33 / 76
第四章:三極-1-
有栖_4-1
しおりを挟む
二階で別れた反保を少し心配しながらも有栖は三階へと上がった。踊り場から廊下を見ると、すぐに違和感に気づく。
一番近い部屋の前に、黒いスーツを着た細身の男が立っている。オールバックの髪型に骨に皮膚を貼り付けたような痩せた顔。不健康そうな顔立ちだが、一重で釣りあがった目がぎらぎら、と生気に溢れている。
そして、彼の前にある部屋のドアは開いていた。
――アイツは……。
有栖はその男に向かって駆け寄るが、その男は懐から拳銃を取り出した。そして、銃口を部屋に向ける。おそらく、それはアース博士に向けられているのだろう。
「おい!」
「ユースは近づくな!」
男の怒号が響く。既に少々近づいたが、それ以上の接近は許さない、という意味だろう。
「アース博士。一緒に来て頂きたい」
男がアース博士に話しかける。それは脅しだろう……しかし、返事はなくキーボードを叩く音だけが聞こえてくる。無視して作業をしているのだろう。
「どうやら、取り込み中みたい。お引き取り願いたいんだけど?」
有栖はじわり、と距離を詰めて話しかける。
「笑わせるな。強制的に連れて行くまでだ」
「それが可能だと思ってるの?」
「当然だ」
男が銃口を有栖の方へと向けた。
「邪魔者を排除して任務を遂行するまでだ」
「そう……じゃあ、こっちも任務を遂行する――アース博士は絶対に護る」
一番近い部屋の前に、黒いスーツを着た細身の男が立っている。オールバックの髪型に骨に皮膚を貼り付けたような痩せた顔。不健康そうな顔立ちだが、一重で釣りあがった目がぎらぎら、と生気に溢れている。
そして、彼の前にある部屋のドアは開いていた。
――アイツは……。
有栖はその男に向かって駆け寄るが、その男は懐から拳銃を取り出した。そして、銃口を部屋に向ける。おそらく、それはアース博士に向けられているのだろう。
「おい!」
「ユースは近づくな!」
男の怒号が響く。既に少々近づいたが、それ以上の接近は許さない、という意味だろう。
「アース博士。一緒に来て頂きたい」
男がアース博士に話しかける。それは脅しだろう……しかし、返事はなくキーボードを叩く音だけが聞こえてくる。無視して作業をしているのだろう。
「どうやら、取り込み中みたい。お引き取り願いたいんだけど?」
有栖はじわり、と距離を詰めて話しかける。
「笑わせるな。強制的に連れて行くまでだ」
「それが可能だと思ってるの?」
「当然だ」
男が銃口を有栖の方へと向けた。
「邪魔者を排除して任務を遂行するまでだ」
「そう……じゃあ、こっちも任務を遂行する――アース博士は絶対に護る」
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
有栖と奉日本『幸福のブラックキャット』
ぴえ
ミステリー
警察と相対する治安維持組織『ユースティティア』に所属する有栖。
彼女は謹慎中に先輩から猫探しの依頼を受ける。
そのことを表と裏社会に通じるカフェ&バーを経営する奉日本に相談するが、猫探しは想定外の展開に繋がって行く――
表紙・キャラクター制作:studio‐lid様(twitter:@studio_lid)
有栖と奉日本『垂涎のハローワールド』
ぴえ
ミステリー
有栖と奉日本シリーズ第七話。
全てはここから始まった――
『過去』と『現在』が交錯し、物語は『未来』へと繋がっていく。
表紙・キャラクター制作:studio‐lid様(twitter:@studio_lid)
ARIA(アリア)
残念パパいのっち
ミステリー
山内亮(やまうちとおる)は内見に出かけたアパートでAR越しに不思議な少女、西園寺雫(さいおんじしずく)と出会う。彼女は自分がAIでこのアパートに閉じ込められていると言うが……
有栖と奉日本『ファントムケースに御用心』
ぴえ
ミステリー
有栖と奉日本シリーズ第二話。
少しずつではあるが結果を残し、市民からの信頼を得ていく治安維持組織『ユースティティア』。
『ユースティティア』の所属する有栖は大きな任務を目前に一つの別案件を受け取るが――
表紙・キャラクター制作:studio‐lid様(twitter:@studio_lid)
有栖と奉日本『チープな刻の中で』
ぴえ
ミステリー
有栖と奉日本シリーズ第四話。
誰しも時間は平等に流れている。
治安維持組織『ユースティティア』にも警察にも。
それが束の間の平穏だとしても。
表紙・キャラクター制作:studio‐lid様(twitter:@studio_lid)
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる