、、、似合わないか。
でもファンの女の子は甘い言葉を囁かれたり、抱きしめられたりしたいんだろうな。
あ、俺もファンだった、男だけど。

抱きしめられて、ヤバい、我慢、いい匂い、勃つな息子、落ち着け。