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奉日本-2

奉日本-2-3

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「閉店後も時間があれば残って欲しいって、何か用かい?」
 久慈は閉店時間を過ぎ、全ての客が出払ってからそう切り出した。少々酒が回っているのか肘をカウンターに置き、上半身の荷重を預けている。右手の人差し指と中指の間には奉日本が渡したメモを挟んでいた。
 気さくな態度だが、呂律はしっかりしているし、眼光も鋭いところをみると酩酊状態とは程遠い。
「えぇ、少し面白い話の提供とカクテルのサービスをしようかと」
 奉日本が笑顔を作ってそう言うと、久慈も吐息を溢すように少し笑う。
「酒のつまみになるのか、酔い醒ましになるのか興味深いな」
「コーポ松下の話です」
 奉日本がカウンターの中に戻りながらそう言うと、明らかに久慈が顔色を変えた。
「酔いが醒めそうだ」
「そう言わず」
「でもよ、マスター。あそこは俺らの管轄外だ。聞いたところで――」
 久慈がそう返そうとしたところで、奉日本は人差し指を立てて、口元に添える仕草で止める。
「ここからが面白いところです。ですが、先にご注文を。さて、何を飲まれますか?」
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