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有栖-2

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「でも、若くして管理人ですからね。両親の仕事を受け継いだ形ですが、安易ながら羨ましく思いました。まぁ、楽なことばかりではないでしょうけど」
 アイスコーヒーが残り三分の一になったとき、有栖は雑談の一つで、そのようなことを話した。
 コーポ松下については、何か情報があれば教えてもらう、と約束をし、あとは惰性で交わされる会話を楽しんでいた。コーポ松下の部屋の間取りや周辺の情報。そんな雑談の流れの一つだった。
「子供は親を選べませんからね」
「そういった意味ではコーポ松下の管理人はアタリですかね」
「意外とハズレかもしれませんよ」
 高本はバーの準備を進めながら、会話に付き合ってくれた。
「アタリですよ。まぁ、親から受け取るものでハズレってあんまり検討がつきませんけど」
「そうでしょうか?」
 こん、と高本が酒を注ぐであろうグラスをカウンターの内側に置く。
「親から受け取るものや影響が必ずしも良いものとは限らない……俺はそう思いますよ」
 そう説くように話してくれた高本の表情は少し寂しそうに、有栖には見えた。
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