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ティンポラス編
2 相棒はオ○ホール
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目を覚ますと、そこは雪国であった。
いや、正確には「雪国とそこにそびえ立つデカいウンコ」といったところか。
「誰がウンコじゃい、失礼にも程があるわい!」
頭の形が完全にウンコである奇怪な生物は、そう叫んだ。
……ん? てか今こいつ、オレの心を読んだ?
「あぁ、そうじゃよ。ワシの名はスカト・ロジー。俗に言う“神様”というやつじゃ!」
(このジジイ、見た目以上にびっくりするほど低俗な名前してんな……)
「お主、心の声が聞き取れると言ったそばからええ度胸しとるな…まぁ確かに名前に関してはワシも一家言あるがな……」
地面につくほど長い白髭を生やしたウンコジジイがオレをジト目で見ている。
「まぁ冗談はさておき、この白銀の世界は……今流行りの『異世界転生』ってやつですか?」
オレは小首を傾げてジジイに問いかける。
「ここは『神界』というところじゃよ。ちなみに厳密には『異世界召喚』というやつじゃな、ワシがお主を呼び出したからのぅ。……てかお主、順応早くね?」
「まぁ、もう人生いろいろ詰んでましたし、異世界ならむしろ大歓迎というか……それにしても、なんでオレみたいな一般人を呼んだんですか?」
「なんか見てて悲しくなったというか、シンプルに可哀そうじゃったからな。」
(あ、哀れまれた!!)
まさかウンコに哀れまれることになるとは……
「それに、ちょっと責任感じてじゃな…ごにょごにょ…」
「なんであなたが責任感じてるんですか?」
なんだか要領を得ないウンコ型の神にオレは問いかける。
「いや……実は、お主に散々ヒャッハーした例の男じゃが、あやつは……」
そう言って神は生唾を飲み込み、歯切れ悪そうに言った。
「何年か前、異世界転生して勇者になって、ワシが日本に返しちゃった奴なんじゃよ。」
「……は?」
「ほら、あやつ、やたらと腕力強かったじゃろ?あれは勇者じゃった頃のステータス引き継いで日本に戻ったからなんじゃよ。」
ズドンッ!!!!!
「ぐへぇ!!!」
神が情けない声を上げる。
オレが殴ったのだ。無意識に、しかし全身全霊でオレはこのクソジジイのみぞおちにファル○ンパンチをお見舞いしていた。
「原因お前かァ~~~~~~~!!!!!!!」
オレはジジイの肩を顔がもぎ取れるほど揺すりまくる。
「いや、ホント申し訳ない!元勇者があんなアブノーマルな奴じゃと知っとったら、決して日本に返したりせんかったわいわいわいわい」
「……はぁ、あんなのが元勇者とか、なんの冗談だよ…」
オレはため息混じりに頭を掻きむしる。
「それで? オレはこれから異世界で自分の選んだチート武器で、俺TUEEEして、江口ハーレム作る感じですか? そうですよね? それくらいの報いがあってもいいと思うんですけど?」
オレは、さっきから冷や汗の止まらない神に詰め寄る。
「あぁ、ええっと、その~……」
「何ですか? 俺TUEEEさせてくれないんですか?」
「実は最近、異世界転生する奴が多すぎて、今は武器も転生先もほとんど残っておらんのじゃ……」
「めっちゃ裏事情、暴露しますやん。」
唖然とするオレに構うことなく神は話を続ける。
「転生先はあと2つじゃ。ひとつは、全てのモンスターにチ○コが生えている世界『ティンポラス』、もうひとつは、屈強なオーク達が、男を見境なく陵辱する世界『ゲインポス』じゃな。」
「これは新手のセクハラですか? トラウマが蘇ったんですが?」
急に生き生きととんでもねぇ世界を語り出した神をオレは感情の無い目で睨むが、ジジイはお構いなしに話を続ける。
「残っている武器は……あぁ、この『しゅごいオ○ホール』だけじゃった。」
そう言ってジジイはピンク色のぶにゅぶにゅした物体をやたら神々しい箱から取り出した。
「神様は『品性』という言葉をご存知ないのですか!?」
「すまんのぉ、伝説の剣も万能の杖も、もう他の転生者に持っていかれてしもうたわい。」
「そのラインナップの中に何で『しゅごいオ○ホール』があるのか、オレはどう頑張っても理解できる気がしないんですが?」
「仕方あるまい、お主にはこの『しゅごいオ○ホール』を授けよう!」
そう言ってジジイは高々と放送コードに間違いなく抵触するであろう猥褻物を天に掲げる。
「いや、いりませんよ。そもそもオレ、EDですよ? インポですよ? イ・ン・ポ! インポのオレにオ○ホとか、もう完全にセクハラじゃないっすか。」
「いや、別にお主が自分に使う用では無いし……『ティンポラス』に転生するなら割と強めの武器じゃと思うぞ……多分。」
「えぇ…マジでそれしか無いんすか?」
「……ゴメンね。」
「はぁ…分かりましたよ。じゃあオ○ホ持ってティンポラス行きますよ。」
完全に萎縮して威厳もクソもなくなった神がなんか可哀想になり、結局オレはティンポラスへ行くことにした。
「本当か!? あぁ良かった、この2つの世界だけ転生してくれる人がいつまでも出てこなくて、営業ノルマが達成できないところだったんじゃよ……」
「そりゃこんなクソみたいな世界、売れ残るに決まってるじゃないですか。」
なんか神様社会も結構闇が深そうだなと思いつつオレは微妙な表情を浮かべる。
「あ、ちなみに言語は日本語でも通じるから安心して良いぞ。」
「そこはちゃんとご都合主義なんですね。」
「じゃあ、今から転生させる準備するから、ちょっと待っておるのじゃぞ!」
神が大きな鳥籠のようなものを運んでくる。
「この中に入れば一瞬でティンポラスに転移できる。一回入ると中からは出られんから、オ○ホはちゃんと握っとるか確認してから入るんじゃぞ。」
オレは右手にぐにょんぐにょんの頼りないことこの上ない武器を握りしめて鳥籠の中に入った。
「そうそう、ひとつ言い忘れてたんじゃが……」
神が何かをはっと思い出したようにオレの方に向き直って言った。
「ティンポラスでは人間は奴隷として扱われてるから注意するのじゃぞ。」
「はぁ!?ちょっ…そんな大事なこと今更……!!」
「じゃ、大変じゃと思うが、頑張れな~」
「おい待て、こっから出せコラァ!!」
神の声が遠くなり、自分の体が透けていくーー
オレは決意した。
ーーあのクソジジイ、次会ったらタコ殴りにしてやる
神界にひとり残ったクソジジイこと、神スカト・ロジーはぽつりと呟く。
「まぁ『ゲインポス』は腐女子からの需要はあるし……今月のノルマは大丈夫そうじゃな。」
いや、正確には「雪国とそこにそびえ立つデカいウンコ」といったところか。
「誰がウンコじゃい、失礼にも程があるわい!」
頭の形が完全にウンコである奇怪な生物は、そう叫んだ。
……ん? てか今こいつ、オレの心を読んだ?
「あぁ、そうじゃよ。ワシの名はスカト・ロジー。俗に言う“神様”というやつじゃ!」
(このジジイ、見た目以上にびっくりするほど低俗な名前してんな……)
「お主、心の声が聞き取れると言ったそばからええ度胸しとるな…まぁ確かに名前に関してはワシも一家言あるがな……」
地面につくほど長い白髭を生やしたウンコジジイがオレをジト目で見ている。
「まぁ冗談はさておき、この白銀の世界は……今流行りの『異世界転生』ってやつですか?」
オレは小首を傾げてジジイに問いかける。
「ここは『神界』というところじゃよ。ちなみに厳密には『異世界召喚』というやつじゃな、ワシがお主を呼び出したからのぅ。……てかお主、順応早くね?」
「まぁ、もう人生いろいろ詰んでましたし、異世界ならむしろ大歓迎というか……それにしても、なんでオレみたいな一般人を呼んだんですか?」
「なんか見てて悲しくなったというか、シンプルに可哀そうじゃったからな。」
(あ、哀れまれた!!)
まさかウンコに哀れまれることになるとは……
「それに、ちょっと責任感じてじゃな…ごにょごにょ…」
「なんであなたが責任感じてるんですか?」
なんだか要領を得ないウンコ型の神にオレは問いかける。
「いや……実は、お主に散々ヒャッハーした例の男じゃが、あやつは……」
そう言って神は生唾を飲み込み、歯切れ悪そうに言った。
「何年か前、異世界転生して勇者になって、ワシが日本に返しちゃった奴なんじゃよ。」
「……は?」
「ほら、あやつ、やたらと腕力強かったじゃろ?あれは勇者じゃった頃のステータス引き継いで日本に戻ったからなんじゃよ。」
ズドンッ!!!!!
「ぐへぇ!!!」
神が情けない声を上げる。
オレが殴ったのだ。無意識に、しかし全身全霊でオレはこのクソジジイのみぞおちにファル○ンパンチをお見舞いしていた。
「原因お前かァ~~~~~~~!!!!!!!」
オレはジジイの肩を顔がもぎ取れるほど揺すりまくる。
「いや、ホント申し訳ない!元勇者があんなアブノーマルな奴じゃと知っとったら、決して日本に返したりせんかったわいわいわいわい」
「……はぁ、あんなのが元勇者とか、なんの冗談だよ…」
オレはため息混じりに頭を掻きむしる。
「それで? オレはこれから異世界で自分の選んだチート武器で、俺TUEEEして、江口ハーレム作る感じですか? そうですよね? それくらいの報いがあってもいいと思うんですけど?」
オレは、さっきから冷や汗の止まらない神に詰め寄る。
「あぁ、ええっと、その~……」
「何ですか? 俺TUEEEさせてくれないんですか?」
「実は最近、異世界転生する奴が多すぎて、今は武器も転生先もほとんど残っておらんのじゃ……」
「めっちゃ裏事情、暴露しますやん。」
唖然とするオレに構うことなく神は話を続ける。
「転生先はあと2つじゃ。ひとつは、全てのモンスターにチ○コが生えている世界『ティンポラス』、もうひとつは、屈強なオーク達が、男を見境なく陵辱する世界『ゲインポス』じゃな。」
「これは新手のセクハラですか? トラウマが蘇ったんですが?」
急に生き生きととんでもねぇ世界を語り出した神をオレは感情の無い目で睨むが、ジジイはお構いなしに話を続ける。
「残っている武器は……あぁ、この『しゅごいオ○ホール』だけじゃった。」
そう言ってジジイはピンク色のぶにゅぶにゅした物体をやたら神々しい箱から取り出した。
「神様は『品性』という言葉をご存知ないのですか!?」
「すまんのぉ、伝説の剣も万能の杖も、もう他の転生者に持っていかれてしもうたわい。」
「そのラインナップの中に何で『しゅごいオ○ホール』があるのか、オレはどう頑張っても理解できる気がしないんですが?」
「仕方あるまい、お主にはこの『しゅごいオ○ホール』を授けよう!」
そう言ってジジイは高々と放送コードに間違いなく抵触するであろう猥褻物を天に掲げる。
「いや、いりませんよ。そもそもオレ、EDですよ? インポですよ? イ・ン・ポ! インポのオレにオ○ホとか、もう完全にセクハラじゃないっすか。」
「いや、別にお主が自分に使う用では無いし……『ティンポラス』に転生するなら割と強めの武器じゃと思うぞ……多分。」
「えぇ…マジでそれしか無いんすか?」
「……ゴメンね。」
「はぁ…分かりましたよ。じゃあオ○ホ持ってティンポラス行きますよ。」
完全に萎縮して威厳もクソもなくなった神がなんか可哀想になり、結局オレはティンポラスへ行くことにした。
「本当か!? あぁ良かった、この2つの世界だけ転生してくれる人がいつまでも出てこなくて、営業ノルマが達成できないところだったんじゃよ……」
「そりゃこんなクソみたいな世界、売れ残るに決まってるじゃないですか。」
なんか神様社会も結構闇が深そうだなと思いつつオレは微妙な表情を浮かべる。
「あ、ちなみに言語は日本語でも通じるから安心して良いぞ。」
「そこはちゃんとご都合主義なんですね。」
「じゃあ、今から転生させる準備するから、ちょっと待っておるのじゃぞ!」
神が大きな鳥籠のようなものを運んでくる。
「この中に入れば一瞬でティンポラスに転移できる。一回入ると中からは出られんから、オ○ホはちゃんと握っとるか確認してから入るんじゃぞ。」
オレは右手にぐにょんぐにょんの頼りないことこの上ない武器を握りしめて鳥籠の中に入った。
「そうそう、ひとつ言い忘れてたんじゃが……」
神が何かをはっと思い出したようにオレの方に向き直って言った。
「ティンポラスでは人間は奴隷として扱われてるから注意するのじゃぞ。」
「はぁ!?ちょっ…そんな大事なこと今更……!!」
「じゃ、大変じゃと思うが、頑張れな~」
「おい待て、こっから出せコラァ!!」
神の声が遠くなり、自分の体が透けていくーー
オレは決意した。
ーーあのクソジジイ、次会ったらタコ殴りにしてやる
神界にひとり残ったクソジジイこと、神スカト・ロジーはぽつりと呟く。
「まぁ『ゲインポス』は腐女子からの需要はあるし……今月のノルマは大丈夫そうじゃな。」
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