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第十章_空白と余白
反保_10-3
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反保が有栖に縋りたくなったのは、彼女が強い人間だからだ。彼がそう再認識をしたのは一色の密葬のときだ。
その日は反保は悲しみと寂しさを我慢することが出来ず、終始泣いていた。一色の部下として、葬儀の対応をしなければならなかったのに何も出来なかった。
それが許されたのはそのような状況になっていたのが、反保だけではなかったからだ。
その場に訪れた者達は、ほとんどの人が泣き、悲しんでいた。驚いたのは警察の人間も来て、同じように嘘偽り無く泣いていたのだ。
人の人生の価値はどのように表し、評価するかなんて解らない。しかし、その当人が亡くなったときどれだけの人間が涙を流し、悲しんでくれたのかは、その人生がどれほどのものだったかを教えてくれているようだった。
――あぁ、一色さんは素晴らしい人だったんだ
反保はそう思い、また泣いた。
そして、一方で――
有栖は涙一つ流さず、冷静に葬儀の対応をしていた。反保が知る限りでは、彼女は一色が死んでから、一度も人前では泣いていないようだった。
――もう受け入れて、前に進もうとしてるんだ。有栖先輩は強い人だなぁ
そんなことを思ったのだ。
その日は反保は悲しみと寂しさを我慢することが出来ず、終始泣いていた。一色の部下として、葬儀の対応をしなければならなかったのに何も出来なかった。
それが許されたのはそのような状況になっていたのが、反保だけではなかったからだ。
その場に訪れた者達は、ほとんどの人が泣き、悲しんでいた。驚いたのは警察の人間も来て、同じように嘘偽り無く泣いていたのだ。
人の人生の価値はどのように表し、評価するかなんて解らない。しかし、その当人が亡くなったときどれだけの人間が涙を流し、悲しんでくれたのかは、その人生がどれほどのものだったかを教えてくれているようだった。
――あぁ、一色さんは素晴らしい人だったんだ
反保はそう思い、また泣いた。
そして、一方で――
有栖は涙一つ流さず、冷静に葬儀の対応をしていた。反保が知る限りでは、彼女は一色が死んでから、一度も人前では泣いていないようだった。
――もう受け入れて、前に進もうとしてるんだ。有栖先輩は強い人だなぁ
そんなことを思ったのだ。
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