13 / 33
ティンポラス編
11 料理店と衝撃の事実
しおりを挟む
(……すげぇ美味い。)
オレは一心不乱に、『筋肉ダルマ』の本日のおすすめ料理にがっついていた。
店の名前を聞いた時は地雷臭しかしなかったが、今は目の前にあるスープの香りが幸せを運んでくる。
なんだろう、この感じ。
「喜び」だ。これは久しく忘れていた「喜び」ってやつだ!
「お客さん、そんなにがっつかなくても料理は逃げませんよ。引っ掻けないように気をつけてくださいね。」
この店の店主らしきドワーフの女性が話しかけてくる。
もの腰低く優しい声でオレに接してくれるこの店主はオレのイメージしてたドワーフとはだいぶ異なった容姿をしていた。
端的に言って可愛い。うん、シンプルに可愛い。
白髪に褐色肌、民族衣装っぽい装い。うむ、どストライクである。
オレのイメージしてた髭もじゃのゴツいおっさんドワーフはどこ行った?
美人さんドワーフ店主に美味すぎる料理…
あぁ、この料理店、なんというか……尊い!
「そうだ、夢中で食べてて聞くの忘れてましたけど、これってなんていう料理なんすか?」
「はい、こちらは『オリモノ海洋のゲテモノスープ』という料理です。」
(ん?)
「オリモノ海洋でとれたサーモナイトの死骸、レッサーフィッシュの糞尿、リョウショクギョの内臓など、一般に“ゲテモノ”と呼ばれる食材をふんだんに使用した一品です。」
(よし、聞かなかった事にしよう。)
「ま、まぁ実際美味しいし、別にいいか……」
オレはスープを飲み干すとゆっくり席を立った。
「ご馳走様でした。これいくらですか?」
「銅貨10枚になります。」
「え? 安くないですか!?」
(この世界の硬貨の価値基準はいまいち把握できてはいないが、服屋のおっさんにはボロい黒フードを銅貨20枚で売りつけられ、豚野郎にいたっては雑草が金貨100枚だとかほざいてやがった。それに比べればめちゃめちゃ良心的な価格なのではないか!?)
「そうですか? 妥当な金額だと思いますよ。」
「くそ、服屋のじじい!やっぱりぼったくってやがったか!」
「フフッ、どうやら街で相当ぼったくられてしまったようですね。」
「はぁ、笑い事じゃねぇっすよ…」
「まぁでも、どうか彼らを責めないでやってください。彼らの生活は本当に貧しいものですから。」
(……それはまぁ、嘘じゃないだろうな。あんな街見せられたら何も言えねぇよ。)
「特に四天王が互いに支配領域を勝手に画定し、強引な侵攻と統治を繰り返すようになってから、人々の暮らしはますます苦しいものとなってしまいました。」
店主さんは拳を強く握りしめる。
「私たちにもっと力があれば……」
「……ちなみになんすけど、もしその四天王を倒した場合はどうなるんすか?」
「ありえない話ではありますが、そうですねぇ……おそらく彼らの支配領域が白紙化されて、所有者のいない自由土地ができあがるのではないでしょうか? 支配といってもそれは、彼ら四天王が勝手にその土地に付与した概念でしかありませんから、彼らが死ねば必然的にその効力は失われ、何もなかった頃の、ありのままの土地が現れるはずです。」
「てことは、その土地は人間やドワーフが管理することもできるようになるってことですか?」
「そうなりますね。まぁ四天王を倒すとか夢のまた夢ですよ、彼らの元にはたくさんの奴隷と化した人々がいるので何とか助けたいのですが、私たち程度の力ではどうにも……」
「えっと、この話の流れで大変言いにくいんですけども……」
「どうされました?」
「オレ……その四天王ってやつ、数時間前に殺ってます。」
「え? またまたご冗談を~。私を励まそうとしてくれたんですか?」
「いや、嘘じゃないっす。」
「……マジですか?」
「はい、マジっす。」
「うぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!?????」
ドワーフの店主は目ん玉が飛び出る勢いで大声をあげた。
「クローディアとスカーレットって奴なんすけど…」
「しかも二人ぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!?????」
脳の処理が追いつかなくなったのか、店主さんは泡を吹いてそのまま気絶してしまった。
オレは一心不乱に、『筋肉ダルマ』の本日のおすすめ料理にがっついていた。
店の名前を聞いた時は地雷臭しかしなかったが、今は目の前にあるスープの香りが幸せを運んでくる。
なんだろう、この感じ。
「喜び」だ。これは久しく忘れていた「喜び」ってやつだ!
「お客さん、そんなにがっつかなくても料理は逃げませんよ。引っ掻けないように気をつけてくださいね。」
この店の店主らしきドワーフの女性が話しかけてくる。
もの腰低く優しい声でオレに接してくれるこの店主はオレのイメージしてたドワーフとはだいぶ異なった容姿をしていた。
端的に言って可愛い。うん、シンプルに可愛い。
白髪に褐色肌、民族衣装っぽい装い。うむ、どストライクである。
オレのイメージしてた髭もじゃのゴツいおっさんドワーフはどこ行った?
美人さんドワーフ店主に美味すぎる料理…
あぁ、この料理店、なんというか……尊い!
「そうだ、夢中で食べてて聞くの忘れてましたけど、これってなんていう料理なんすか?」
「はい、こちらは『オリモノ海洋のゲテモノスープ』という料理です。」
(ん?)
「オリモノ海洋でとれたサーモナイトの死骸、レッサーフィッシュの糞尿、リョウショクギョの内臓など、一般に“ゲテモノ”と呼ばれる食材をふんだんに使用した一品です。」
(よし、聞かなかった事にしよう。)
「ま、まぁ実際美味しいし、別にいいか……」
オレはスープを飲み干すとゆっくり席を立った。
「ご馳走様でした。これいくらですか?」
「銅貨10枚になります。」
「え? 安くないですか!?」
(この世界の硬貨の価値基準はいまいち把握できてはいないが、服屋のおっさんにはボロい黒フードを銅貨20枚で売りつけられ、豚野郎にいたっては雑草が金貨100枚だとかほざいてやがった。それに比べればめちゃめちゃ良心的な価格なのではないか!?)
「そうですか? 妥当な金額だと思いますよ。」
「くそ、服屋のじじい!やっぱりぼったくってやがったか!」
「フフッ、どうやら街で相当ぼったくられてしまったようですね。」
「はぁ、笑い事じゃねぇっすよ…」
「まぁでも、どうか彼らを責めないでやってください。彼らの生活は本当に貧しいものですから。」
(……それはまぁ、嘘じゃないだろうな。あんな街見せられたら何も言えねぇよ。)
「特に四天王が互いに支配領域を勝手に画定し、強引な侵攻と統治を繰り返すようになってから、人々の暮らしはますます苦しいものとなってしまいました。」
店主さんは拳を強く握りしめる。
「私たちにもっと力があれば……」
「……ちなみになんすけど、もしその四天王を倒した場合はどうなるんすか?」
「ありえない話ではありますが、そうですねぇ……おそらく彼らの支配領域が白紙化されて、所有者のいない自由土地ができあがるのではないでしょうか? 支配といってもそれは、彼ら四天王が勝手にその土地に付与した概念でしかありませんから、彼らが死ねば必然的にその効力は失われ、何もなかった頃の、ありのままの土地が現れるはずです。」
「てことは、その土地は人間やドワーフが管理することもできるようになるってことですか?」
「そうなりますね。まぁ四天王を倒すとか夢のまた夢ですよ、彼らの元にはたくさんの奴隷と化した人々がいるので何とか助けたいのですが、私たち程度の力ではどうにも……」
「えっと、この話の流れで大変言いにくいんですけども……」
「どうされました?」
「オレ……その四天王ってやつ、数時間前に殺ってます。」
「え? またまたご冗談を~。私を励まそうとしてくれたんですか?」
「いや、嘘じゃないっす。」
「……マジですか?」
「はい、マジっす。」
「うぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!?????」
ドワーフの店主は目ん玉が飛び出る勢いで大声をあげた。
「クローディアとスカーレットって奴なんすけど…」
「しかも二人ぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!?????」
脳の処理が追いつかなくなったのか、店主さんは泡を吹いてそのまま気絶してしまった。
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!
マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。
今後ともよろしくお願いいたします!
トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕!
タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。
男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】
そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】
アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です!
コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】
*****************************
***毎日更新しています。よろしくお願いいたします。***
*****************************
マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。
見てください。

男女比の狂った世界で愛を振りまく
キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。
その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。
直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。
生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。
デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。
本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。
※カクヨムにも掲載中の作品です。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる