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奉日本_4

奉日本_4-1

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「ここ最近は騒がしかったな」
 閉店時間を過ぎ、特別に開けてもらっている空間で久慈はケラケラと笑いながら奉日本に話す。随分と上機嫌なのは話題が彼からすると面白いことだからだろう。
「警察のことですよね」
「そうそう」
 奉日本が察して返すと久慈も頷く。グラスの中に入っているテキーラサンライズの量には余裕があるので、片づけを少しだけ彼は進めた。
「警察の中に犯罪者がいたわけですから、市民からの批判、内部の問題の洗い出し……大きな波が起きていますね」
「マスターは色々情報を仕入れた感じかい?」
「まぁ、大きな出来事でしたから、知っておくべきだと思いましたので」
「そりゃそうか」
 久慈はグラスの中の太陽を傾け、喉を潤す。
「それにしても、警察は隠蔽しなかったな」
「ユース側に証拠を握られていたみたいですね」
「じゃあ、公表せざるえないな。下手に隠してユースに公表されたら今以上にダメージを受けてただろうな」
「そうですね。その点の警察側の動きは迅速でした。警察が警察を逮捕したことになっていますし――まだまだ後処理に追われるでしょうね」
 淡々と語る奉日本は警察側の上辺の状況は興味はなさそうだ。それを久慈も察している。
「警察の人事――これについては?」
 久慈がそう言って、奉日本の様子を伺う。彼は反射的に動きを止め、自身でもそれに気づいたのか少し睨むような視線を送ってきた。
「そこが俺も引っかかっています」
 奉日本は久慈に隠し事は無駄だ、と判断したのか諦めたように語る。
「と、言うと?」
「推察ですよ?」
「いいよ、聞きたい」
「では――」
 奉日本は片づけを止め、久慈と向かい合って言った。
「今回の件、警察としては切り裂き魔が捕まっても、内部の人間が殺人事件を起こしていたとしても、どちらでも良かったのだと思います」
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