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ティンポラス編
10 腹が減っては軍は出来ぬ
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「は? 食い物を売ってない? ここどう見ても八百屋だろうが!」
オレはやっと見つけた街の店先で、尖った耳に豚鼻の店主を睨んでいた。
「あぁ、そうブヒ。人間様に渡すような食材はうちには売ってないブヒ。」
豚店主はそう言うと、オレを蔑むような目で見ると嫌味ったらしく地面を指差してこう言った。
「そうブヒねぇ…大サービスで、ここに生えてる草を金貨100枚で売ってやるブヒよ。」
(チッ! 明らかに人間差別じゃねぇか。この嫌味な感じ、なんだかクソ上司を思い出して気分が悪い……)
「お前、喧嘩売る相手は選んだ方がいいぞ。」
オレは眼前の豚野郎に向かって凄んでみる。
「ブヒヒヒヒ、弱小な人間ごときが何をほざいてやがるブヒ。」
(……まぁ当然か。強いのはオ○ホであってオレじゃない。今のオレなら周りから見ても多少は強い人っぽく映るかもと思ったんだが…客観的に見ればオレはただのボロい黒フードきた痩せた人間にしか見えねぇよな。)
「おいおい、ビビってるブヒか?」
(オ○ホ使えばこの語尾のうるさい豚野郎も瞬殺できるんだろうが、そんなことしたって結局食い物は手に入らないしなぁ……)
「分かった、分かりましたよ。大人しく立ち去ってやりますよ。」
(胸糞悪い街だったな。結局あの街しかないのかもな……)
オレは赤い光を身に纏い豚野郎の店を後にした。
「速っ! なんなんブヒか? あいつは……!」
空中を高速移動するオレを放心状態で眺めるクソ豚を尻目に、オレはあのスラム街へ再び向かうこととなった。
ズドンッ!!!
「うおぅ!? びびった…お前さん、いつかの臭ぇ兄ちゃんじゃねぇか。」
突然目の前に落ちてきたオレに驚きながら、ぼったくり服屋の店番はオレの顔をまじまじと眺める。
「お前さん、何で空から降ってきたんだ?」
オレは店番の質問につい鋭い眼光を向ける。
「まぁいろいろあったんすよ、聞きたいっすか?」
店番はオレの目を数秒注視する。
「いや、聞いたが最後、面倒ごとに巻き込まれちまいそうな気がするからやめとくわ。」
「そうっすか、ま、それは良いとして、この街でどこか食い物売ってる店ってないんすか? 腹減ってしょうがないんすけど。」
オレは投げやりに言い放つ。
「あぁ、この道をしばらくまっすぐ進んだところに『筋肉ダルマ』っていう、ドワーフの経営してる、まぁまぁでかい料理店があるぞ。」
「ネーミングセンスどうした。食材に筋肉使ってたりしねぇだろうな……」
(ん? ドワーフ?)
「ドワーフってモンスターっすよね? そんなのがいたら危険じゃないんすか?」
「いや、ドワーフはモンスターにしては珍しく、人間差別をしない種族だ。この街はドワーフが治めてるんだよ。他のモンスターの侵攻も食い止めてくれてるみてぇだ。」
「ドワーフが? よく他のモンスター達に対抗できますね。」
「この街には結構な数のドワーフがいるからな。まぁ対抗っていっても、このちっぽけな街ひとつ守りきるのが精一杯みたいだが。ま、それでもよくやってくれてるよ。」
「なるほど、ドワーフは逆にこの街を守ってくれていると。」
「まぁな。この街の人間のほとんどが、死ぬような思いで他のモンスターの支配領域から脱走して命からがらここに辿り着いた奴だからな。多少貧しいとはいえ、人間として生活できるってのはありがてぇもんだ。」
(オレも最初にこの街に転生していれば、今よりもっと普通の人生を送ることもできたのかもしれないな……)
オレがそんなことを考えていると、店番がてのひらをオレに向けてきた。
「この手はなんすか?」
「言っただろ? 俺らは貧しくて明日を生きるのにも必死なのさ。だから、」
一拍おいて店番は満面の笑みでこう言った。
「情報料よこせ。金貨5枚な?」
「あぁ、なんかもう逆に安心したわ。」
オレは金貨を店番の掌に叩きつけ、『筋肉ダルマ』という店を探すべく歩きだした。
「まぁ何があったかは知らんが、あそこに行けば少しはまともな精神状態になるだろう……」
店番はぽつりと呟き苦笑いをした。
オレはやっと見つけた街の店先で、尖った耳に豚鼻の店主を睨んでいた。
「あぁ、そうブヒ。人間様に渡すような食材はうちには売ってないブヒ。」
豚店主はそう言うと、オレを蔑むような目で見ると嫌味ったらしく地面を指差してこう言った。
「そうブヒねぇ…大サービスで、ここに生えてる草を金貨100枚で売ってやるブヒよ。」
(チッ! 明らかに人間差別じゃねぇか。この嫌味な感じ、なんだかクソ上司を思い出して気分が悪い……)
「お前、喧嘩売る相手は選んだ方がいいぞ。」
オレは眼前の豚野郎に向かって凄んでみる。
「ブヒヒヒヒ、弱小な人間ごときが何をほざいてやがるブヒ。」
(……まぁ当然か。強いのはオ○ホであってオレじゃない。今のオレなら周りから見ても多少は強い人っぽく映るかもと思ったんだが…客観的に見ればオレはただのボロい黒フードきた痩せた人間にしか見えねぇよな。)
「おいおい、ビビってるブヒか?」
(オ○ホ使えばこの語尾のうるさい豚野郎も瞬殺できるんだろうが、そんなことしたって結局食い物は手に入らないしなぁ……)
「分かった、分かりましたよ。大人しく立ち去ってやりますよ。」
(胸糞悪い街だったな。結局あの街しかないのかもな……)
オレは赤い光を身に纏い豚野郎の店を後にした。
「速っ! なんなんブヒか? あいつは……!」
空中を高速移動するオレを放心状態で眺めるクソ豚を尻目に、オレはあのスラム街へ再び向かうこととなった。
ズドンッ!!!
「うおぅ!? びびった…お前さん、いつかの臭ぇ兄ちゃんじゃねぇか。」
突然目の前に落ちてきたオレに驚きながら、ぼったくり服屋の店番はオレの顔をまじまじと眺める。
「お前さん、何で空から降ってきたんだ?」
オレは店番の質問につい鋭い眼光を向ける。
「まぁいろいろあったんすよ、聞きたいっすか?」
店番はオレの目を数秒注視する。
「いや、聞いたが最後、面倒ごとに巻き込まれちまいそうな気がするからやめとくわ。」
「そうっすか、ま、それは良いとして、この街でどこか食い物売ってる店ってないんすか? 腹減ってしょうがないんすけど。」
オレは投げやりに言い放つ。
「あぁ、この道をしばらくまっすぐ進んだところに『筋肉ダルマ』っていう、ドワーフの経営してる、まぁまぁでかい料理店があるぞ。」
「ネーミングセンスどうした。食材に筋肉使ってたりしねぇだろうな……」
(ん? ドワーフ?)
「ドワーフってモンスターっすよね? そんなのがいたら危険じゃないんすか?」
「いや、ドワーフはモンスターにしては珍しく、人間差別をしない種族だ。この街はドワーフが治めてるんだよ。他のモンスターの侵攻も食い止めてくれてるみてぇだ。」
「ドワーフが? よく他のモンスター達に対抗できますね。」
「この街には結構な数のドワーフがいるからな。まぁ対抗っていっても、このちっぽけな街ひとつ守りきるのが精一杯みたいだが。ま、それでもよくやってくれてるよ。」
「なるほど、ドワーフは逆にこの街を守ってくれていると。」
「まぁな。この街の人間のほとんどが、死ぬような思いで他のモンスターの支配領域から脱走して命からがらここに辿り着いた奴だからな。多少貧しいとはいえ、人間として生活できるってのはありがてぇもんだ。」
(オレも最初にこの街に転生していれば、今よりもっと普通の人生を送ることもできたのかもしれないな……)
オレがそんなことを考えていると、店番がてのひらをオレに向けてきた。
「この手はなんすか?」
「言っただろ? 俺らは貧しくて明日を生きるのにも必死なのさ。だから、」
一拍おいて店番は満面の笑みでこう言った。
「情報料よこせ。金貨5枚な?」
「あぁ、なんかもう逆に安心したわ。」
オレは金貨を店番の掌に叩きつけ、『筋肉ダルマ』という店を探すべく歩きだした。
「まぁ何があったかは知らんが、あそこに行けば少しはまともな精神状態になるだろう……」
店番はぽつりと呟き苦笑いをした。
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