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有栖-4

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 有栖は社有車を走らせて、コーポ松下にたどり着いた。時間は深夜一時過ぎ。路駐し、手早く降りると真っ先に管理人室へ向かった。
「……開いてる」
 有栖はインターホンを押さずに、ドアノブに手を掛けるとドアは抵抗なく開く。
「松下さん!」
 そう言って、ドアを完全に開けて、中に飛び込むと周囲を見渡す。電気はついているが人の気配はない。そして、そのこと自体が異常だった。ここに住んでいる松下優也がこの時間帯にいないことは、何かあった、と考えるのが現状と照らし合わせて通常の判断だった。電気を付けっぱなしで外泊している、という楽観はできるはずもない。
「あの部屋か」
 今、可能性があるとしたら調査対象となっている部屋だった。有栖はポケットをまさぐり、舌打ちを一つ。
「あー、返したんだった」
 六日目以降は調査することができなかったので、有栖はあの部屋の鍵を管理人室のポストに返していた。しばらく時間が経ったあと、ポストの中を確認すると空だったので、松下優也はユースティティアが調査から手を引いたことを察していただろう。
「行くしかない」
 この部屋を手がかりもなく探すのはタイムロスでしかなく、その余裕は有栖にはなかった。彼女は管理人室を出ると三階へと駆けだした。
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