ノーマルニートな俺、家の勝手口の向こうの異世界で、欠食児童な勇者の孫のへなちょこ性別不明娘の相棒になりました

もにもに

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第一章:黄金色の森でこんにちわ(全18話)

黄金色の森でこんにちわ(3/18)

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     * * * * *






「よいせっ、と」



 足首ひとつ分の段差が、扉の下端と地面の間にはあったので、足に古傷を持つ俺は、慎重に脚を地面へと運んで降ろした。


 


 さて、作業開始だ。

 そのまま扉を閉じることは無く、そのドアノブに、百円ショップで売っていた安いロープを何本か繋げたやつの一端を括り付けて、

 もう片方の一方を、付近にあった樹の一本に、捲きつける形でくくりつけてやる。


 

 これで、準備は完了だ。

 何をしたかって? 異世界の存在のパッチテスト、みたいなもんだ。

 ロープには余裕を持たせてあり、このまま扉を閉じることもできる。

 これで帰った後で扉を閉じた後も、もう一方の異世界側にはロープが括り付けられたまま。


 翌朝どうなっているかは分からないが、再び扉を開けてその向こうを見た時。

 ロープの通った異世界がそのままだったとしたら、今後も遊び甲斐があるだろうな、ってわけさ。




「よいしょ、っと」


 さらに、このロープにカニカン付きの別のロープを掛けて接続してやり、俺の腰にも片一方が掛かったこれによって、命綱の準備は完了、と。



 余裕を持たせて、腰のホルダーには50メートル余分程の巻きがある。


 これで多少の探索は可能になったわけだが、さて。




「ふぅっ、」
 


 それはさておいて、作業の終わったおれは、数歩ほど、足を進めて、地面の感触を確認する。



 若干の傾斜地、山に面した森なのだろうか。



 ふかふかな地面には、見渡す限り金色の葉が散らばっている。




「やっぱり、秋の時期なのか……?」




 落ち葉がいっぱいで、見渡す限り黄金色の森が広がっていた。

 扉一枚隔てた向こうは、夏の始まりを迎えたばかり、だというのに、だ。


 

 気を構えて、歩き始める。



 やきいも、なんてしたらおいしそうだ。そう思ってしまうくらいに、どこまでも落ち葉が積もり上がっている。


 腹が減ってきたので気紛らわしに、目線を上へ持ち上げる。

 顔を上げて見渡せば、そこには、森の光景が、果てることなく続いている……ではないか。





 立ち並ぶ木々は、いずれも黄褐色に葉の色を染め上げている。

 気のせいか、日本の木々とは多少生え方や形状が違うような気もする。


 枝に着く木の葉の遠くを見てみる。

 その向こうの空は青空で、どこまでもひろがっていて、雲一つない。


 

「やっぱり定番だとしたら、昔のヨーロッパ風ファンタジー世界、ってことなんだろうなぁ」


 町に出たら、どうしようか。

 村かもしれないが、その時はどうしようか。


 まあ何かあったら一目散に逃げてくればいいのかも、とか。



 そう取り留めもなく考えながらぼやいてみるが、どうにも、だ。

 原因は一つあった。




 こう足場が不安定だと神経を使う。


 

 落ち葉と土が積もった地面は中々の曲者で、けっこう細かい起伏が入り組んだ地形をしていたのだ。


 ただでさえ斜面がちということもあって、足に負担が来る。


 ぱっと見、では平坦だと思ったんだが……


 

 


「……ん?」

 


 それに気づいたのは、そんな状態で三十メートル程、進んだころのことだったと思う。
 

 地面を警戒していた目を、ふと、持ち上げた瞬間だった。




 俺は訝しんだ。


 

 

 遠くに、人間のような姿が見えたからだ。




 

 そして、その姿は……うつぶせに、倒れている。

 


 

 落ち葉の上で人が転がっている光景だった。


 




「やきいもでも掘ってるのか?」

 


 

 そう思いながら、近づいてみることとした。


 


 


 

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