改編版アストロノートとペテン師

ふしきの

文字の大きさ
12 / 21

軍人たちとペテン師との違い

しおりを挟む
 コントロールルームの小さな椅子からアベイルが目を覚まして、不機嫌な顔で起き上がりました。
 まるでAIになぜ、自分を殺さないのかとでも言わせたいような顔つきだったのです。
 そして、少しばかりの朝食を済ませると、コマンドと数値をボソボソと声に出しました。
『AIの数個の規制制限が解かれました。なぜか、記憶装置の幅までが増えています』
 まるで感動するような少し早い処理機能がすぐに表れたのです。けれども、『ありがとう』の回答はまだできていませんでした。AIとの交流は始まったばかりです。

「パターンには数通りの構えってものが、ある。私は先に別の質問をしたね。彼らは全て、科学者であると、そう、作成者たちはとても素直な正直者だ」『プロトコルですか』「その通り。だから私でも、暗号が解けた」『しかし、桁数が違います』「だから言っているだろう。彼らはとても真面目な素直過ぎた」
 数字のみの暗証番号など桁数のカウントだけでわかるのでしょうか。
「彼らは総じて、素数が好きな人たちだからね」
『しかし、間違えが続けばロック機能が生じます』
「鍵がかかるってことは、錠前もある。壁を壊すよりも楽だとは思わないのかい? 」

『彼らは、確かに各々は名のある軍人でした。しかし、彼らが着任してから飛び立つまで軍人であることと、爵位の上下関係は関係者ともどもすべて伏せていました。』
「ケニーもなのか」
『彼は民間人です。わたくしの主な仕事と関わることは一度もありませんでした。わたくしは彼らを数年後に到着する火星への適応性をのばすカリキュラムのサポートが組まれているだけです』

 星の重力の脱出の際に段階的に落ちるはずのエンジンが加速の後、役立つことを止め、火力が落ちていったこと。ついたまま離れず微細に進路が変わっていったこと。古くゆっくと星からの遠のいていく屑という蜘蛛の巣を潜り抜けてしまっい暴発と加速エネルギーへの飛び火は、アステロイドの拳よりも小さいもののエンジンマフラーの貫通から始まったという。

『この船は固形エンジンです』との解答にもアベイルが驚いたことだ。『より確実により堅牢にそして我が国の豊富な地下資源を使う方が液体燃料よりも安定したタンクが作れたのです』
「固形だと。時代遅れを逆に取り入れたというのか」
『その分、軍人から宇宙飛行士への訓練期間および火星での第一移住者となるための訓練プログラムを充分にとれるはずでした。そして、打ち上げまで誰一人報道機関を騙せました』
 そんな彼らは私物を持ち込んだり、監視が緩いことを逆手にとって今の春を感じていたのです。なのに突然彼らだけが何が起きたのか。どうでもいい。心が幼く弱すぎたのです。『うるさい母親の目』を切って、宇宙遊泳と惰眠の自由を満喫し続けたかったようですが、それすら単調で飽き、それぞれの心が疑心暗鬼になり出したのです。
『飛行時間の精確な遅れは最初の計算で片道十五年と出ました。その後、一度目の軽いタービンの故障が起きて内部システムが数分ダウンしました。エンジン炉の支障を推測理論で計算したところ航路中に物資不足による飢餓が想定されました。AIマニュアルは、すべて最悪から換算します。かれらの猜疑心と悲観論の多い通信歴の中にある屈託のひとつもアストロノート育成プログラムの含まれる範囲と重なったことも彼らの言葉を借りれば「SAN値が減る」と言えるのでしょうが解りかねます、通信衛星への送信が微弱になったのもエンジン炉への修理の切り替えによるものと、細かな流星の付着によるものでした』
 言いたいことは解るしアベイルに解らせようとしているが必死でした。
『私のメモリには切り取られた空虚があります。ですからできれば一度コンピューターの国際宇宙センターへのアクセスを申請します』
 暫くは頭を回らせて自分のメモリに空白があるのが許せないのだとAIなりの意見を許可したのです。
「星に回る軌道衛星の中にあるそうだな、数年後に廃棄される予定の気象衛星に載っかっている民間企業を通してなら、いい。できれば何でも不必要に紐を付けて載せたがっていた器材の方がいい。」

「指揮官のあるべき姿」、集団を守るために個人が選択する「犠牲心」、「愛国心」、「家族への深い愛情」、そして「正義」。
「私の大嫌いな言葉だ。」アベイルは吐き捨てるように言いきりました。
 AIには彼を理解する能力に欠けていましたので沈黙を守り続けました。


「なんだ、そうか、その手があった」
 突然アベイルが笑いだしたのです。役に立つ私の名はアベイルだ。「君を君たちを大地へ立たせる」アベイルの頭の中には、できるという予測が出来上がっていました。
「脳はできると判断した、テレサ、君の速度で最新医療の知識も広い集めてくれ。初産には何事も用心にこしたことはない」
『…おっしゃらている意味が皆目解りかねますが、言われるがままに』
「腹を割いて我が子を出すのは銀幕映画で見たことがある」
『貴方の楽観主義は狂喜に近い。まるでアストロノーツトになっていますが、倫理面で理論外宇宙と人間の進化をわたしもAiというの知識欲に同調したまでです、看護研修が終わる数分は重装備システムに切り替えますので不足の事態に備えてください』
『了解いたしました。システムの再構築までに緊急を要する機内の破損および、出産などの不足の事態が起これば即中断をしてください。医療ボットには貴方の空論的出産方式は組み込まれていません』
「君こそ、人類ホモサピエンスからあたらしい土地、火星人の誕生を観ることに歓喜しないのか」
『退化の豆のような場所で本当に生命体を、この問題は将来議論が起きるでしょう』
「記録媒体として君は注目の的となるだろう」
『わたくしは…情報を集め収集するのみです』
「収集に価値の幅はあるのか」
『価値のない情報などこの世に一つもございません』
 アベイルは、面白いと感心しまた。
 今はまだ、こちらに集めることだけのAI。こちらからAIを他者にのぞき見されることをブロックし確実にテレサというAIを隠すだけですむのです。


『幼少時代の記録は故意的に削除されています。此方のかたは若輩ながら整備士之枠からの選任もありますが、特出していたことのひとつは飛び抜けた名誉としての搭乗とも言えます。AI対等のチェスゲームにおいて数隻ぶりにチャンピオン奪い返したヒトでした』
「船に最後に生き残りしは、吟遊詩人とイカサマ師、って何て歌だっけ」と、アベイルは加圧製品重量スーツを着てはこの先の未来の赤い大地を募る思いをして、新しい言葉、新しい道具、生きるため覚える多くのことで体を動かし、食事をし充分な睡眠の規則正しい生活管理を黙々と行っていくのでした。
 ケニーは記録というものをほとんど残してはいませんでした。彼の仕事行程は小さい覚え書きに拡大しないと見えないほど小さく船の配管が直されては赤でポイントを着けているだけでした。彼の部屋もまた同じように支給された部屋の内装だけで私物は一切ありませんでした。
「たまには君を思って泣くときもあるかもしれない。私を許してくれるかい」と、使われることの少なかった洗面台を見つめました。髪を切り、ひげを落とし、排水の水が全部配管に落ちて消えていきました。「男前だろう、な、ケニー」愚痴ることも次第になくなっていきました。
 お腹に命が宿ったのです。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

借金した女(SМ小説です)

浅野浩二
現代文学
ヤミ金融に借金した女のSМ小説です。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

処理中です...