85 / 86
第七章:Catch22
高良組_7-4
しおりを挟む
「天使を罪に問うならどのような罪になるんでしょうね?」
「不正取引。もしくは一色の殺人罪かな?」
久慈の問いに刀義は窓を見ながら答えた。
窓からユースティティアの三人が歩いていく姿が見える。今から戻って作戦会議でも行うのだろう。その背中には気合いと覚悟を背負っているようにも見える。その姿を見ながら、刀義は頼もしく思っていた。彼はポケットからスマホを取り出し、操作すると耳に当てた。
数回のコール音。そして、その音が消えた。
『はい』
「あぁ、先程帰りました――天使さん」
『こちらの情報は与えてくれましたか?』
「えぇ。この度は貴方の提案と作戦で敵対する組を潰すことができました。ありがとうございます」
『いえいえ、どういたしまして』
「これからも懇意にしていただけると助かります」
『もちろん、こちらも高良組と争うのは避けたいので。協力関係である方がありがたいです
よ』
「そうですね。『デスペラード』はユースティティアに渡しましたがよろしかったのですか? 貴方に直接渡すことも出来ましたが」
『えぇ、一度の絶望で黙らないようなので、更なる絶望を与えて二度と逆らえないようにすべきかと思いましてね。反逆の芽は摘むに限りますから』
「なるほど。では、『デスペラード』を持たせたユースティティアをそちらに送るので、あとは煮るなり、焼くなりお好きにどうぞ」
『ユースティティアが疑っている様子は?』
「ありません。筋は通っていますので。それにユースティティアとしてはこの状況に縋るしかないと思います」
『わかりました。報告ありがとうございます』
「はい。では、失礼致します」
刀義はスマホの通話を切り、緊張から解放されたかのように大きな息を吐く。
「久慈さん、飲みにいこうか」
「どちらへ?」
「もちろん、奉日本のバーだ。早めの祝勝会と行こう。俺らの出番は終わりだろうからな」
「わかりました」
久慈がスマホを取り出し、予約の電話をし始めたので、刀義は再び、窓から外を見た。
もうそこにはユースティティアの姿は見えなかった。
「不正取引。もしくは一色の殺人罪かな?」
久慈の問いに刀義は窓を見ながら答えた。
窓からユースティティアの三人が歩いていく姿が見える。今から戻って作戦会議でも行うのだろう。その背中には気合いと覚悟を背負っているようにも見える。その姿を見ながら、刀義は頼もしく思っていた。彼はポケットからスマホを取り出し、操作すると耳に当てた。
数回のコール音。そして、その音が消えた。
『はい』
「あぁ、先程帰りました――天使さん」
『こちらの情報は与えてくれましたか?』
「えぇ。この度は貴方の提案と作戦で敵対する組を潰すことができました。ありがとうございます」
『いえいえ、どういたしまして』
「これからも懇意にしていただけると助かります」
『もちろん、こちらも高良組と争うのは避けたいので。協力関係である方がありがたいです
よ』
「そうですね。『デスペラード』はユースティティアに渡しましたがよろしかったのですか? 貴方に直接渡すことも出来ましたが」
『えぇ、一度の絶望で黙らないようなので、更なる絶望を与えて二度と逆らえないようにすべきかと思いましてね。反逆の芽は摘むに限りますから』
「なるほど。では、『デスペラード』を持たせたユースティティアをそちらに送るので、あとは煮るなり、焼くなりお好きにどうぞ」
『ユースティティアが疑っている様子は?』
「ありません。筋は通っていますので。それにユースティティアとしてはこの状況に縋るしかないと思います」
『わかりました。報告ありがとうございます』
「はい。では、失礼致します」
刀義はスマホの通話を切り、緊張から解放されたかのように大きな息を吐く。
「久慈さん、飲みにいこうか」
「どちらへ?」
「もちろん、奉日本のバーだ。早めの祝勝会と行こう。俺らの出番は終わりだろうからな」
「わかりました」
久慈がスマホを取り出し、予約の電話をし始めたので、刀義は再び、窓から外を見た。
もうそこにはユースティティアの姿は見えなかった。
1
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
有栖と奉日本『幸福のブラックキャット』
ぴえ
ミステリー
警察と相対する治安維持組織『ユースティティア』に所属する有栖。
彼女は謹慎中に先輩から猫探しの依頼を受ける。
そのことを表と裏社会に通じるカフェ&バーを経営する奉日本に相談するが、猫探しは想定外の展開に繋がって行く――
表紙・キャラクター制作:studio‐lid様(twitter:@studio_lid)
有栖と奉日本『不気味の谷のアリス』
ぴえ
ミステリー
有栖と奉日本シリーズ第五話。
マザー・エレクトロン株式会社が開催する技術展示会『サイバーフェス』
会場は『ユースティティア』と警察が共同で護衛することになっていた。
その中で有栖達は天才・アース博士の護衛という特別任務を受けることになる。
活気と緊張が入り混じる三日間――不可解な事故と事件が発生してしまう。
表紙・キャラクター制作:studio‐lid様(twitter:@studio_lid)
有栖と奉日本『垂涎のハローワールド』
ぴえ
ミステリー
有栖と奉日本シリーズ第七話。
全てはここから始まった――
『過去』と『現在』が交錯し、物語は『未来』へと繋がっていく。
表紙・キャラクター制作:studio‐lid様(twitter:@studio_lid)
有栖と奉日本『ファントムケースに御用心』
ぴえ
ミステリー
有栖と奉日本シリーズ第二話。
少しずつではあるが結果を残し、市民からの信頼を得ていく治安維持組織『ユースティティア』。
『ユースティティア』の所属する有栖は大きな任務を目前に一つの別案件を受け取るが――
表紙・キャラクター制作:studio‐lid様(twitter:@studio_lid)
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ARIA(アリア)
残念パパいのっち
ミステリー
山内亮(やまうちとおる)は内見に出かけたアパートでAR越しに不思議な少女、西園寺雫(さいおんじしずく)と出会う。彼女は自分がAIでこのアパートに閉じ込められていると言うが……
有栖と奉日本『ミライになれなかったあの夜に』
ぴえ
ミステリー
有栖と奉日本シリーズ第八話。
『過去』は消せない
だから、忘れるのか
だから、見て見ぬ振りをするのか
いや、だからこそ――
受け止めて『現在』へ
そして、進め『未来』へ
表紙・キャラクター制作:studio‐lid様(twitter:@studio_lid)
有栖と奉日本『チープな刻の中で』
ぴえ
ミステリー
有栖と奉日本シリーズ第四話。
誰しも時間は平等に流れている。
治安維持組織『ユースティティア』にも警察にも。
それが束の間の平穏だとしても。
表紙・キャラクター制作:studio‐lid様(twitter:@studio_lid)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる