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ティンポラス編
11 料理店と衝撃の事実
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(……すげぇ美味い。)
オレは一心不乱に、『筋肉ダルマ』の本日のおすすめ料理にがっついていた。
店の名前を聞いた時は地雷臭しかしなかったが、今は目の前にあるスープの香りが幸せを運んでくる。
なんだろう、この感じ。
「喜び」だ。これは久しく忘れていた「喜び」ってやつだ!
「お客さん、そんなにがっつかなくても料理は逃げませんよ。引っ掻けないように気をつけてくださいね。」
この店の店主らしきドワーフの女性が話しかけてくる。
もの腰低く優しい声でオレに接してくれるこの店主はオレのイメージしてたドワーフとはだいぶ異なった容姿をしていた。
端的に言って可愛い。うん、シンプルに可愛い。
白髪に褐色肌、民族衣装っぽい装い。うむ、どストライクである。
オレのイメージしてた髭もじゃのゴツいおっさんドワーフはどこ行った?
美人さんドワーフ店主に美味すぎる料理…
あぁ、この料理店、なんというか……尊い!
「そうだ、夢中で食べてて聞くの忘れてましたけど、これってなんていう料理なんすか?」
「はい、こちらは『オリモノ海洋のゲテモノスープ』という料理です。」
(ん?)
「オリモノ海洋でとれたサーモナイトの死骸、レッサーフィッシュの糞尿、リョウショクギョの内臓など、一般に“ゲテモノ”と呼ばれる食材をふんだんに使用した一品です。」
(よし、聞かなかった事にしよう。)
「ま、まぁ実際美味しいし、別にいいか……」
オレはスープを飲み干すとゆっくり席を立った。
「ご馳走様でした。これいくらですか?」
「銅貨10枚になります。」
「え? 安くないですか!?」
(この世界の硬貨の価値基準はいまいち把握できてはいないが、服屋のおっさんにはボロい黒フードを銅貨20枚で売りつけられ、豚野郎にいたっては雑草が金貨100枚だとかほざいてやがった。それに比べればめちゃめちゃ良心的な価格なのではないか!?)
「そうですか? 妥当な金額だと思いますよ。」
「くそ、服屋のじじい!やっぱりぼったくってやがったか!」
「フフッ、どうやら街で相当ぼったくられてしまったようですね。」
「はぁ、笑い事じゃねぇっすよ…」
「まぁでも、どうか彼らを責めないでやってください。彼らの生活は本当に貧しいものですから。」
(……それはまぁ、嘘じゃないだろうな。あんな街見せられたら何も言えねぇよ。)
「特に四天王が互いに支配領域を勝手に画定し、強引な侵攻と統治を繰り返すようになってから、人々の暮らしはますます苦しいものとなってしまいました。」
店主さんは拳を強く握りしめる。
「私たちにもっと力があれば……」
「……ちなみになんすけど、もしその四天王を倒した場合はどうなるんすか?」
「ありえない話ではありますが、そうですねぇ……おそらく彼らの支配領域が白紙化されて、所有者のいない自由土地ができあがるのではないでしょうか? 支配といってもそれは、彼ら四天王が勝手にその土地に付与した概念でしかありませんから、彼らが死ねば必然的にその効力は失われ、何もなかった頃の、ありのままの土地が現れるはずです。」
「てことは、その土地は人間やドワーフが管理することもできるようになるってことですか?」
「そうなりますね。まぁ四天王を倒すとか夢のまた夢ですよ、彼らの元にはたくさんの奴隷と化した人々がいるので何とか助けたいのですが、私たち程度の力ではどうにも……」
「えっと、この話の流れで大変言いにくいんですけども……」
「どうされました?」
「オレ……その四天王ってやつ、数時間前に殺ってます。」
「え? またまたご冗談を~。私を励まそうとしてくれたんですか?」
「いや、嘘じゃないっす。」
「……マジですか?」
「はい、マジっす。」
「うぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!?????」
ドワーフの店主は目ん玉が飛び出る勢いで大声をあげた。
「クローディアとスカーレットって奴なんすけど…」
「しかも二人ぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!?????」
脳の処理が追いつかなくなったのか、店主さんは泡を吹いてそのまま気絶してしまった。
オレは一心不乱に、『筋肉ダルマ』の本日のおすすめ料理にがっついていた。
店の名前を聞いた時は地雷臭しかしなかったが、今は目の前にあるスープの香りが幸せを運んでくる。
なんだろう、この感じ。
「喜び」だ。これは久しく忘れていた「喜び」ってやつだ!
「お客さん、そんなにがっつかなくても料理は逃げませんよ。引っ掻けないように気をつけてくださいね。」
この店の店主らしきドワーフの女性が話しかけてくる。
もの腰低く優しい声でオレに接してくれるこの店主はオレのイメージしてたドワーフとはだいぶ異なった容姿をしていた。
端的に言って可愛い。うん、シンプルに可愛い。
白髪に褐色肌、民族衣装っぽい装い。うむ、どストライクである。
オレのイメージしてた髭もじゃのゴツいおっさんドワーフはどこ行った?
美人さんドワーフ店主に美味すぎる料理…
あぁ、この料理店、なんというか……尊い!
「そうだ、夢中で食べてて聞くの忘れてましたけど、これってなんていう料理なんすか?」
「はい、こちらは『オリモノ海洋のゲテモノスープ』という料理です。」
(ん?)
「オリモノ海洋でとれたサーモナイトの死骸、レッサーフィッシュの糞尿、リョウショクギョの内臓など、一般に“ゲテモノ”と呼ばれる食材をふんだんに使用した一品です。」
(よし、聞かなかった事にしよう。)
「ま、まぁ実際美味しいし、別にいいか……」
オレはスープを飲み干すとゆっくり席を立った。
「ご馳走様でした。これいくらですか?」
「銅貨10枚になります。」
「え? 安くないですか!?」
(この世界の硬貨の価値基準はいまいち把握できてはいないが、服屋のおっさんにはボロい黒フードを銅貨20枚で売りつけられ、豚野郎にいたっては雑草が金貨100枚だとかほざいてやがった。それに比べればめちゃめちゃ良心的な価格なのではないか!?)
「そうですか? 妥当な金額だと思いますよ。」
「くそ、服屋のじじい!やっぱりぼったくってやがったか!」
「フフッ、どうやら街で相当ぼったくられてしまったようですね。」
「はぁ、笑い事じゃねぇっすよ…」
「まぁでも、どうか彼らを責めないでやってください。彼らの生活は本当に貧しいものですから。」
(……それはまぁ、嘘じゃないだろうな。あんな街見せられたら何も言えねぇよ。)
「特に四天王が互いに支配領域を勝手に画定し、強引な侵攻と統治を繰り返すようになってから、人々の暮らしはますます苦しいものとなってしまいました。」
店主さんは拳を強く握りしめる。
「私たちにもっと力があれば……」
「……ちなみになんすけど、もしその四天王を倒した場合はどうなるんすか?」
「ありえない話ではありますが、そうですねぇ……おそらく彼らの支配領域が白紙化されて、所有者のいない自由土地ができあがるのではないでしょうか? 支配といってもそれは、彼ら四天王が勝手にその土地に付与した概念でしかありませんから、彼らが死ねば必然的にその効力は失われ、何もなかった頃の、ありのままの土地が現れるはずです。」
「てことは、その土地は人間やドワーフが管理することもできるようになるってことですか?」
「そうなりますね。まぁ四天王を倒すとか夢のまた夢ですよ、彼らの元にはたくさんの奴隷と化した人々がいるので何とか助けたいのですが、私たち程度の力ではどうにも……」
「えっと、この話の流れで大変言いにくいんですけども……」
「どうされました?」
「オレ……その四天王ってやつ、数時間前に殺ってます。」
「え? またまたご冗談を~。私を励まそうとしてくれたんですか?」
「いや、嘘じゃないっす。」
「……マジですか?」
「はい、マジっす。」
「うぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!?????」
ドワーフの店主は目ん玉が飛び出る勢いで大声をあげた。
「クローディアとスカーレットって奴なんすけど…」
「しかも二人ぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!?????」
脳の処理が追いつかなくなったのか、店主さんは泡を吹いてそのまま気絶してしまった。
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