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第三章:作戦会議
京_3-4
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「他の人が狙われる可能性はありますかね?」
有栖の質問に京は一考する。
「旗揚げ記念日の興業には他団体からのゲストも多いらしいわ」
「それは国内のですか?」
「そうね」
「では、国内では業界一位のファイティングプロレスで事故を起こしてやろう、と考える人もいるのでは?」
「ゼロではない――けれど、過去の旗揚げ記念でも毎回他団体のゲストは呼んでいて、持ち物のチェックを受けるらしいの」
「持ち物のチェックですか?」
「えぇ、レスラーを信頼したい気持ちもあるんだろうけど、希にナーバスになった選手がドラッグを使用しているってこともあるらしくてね。そういうのを持ち込んでいないか確認をしているらしいわ。そういうのに頼る選手もいるらしいから」
「見つかった場合は?」
「ケガなどの理由をつけて試合の対戦相手を変更するそうよ。まぁ、そうならないようにフィジカル、メンタルのチェック。もちろん、ドーピングなどの各種ドラッグのチェックもね」
京がすらすらと答えることができるのは今日までに莫大な情報を調べ、ノートなどに書き込み、その内容のほとんどを頭に入れているからだった。
「では、元々所属している選手に対してはどうなんでしょうか?」
京と有栖の会話を聞いていた反保が質問をした。
「所属選手に対して、毎回、持ち物のチェックは行っていないみたい。ただ抜き打ちでは行っているらしいわ」
「では、安易に持ち込めませんよね?」
「そうなの。選手側からすると、持ち物チェックがあるかは定かではない。持ち込んで、チェックがあれば見つかることになる――リスクがある」
「では、事前にファイティングプロレスに連絡し、今回の旗揚げ記念の興業では持ち物のチェックを行うようにしてもらうのはどうでしょう?」
「えぇ、実はもう依頼しているわ。もしかしたら、その情報を事前に盗み聞きしている人もいるかもしれないから、表向きは『持ち物チェックはない』として欲しい、と伝えているわ」
京の発言に全員が少々驚く。彼女の仕事の早さに感嘆したのだろう。
「では、選手が持ち込む可能性は低い……いや、仮に持ち込んだとしても見つかるのでは?」
有栖の質問に京は首を横に振る。
「持ち物検査が行われるのは選手だけ。スタッフは行われないの。だから、スタッフに毒が渡っていたらそこはスルーされる。そういった意味では選手が口にする物に近づくスタッフがいないかは監視で重要なポイントになるわ。それに選手の持ち物チェックもヒューマンチェックである以上は、ミスはありえるし、かいくぐる方法を考えている人もいるかもしれないわ」
「スタッフは要注意。持ち物チェックの結果も事前に確認が必要ですね」
「そうね。あと、ファイティングプロレス側から最新のフィジカル、メンタルチェックの結果を手に入れているわ」
京がページを捲り、あとに続いて複数の紙の捲れる音が聞こえた。
「ケガに関しては各々あるけれど、試合をするには問題なし、とされているわ。けど、注目すべきはメンタルね。基本的には問題なし、と判断された選手ばかり。でも、『不安などを抱えているものがある』と強い傾向が出たのは四人」
京はそこで全員の顔を見た。既に資料を先にみたであろうその表情は渋い。
「棚神選手、ハルカ選手、藤内選手、ミサゴ選手。奇遇ね、有栖さんと反保くんが紹介された主要選手かつ今回のセミファイナルとメインイベントを担当する選手よ。もちろん、重要な役割を与えられているからナーバスになっているとも考えられるけど……どう思う?」
京のその質問は少々意地悪なように全員が感じた。
有栖の質問に京は一考する。
「旗揚げ記念日の興業には他団体からのゲストも多いらしいわ」
「それは国内のですか?」
「そうね」
「では、国内では業界一位のファイティングプロレスで事故を起こしてやろう、と考える人もいるのでは?」
「ゼロではない――けれど、過去の旗揚げ記念でも毎回他団体のゲストは呼んでいて、持ち物のチェックを受けるらしいの」
「持ち物のチェックですか?」
「えぇ、レスラーを信頼したい気持ちもあるんだろうけど、希にナーバスになった選手がドラッグを使用しているってこともあるらしくてね。そういうのを持ち込んでいないか確認をしているらしいわ。そういうのに頼る選手もいるらしいから」
「見つかった場合は?」
「ケガなどの理由をつけて試合の対戦相手を変更するそうよ。まぁ、そうならないようにフィジカル、メンタルのチェック。もちろん、ドーピングなどの各種ドラッグのチェックもね」
京がすらすらと答えることができるのは今日までに莫大な情報を調べ、ノートなどに書き込み、その内容のほとんどを頭に入れているからだった。
「では、元々所属している選手に対してはどうなんでしょうか?」
京と有栖の会話を聞いていた反保が質問をした。
「所属選手に対して、毎回、持ち物のチェックは行っていないみたい。ただ抜き打ちでは行っているらしいわ」
「では、安易に持ち込めませんよね?」
「そうなの。選手側からすると、持ち物チェックがあるかは定かではない。持ち込んで、チェックがあれば見つかることになる――リスクがある」
「では、事前にファイティングプロレスに連絡し、今回の旗揚げ記念の興業では持ち物のチェックを行うようにしてもらうのはどうでしょう?」
「えぇ、実はもう依頼しているわ。もしかしたら、その情報を事前に盗み聞きしている人もいるかもしれないから、表向きは『持ち物チェックはない』として欲しい、と伝えているわ」
京の発言に全員が少々驚く。彼女の仕事の早さに感嘆したのだろう。
「では、選手が持ち込む可能性は低い……いや、仮に持ち込んだとしても見つかるのでは?」
有栖の質問に京は首を横に振る。
「持ち物検査が行われるのは選手だけ。スタッフは行われないの。だから、スタッフに毒が渡っていたらそこはスルーされる。そういった意味では選手が口にする物に近づくスタッフがいないかは監視で重要なポイントになるわ。それに選手の持ち物チェックもヒューマンチェックである以上は、ミスはありえるし、かいくぐる方法を考えている人もいるかもしれないわ」
「スタッフは要注意。持ち物チェックの結果も事前に確認が必要ですね」
「そうね。あと、ファイティングプロレス側から最新のフィジカル、メンタルチェックの結果を手に入れているわ」
京がページを捲り、あとに続いて複数の紙の捲れる音が聞こえた。
「ケガに関しては各々あるけれど、試合をするには問題なし、とされているわ。けど、注目すべきはメンタルね。基本的には問題なし、と判断された選手ばかり。でも、『不安などを抱えているものがある』と強い傾向が出たのは四人」
京はそこで全員の顔を見た。既に資料を先にみたであろうその表情は渋い。
「棚神選手、ハルカ選手、藤内選手、ミサゴ選手。奇遇ね、有栖さんと反保くんが紹介された主要選手かつ今回のセミファイナルとメインイベントを担当する選手よ。もちろん、重要な役割を与えられているからナーバスになっているとも考えられるけど……どう思う?」
京のその質問は少々意地悪なように全員が感じた。
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