14 / 27
コーヒーブレイク
※
しおりを挟む
「サイバーフェスには警察も来るんやろ?」
「機密情報を話すと思いますか?」
「俺らは行くで」
「簡単に話さないでください」
「別にそこでは対立するわけやないやろ? 護衛や安全確保、という目的は同じやんか」
「建前はそうです。しかし、警察とユースティティアが同じ場所にいて意識しないわけないでしょう。殺伐としますよ、どうせ」
「仲良うしたらええのに」
「無理ですよ。そんな未来はきません」
互いにコーヒーを飲みながら、言葉を交わす。しかし、最後に虹河原が断言したことにより会話が途切れ、沈黙が生まれた。
「……真木さん、辞めましたよ」
一色がどの話題で会話を再開させようかと悩んでいたら、意外にも先に口を開いたのは虹河原からだった。しかし、その内容は笑って話せるようなものではない。
「派出所に殺人の実行犯がおったことによる責任をとって辞職やろ? アイツとは同期やったからな。さすがに驚いたよ」
「優秀で人間の出来ている方でした。責任をとって辞職も理解できます――が、少し違和感もあります」
「それ、俺に言うて良いことか?」
「――いえ、違いますね。危うく昔の立場に戻って話してしまいそうになりました」
「相談できる奴はおるんか?」
「上辺だけで話す相手なら山ほど。ですが、本音で話す相手はなかなか出来ません」
「飛田は?」
「彼は信用できますが、私は先輩として彼を導く立場なので弱味は見せられません。そんなところを見せると不安になるでしょう」
「そうか?」
「少なくとも、私が信用していた『元』上司は部下に弱味は見せず、部下は心強かったものです」
「あらそう。お前はその『元』上司とは違うんやから、あんまり無理すんなよ」
「参考程度に心に留めておきます」
虹河原はそう言うと一色のカップを見た。ミルクを入れて冷まされた分、減るペースが早い。会話ができる回数は残り僅かだろう。
「一色さん、一つ聞いても良いですか?」
「なんや?」
「何故、家族と別居をしたのですか?」
「機密情報を話すと思いますか?」
「俺らは行くで」
「簡単に話さないでください」
「別にそこでは対立するわけやないやろ? 護衛や安全確保、という目的は同じやんか」
「建前はそうです。しかし、警察とユースティティアが同じ場所にいて意識しないわけないでしょう。殺伐としますよ、どうせ」
「仲良うしたらええのに」
「無理ですよ。そんな未来はきません」
互いにコーヒーを飲みながら、言葉を交わす。しかし、最後に虹河原が断言したことにより会話が途切れ、沈黙が生まれた。
「……真木さん、辞めましたよ」
一色がどの話題で会話を再開させようかと悩んでいたら、意外にも先に口を開いたのは虹河原からだった。しかし、その内容は笑って話せるようなものではない。
「派出所に殺人の実行犯がおったことによる責任をとって辞職やろ? アイツとは同期やったからな。さすがに驚いたよ」
「優秀で人間の出来ている方でした。責任をとって辞職も理解できます――が、少し違和感もあります」
「それ、俺に言うて良いことか?」
「――いえ、違いますね。危うく昔の立場に戻って話してしまいそうになりました」
「相談できる奴はおるんか?」
「上辺だけで話す相手なら山ほど。ですが、本音で話す相手はなかなか出来ません」
「飛田は?」
「彼は信用できますが、私は先輩として彼を導く立場なので弱味は見せられません。そんなところを見せると不安になるでしょう」
「そうか?」
「少なくとも、私が信用していた『元』上司は部下に弱味は見せず、部下は心強かったものです」
「あらそう。お前はその『元』上司とは違うんやから、あんまり無理すんなよ」
「参考程度に心に留めておきます」
虹河原はそう言うと一色のカップを見た。ミルクを入れて冷まされた分、減るペースが早い。会話ができる回数は残り僅かだろう。
「一色さん、一つ聞いても良いですか?」
「なんや?」
「何故、家族と別居をしたのですか?」
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
有栖と奉日本『不気味の谷のアリス』
ぴえ
ミステリー
有栖と奉日本シリーズ第五話。
マザー・エレクトロン株式会社が開催する技術展示会『サイバーフェス』
会場は『ユースティティア』と警察が共同で護衛することになっていた。
その中で有栖達は天才・アース博士の護衛という特別任務を受けることになる。
活気と緊張が入り混じる三日間――不可解な事故と事件が発生してしまう。
表紙・キャラクター制作:studio‐lid様(twitter:@studio_lid)
有栖と奉日本『ミライになれなかったあの夜に』
ぴえ
ミステリー
有栖と奉日本シリーズ第八話。
『過去』は消せない
だから、忘れるのか
だから、見て見ぬ振りをするのか
いや、だからこそ――
受け止めて『現在』へ
そして、進め『未来』へ
表紙・キャラクター制作:studio‐lid様(twitter:@studio_lid)
有栖と奉日本『ファントムケースに御用心』
ぴえ
ミステリー
有栖と奉日本シリーズ第二話。
少しずつではあるが結果を残し、市民からの信頼を得ていく治安維持組織『ユースティティア』。
『ユースティティア』の所属する有栖は大きな任務を目前に一つの別案件を受け取るが――
表紙・キャラクター制作:studio‐lid様(twitter:@studio_lid)
有栖と奉日本『デスペラードをよろしく』
ぴえ
ミステリー
有栖と奉日本シリーズ第十話。
『デスペラード』を手に入れたユースティティアは天使との対決に備えて策を考え、準備を整えていく。
一方で、天使もユースティティアを迎え撃ち、目的を果たそうとしていた。
平等に進む時間
確実に進む時間
そして、決戦のときが訪れる。
表紙・キャラクター制作:studio‐lid様(X:@studio_lid)
有栖と奉日本『幸福のブラックキャット』
ぴえ
ミステリー
警察と相対する治安維持組織『ユースティティア』に所属する有栖。
彼女は謹慎中に先輩から猫探しの依頼を受ける。
そのことを表と裏社会に通じるカフェ&バーを経営する奉日本に相談するが、猫探しは想定外の展開に繋がって行く――
表紙・キャラクター制作:studio‐lid様(twitter:@studio_lid)
強制憑依アプリを使ってみた。
本田 壱好
ミステリー
十八年間モテた試しが無かった俺こと童定春はある日、幼馴染の藍良舞に告白される。
校内一の人気を誇る藍良が俺に告白⁈
これは何かのドッキリか?突然のことに俺は返事が出来なかった。
不幸は続くと言うが、その日は不幸の始まりとなるキッカケが多くあったのだと今となっては思う。
その日の夜、小学生の頃の友人、鴨居常叶から当然連絡が掛かってきたのも、そのキッカケの一つだ。
話の内容は、強制憑依アプリという怪しげなアプリの話であり、それをインストールして欲しいと言われる。
頼まれたら断れない性格の俺は、送られてきたサイトに飛んで、その強制憑依アプリをインストールした。
まさかそれが、運命を大きく変える出来事に発展するなんて‥。当時の俺は、まだ知る由もなかった。
有栖と奉日本『垂涎のハローワールド』
ぴえ
ミステリー
有栖と奉日本シリーズ第七話。
全てはここから始まった――
『過去』と『現在』が交錯し、物語は『未来』へと繋がっていく。
表紙・キャラクター制作:studio‐lid様(twitter:@studio_lid)
ARIA(アリア)
残念パパいのっち
ミステリー
山内亮(やまうちとおる)は内見に出かけたアパートでAR越しに不思議な少女、西園寺雫(さいおんじしずく)と出会う。彼女は自分がAIでこのアパートに閉じ込められていると言うが……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる