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フラグ

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「サイバーフェス関係の資料は……あ、あった」
 事務所に戻った飛田はパソコンで警察のデータバンクの中にある資料を漁り、サイバーフェスの資料を見つけていた。

 サイバーフェスとは先端技術を紹介するショーだ。開催するのは研究・開発技術の分野で世界トップクラスであるマザー・エレクトロン株式会社。
 三日間で様々な研究成果と開発技術を紹介するので、世界各国から有名な著名人や優秀な人材が訪れる。また、参加が出来るのはマザー・エレクトロン株式会社が招待した者のみで一般の参加は不可となっている。

「毎年、話は聞くけど呼ばれたことは無いんだよなぁ」
 サイバーフェスが開催される時期になると、毎回話題に上がるので飛田もその存在は知っていた。しかし、これまでは他の任務と輻輳していたこともあり、参加することはなかった。今回は、怪我をしたことにより他の業務は軽めのものになっており、通常より忙しくはない。ならば、人手を必要とする、という話は聞いたことがあるので完治した今となっては招集される可能性は高い。
 しかし、気になる点もある。
「ユースティティアと合同なんだよな」
 扱われる情報や集まる人々が重要であることから、警備は非常に厳重なものが必要となる。そのことから、マザー・エレクトロン株式会社は警察とユースティティアに依頼をしていた。
 当初は警察のみだったが、ユースティティアが設立されてからは両方に依頼している。同業同士に意識させ合い、より緊張感を持って警備をさせることが目的なのだろう。
「毎回、殺伐としてるって先輩方が言ってたもんなぁ」
 サイバーフェスに参加した先輩達が疲労困憊で帰って来た姿を飛田は思い出す。聞いた話ではマザー・エレクトロン株式会社の目論見どおりユースティティアとは意識し合うこで緊張感があり、著名人や最新技術を警備するプレッシャーで大変だそうだ。
「そこまで大変なら参加しなくても良いかも」
「残念ながら、そうはいきません」
 飛田は笑って呟くと、背後からその要望を断る声が聞こえた。振り返ると、そこには虹河原が立っている。
「あ、聖先輩」
「次に受ける大きな任務を事前に調べているとは――飛田くん、感心しましたよ」
 虹河原は笑顔だ。しかし、その笑顔からとてつもない圧力を感じるが飛田はそのことを指摘できず、ただ笑顔を返すのみだった。
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