29 / 57
飛田_2
飛田_2-1
しおりを挟む
「……くそ、ちょこまかと」
飛田と反保は戦闘を開始したが、戦況は飛田が圧倒的に優勢だった。
反保がナイフを振り回すが、飛田はそれを軽々と避ける。周囲の壁を蹴って、避けて、その行動の流れから変則的な蹴り技を繰り出す――これは飛田が得意とするパルクールと体術を組み合わせた戦い方だった。
――素人だな。
それが、飛田が反保と数回攻撃を避け、自身の攻撃を当てた所感だった。
反保はただナイフを振り回すだけで、その攻撃の仕方は戦闘術ではなく、喧嘩慣れしている様子も感じない。ぶんぶん、と闇雲に振り回しているだけだ。
また、飛田が攻撃を当てた際も防御は出来ておらず反応も遅い。そんな相手が彼の変則的な攻撃を対処できるはずもなかった。
だが、特出すべき点にも気づいていた。
「粘るなぁ。その打たれ強さは天性のもの?」
飛田はその場で軽く弾むように跳び、尋ねた。反保は睨むだけで答えはしない。
これまで飛田は何度も強い打撃を当てている。経験上、並大抵の人間なら膝を着いても変ではない。だが、反保は口や頭から血を流しているが倒れる様子はない。
「まぁ、どうでもいいか。そろそろ終わらせる……俺も誤解を解きたいし」
そうぼそり、と呟くと充分な勝算を導き出した上で、飛田は駆けだした。
「クソッ!」
ぶん、と横に振ったナイフを飛田は容易く避けると懐にもぐり込み、腹部を突き上げる槍のような蹴りを放ち、ヒットさせる。
「がっ」
「単発じゃなくて連撃ならどうだ!」
続けて胴回し回転蹴りを首筋にめり込ませる。後方へと下がる反保を追い抜くように、彼は壁で三角跳びをし、背後に回る。着地と同時に背中にソバット。弾かれるように二、三歩前に出た反保に対し、追いかけるように再び壁を蹴って高く跳び、前転、前転、前転、と加速して空中から踵落としを脳天に炸裂させた。
「これで――なっ!」
的確で充分な破壊力のある連撃。最後の攻撃では相手の意識を刈り取った感触もあった。
「クケ」
しかし、反保は意識を保ち、顔を半分だけ振り返らせて笑っていた
――まさか、コイツ。
飛田は驚き、そこで何故、反保がこの攻撃に耐えることが出来たのか勘づいたが――そのことに気づくのが遅すぎた。
反保が、飛田の足首をしっかりと掴む。
「しまっ――」
飛田と反保は戦闘を開始したが、戦況は飛田が圧倒的に優勢だった。
反保がナイフを振り回すが、飛田はそれを軽々と避ける。周囲の壁を蹴って、避けて、その行動の流れから変則的な蹴り技を繰り出す――これは飛田が得意とするパルクールと体術を組み合わせた戦い方だった。
――素人だな。
それが、飛田が反保と数回攻撃を避け、自身の攻撃を当てた所感だった。
反保はただナイフを振り回すだけで、その攻撃の仕方は戦闘術ではなく、喧嘩慣れしている様子も感じない。ぶんぶん、と闇雲に振り回しているだけだ。
また、飛田が攻撃を当てた際も防御は出来ておらず反応も遅い。そんな相手が彼の変則的な攻撃を対処できるはずもなかった。
だが、特出すべき点にも気づいていた。
「粘るなぁ。その打たれ強さは天性のもの?」
飛田はその場で軽く弾むように跳び、尋ねた。反保は睨むだけで答えはしない。
これまで飛田は何度も強い打撃を当てている。経験上、並大抵の人間なら膝を着いても変ではない。だが、反保は口や頭から血を流しているが倒れる様子はない。
「まぁ、どうでもいいか。そろそろ終わらせる……俺も誤解を解きたいし」
そうぼそり、と呟くと充分な勝算を導き出した上で、飛田は駆けだした。
「クソッ!」
ぶん、と横に振ったナイフを飛田は容易く避けると懐にもぐり込み、腹部を突き上げる槍のような蹴りを放ち、ヒットさせる。
「がっ」
「単発じゃなくて連撃ならどうだ!」
続けて胴回し回転蹴りを首筋にめり込ませる。後方へと下がる反保を追い抜くように、彼は壁で三角跳びをし、背後に回る。着地と同時に背中にソバット。弾かれるように二、三歩前に出た反保に対し、追いかけるように再び壁を蹴って高く跳び、前転、前転、前転、と加速して空中から踵落としを脳天に炸裂させた。
「これで――なっ!」
的確で充分な破壊力のある連撃。最後の攻撃では相手の意識を刈り取った感触もあった。
「クケ」
しかし、反保は意識を保ち、顔を半分だけ振り返らせて笑っていた
――まさか、コイツ。
飛田は驚き、そこで何故、反保がこの攻撃に耐えることが出来たのか勘づいたが――そのことに気づくのが遅すぎた。
反保が、飛田の足首をしっかりと掴む。
「しまっ――」
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
有栖と奉日本『幸福のブラックキャット』
ぴえ
ミステリー
警察と相対する治安維持組織『ユースティティア』に所属する有栖。
彼女は謹慎中に先輩から猫探しの依頼を受ける。
そのことを表と裏社会に通じるカフェ&バーを経営する奉日本に相談するが、猫探しは想定外の展開に繋がって行く――
表紙・キャラクター制作:studio‐lid様(twitter:@studio_lid)
有栖と奉日本『不気味の谷のアリス』
ぴえ
ミステリー
有栖と奉日本シリーズ第五話。
マザー・エレクトロン株式会社が開催する技術展示会『サイバーフェス』
会場は『ユースティティア』と警察が共同で護衛することになっていた。
その中で有栖達は天才・アース博士の護衛という特別任務を受けることになる。
活気と緊張が入り混じる三日間――不可解な事故と事件が発生してしまう。
表紙・キャラクター制作:studio‐lid様(twitter:@studio_lid)
有栖と奉日本『垂涎のハローワールド』
ぴえ
ミステリー
有栖と奉日本シリーズ第七話。
全てはここから始まった――
『過去』と『現在』が交錯し、物語は『未来』へと繋がっていく。
表紙・キャラクター制作:studio‐lid様(twitter:@studio_lid)
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
有栖と奉日本『ファントムケースに御用心』
ぴえ
ミステリー
有栖と奉日本シリーズ第二話。
少しずつではあるが結果を残し、市民からの信頼を得ていく治安維持組織『ユースティティア』。
『ユースティティア』の所属する有栖は大きな任務を目前に一つの別案件を受け取るが――
表紙・キャラクター制作:studio‐lid様(twitter:@studio_lid)
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
ARIA(アリア)
残念パパいのっち
ミステリー
山内亮(やまうちとおる)は内見に出かけたアパートでAR越しに不思議な少女、西園寺雫(さいおんじしずく)と出会う。彼女は自分がAIでこのアパートに閉じ込められていると言うが……
有栖と奉日本『ミライになれなかったあの夜に』
ぴえ
ミステリー
有栖と奉日本シリーズ第八話。
『過去』は消せない
だから、忘れるのか
だから、見て見ぬ振りをするのか
いや、だからこそ――
受け止めて『現在』へ
そして、進め『未来』へ
表紙・キャラクター制作:studio‐lid様(twitter:@studio_lid)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる