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王子歌劇団

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今から十年前、王子に歌劇団が出来た。
王子歌劇団、単純?それはいいでしょう。
男性だけの、男性しか出てこないミュージカルを演じる、王子歌劇団。
最初は小さい劇場だった、しかし、いろんなイケメンが揃った王子歌劇団はあらゆるSNSで拡散され、今は大きな劇場で公演出来るまでに成長した。
そして今年、劇団員を増やすべく、学校を開設する。
一期生は5人前後の予定。
選考会は順調に進み、いよいよ最終選考の日、20人から選ばれる。
なんと俺もその中に入ってる。
こんな平凡顔で歌もダンスも凡人並なのに。
今回で落ちると思うが、最終まで選ばれたことが今後力になると思う。

20人を5グループに分けて、グループごとに審査が行われる。
グループに一人、背が高く歌もダンスも一流なイケメンが入っている、多分この五人が選ばれるんだろうな~。
後悔しないように俺も今出来る精一杯を頑張ろう。
俺のグループは最後だった。
他のグループの審査を見ていたが、やはりあの四人が頭二つ分くらい抜きん出ている、すぐに舞台に立てそうなレベル。
俺のグループの時に歌劇団ナンバーワンの遥久(ハルク)が現れた。
審査の歌とダンスの手本と演技の相手役をするという。
最初はこのグループのエースと。
イケメン×イケメン、、、眼福。
他の人もそれなりにイケメンなので、俺は密かに楽しんで、観客になってしまっていた。
最後の俺の番、名前を二度呼ばれ、焦って立ち上がったら少しよろける。
遥久さんが支えてくれた。
「あ、すみません、ありがとうございます」
「最後だったから身体が固まっちゃったかな?少しほぐす?」
「いえ、大丈夫です、遥久さんの貴重な時間を俺で無駄には出来ません」
「そんなの、今日はこれで終わりだからいいよ、軽くストレッチしよう」
「あ、はい、すみません」
二人で身体をほぐした。
「じゃあ、始めよう」
ほぐしたところで、俺の腕が上がるわけではない、やっぱ落ちたな、でも憧れの遥久さんと一緒に出来たことは、一生の思い出になった。
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