ノーマルニートな俺、家の勝手口の向こうの異世界で、欠食児童な勇者の孫のへなちょこ性別不明娘の相棒になりました

もにもに

文字の大きさ
上 下
74 / 79
第五章:アヴトリッヒ家の華麗なる食卓(全8話)

アヴトリッヒ家の華麗なる食卓(3/8)

しおりを挟む







 え、まて、待て、

 と言い止める暇も無いほど、の……その次の瞬間に、


 とりあえず、盾は持ったが……



「たぁ!」


「はぁ!」


「やぁっ!」



――へげぇっ?!


 小柄でジャリ相応のすばしっこい……失礼、
 お子さまなので体力いっぱい夢いっぱい、あたまからっぽ元気いっぱいなルーテフィアが繰り出す、木剣の連撃!

 手数がおおいそれを、連続して……盾で、受けるしかない俺である。

 ルーの剣筋……というやつは、果たして良なるか不可なるか。
 素人な俺には判別付かない。
 が、しかしこの素人の構える盾に連続して吸い込まれていくとなると、俺の負担は中々消耗し、
素早く向けられる切っ先は、こちらからすると危なっかしいこときわまりない。


 受ける度に、俺の構える木の盾ががっこんがっこんいって、今にも自壊しそうだった。

 それから盾の裏の持ち手(グリップ)を握る俺の手にも衝撃がほとばしって、手がいたぁい……




「てぇ!」


「やぁ!」



「へ、へぇっ、へふぅ……」


 ちょーっとマジでギブだ…。
 ここまで何分たっただろう。永劫かのように長く感じるが、実は、まだ五分くらいしか経ってないんじゃないか?

 ルーのやつは手加減というものがない。
 興奮で息を切らして顔を上気させながらのその目と表情は、その色白い柔肌から汗を散らしているのもあって、もうキラキラと輝いていながら、である。
 俺ちゃんの体力はもうゼロよ……


「ルー、おまえ、いいかげんに……」


 いいかげんにしろ、という言葉を発し掛けた俺に、その瞬間、



「はぁ!」


「ぐぉっ!」


 シールドの縁で滑ったルーの木剣のひと薙ぎが、
 俺の腹に直撃!


 ゴス、っという鈍い音が響いた。


「えぼっ、えぼっ」


 ぐぉぉぉぉ……

 悶絶しながら地面に転がり落ちるしかない!
 俺は倒された。



「たおせた!」


 勝ち誇るルー。


「フフーン、どうですゆうた、ボクつよいでしょ!」

「ぐ、ぐぬぅぅぅぅ……」


 野原に転がった俺の目と、ルーの殊勝な瞳が合った。

 ルーのやつはフフーン、というどら猫のような顔で、まるでこちらを、苦労せず手に入れた、泥の中の鯉を見やるかのような目線で目を向けてくるばかりである。

 そればかりか、


「さぁ、ゆうた、立ち上がってください。二回戦目です!」

 そのうえルーはまだまだ元気いっぱいだった。
 追い打ちを掛けるルーの無邪気な宣言。


「カッチーン☆」


 おれちゃんプッツンきた。



「……チェストォ!」


「えっ」


 怒りというにはやや子供じみたアリバイの俺のほとばしりのまま、
 一瞬で俺は直立して、目の前に立ちふさがるようにして、
 ルーの目の前に立ってやる。

 直後は早かった。
 その無配慮で脳味噌お花畑なバカなルーの目前で、俺は装備した盾を、武装解除!



「アーマーパージ……!」



 地面に、盾が転がった。




「ふ、ふぇぇぇ~~~ん……」


「おまえ! あほか!」




 そこから俺は数分間ほど、ルーの前で説教をする体制に入っていたのだが、

 それよりも早く、




「ゆうた、つぎやろっ!」




 話がつうじていない……

 俺は頭を抱えるしかなかったが、ふと、思いついたことがあった。



 そうだ、テレビゲームやろう。








 さて、場所は我が道寺橋ハウスに移って、









「あそび、ですか?」


 おれのおかんがこいつのメシを作っている間、 
 少しばせながら、この異世界っ娘の無柳を慰めてやろう、とする、
 つまるところのあやしつけ……ならぬ、
 俺の配慮、というものである。





「なんですか、これは?」


 パカァ……、と開いた。


「なにこれ!」



 ぷれすて、である。


 それから、うぃー、と、FC/SFC互換機もある。



「ゲェム、キ…………」



 ルーは、恐る恐る、その家庭用ゲーム機へと……指を伸ばして、



 触った瞬間、




「?!!!!!!!!!?ぁ」




 バッチーン! と、頭のくせっ毛が、総立ちに跳ね上がった。



「ぁ、あ、ぁ、あぁ、ぅ、す…………」




「なんだ?」




「す、……すっごい!!!!」



 うむ?よくわからんが。

 そうなのだ、ルーよ。これが、我が世界の誇る、家庭用電子機器、というやつなのだ!


 という俺の声はとどいているかどうかだったろうが、ルーのやつは、そういってゲーム機たちに目を輝かせた訳だったが……




 まあいいだろう。懐っこいかわいいショタっ娘(?)をかわいがる、というのは自分としてもまんざらではないからだ。





 定年後に遊ぶ目的で買い溜めているという、
 親父の秘蔵ソフトにご役目いただいた。



 新作最新ゲームではないのは、そこはご容赦の程を。


 ……ほか諸々とあったのだったが、これらのビデオゲームなどを、俺とルーはものすごい勢いで、その日の一日中、やりこんでいった……




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜

駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。 しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった─── そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。 前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける! 完結まで毎日投稿!

四条雪乃は結ばれたい。〜深窓令嬢な学園で一番の美少女生徒会長様は、不良な彼に恋してる。〜

八木崎(やぎさき)
青春
「どうしようもないくらいに、私は貴方に惹かれているんですよ?」 「こんなにも私は貴方の事を愛しているのですから。貴方もきっと、私の事を愛してくれるのでしょう?」 「だからこそ、私は貴方と結ばれるべきなんです」 「貴方にとっても、そして私にとっても、お互いが傍にいてこそ、意味のある人生になりますもの」 「……なら、私がこうして行動するのは、当然の事なんですよね」 「だって、貴方を愛しているのですから」  四条雪乃は大企業のご令嬢であり、学園の生徒会長を務める才色兼備の美少女である。  華麗なる美貌と、卓越した才能を持ち、学園中の生徒達から尊敬され、また憧れの人物でもある。  一方、彼女と同じクラスの山田次郎は、彼女とは正反対の存在であり、不良生徒として周囲から浮いた存在である。  彼は学園の象徴とも言える四条雪乃の事を苦手としており、自分が不良だという自己認識と彼女の高嶺の花な存在感によって、彼女とは距離を置くようにしていた。  しかし、ある事件を切っ掛けに彼と彼女は関わりを深める様になっていく。  だが、彼女が見せる積極性、価値観の違いに次郎は呆れ、困り、怒り、そして苦悩する事になる。 「ねぇ、次郎さん。私は貴方の事、大好きですわ」 「そうか。四条、俺はお前の事が嫌いだよ」  一方的な感情を向けてくる雪乃に対して、次郎は拒絶をしたくても彼女は絶対に諦め様とはしない。  彼女の深過ぎる愛情に困惑しながら、彼は今日も身の振り方に苦悩するのであった。

処理中です...