有栖と奉日本『垂涎のハローワールド』

ぴえ

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追憶_7

一色_三十九歳_4

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 またアキちゃんについていく。とは言ってもアキちゃんのお目当てのモノはすぐそこにあった。

 「ボールギャグ……?」とおそるおそる聞いてみる。アキちゃんは夢中で選んでいる。
 「メイちゃんはお口小さいからこっちかな……、でも黒より赤の方が情緒あるよなぁ。」なんて言っている。全然人の話を聞いてくれない。

 「そんなの買って何につかうのっ……!」と言ってみたが、
 「もちろんメイちゃんに使うんだよ?声出さないように。あと唾液が垂れるのもいいよね。」なんてアキちゃんは相変わらずご機嫌だ。

 どうやら今晩はボールギャグを使われるらしい。いや夜とは限らないが……、とにかく使われてしまうのは確かだ。何だか怖そう。息は普通にできるのだろうか。苦しいのだろうか、やっぱり声は出せないよね……とどんどん不安になってくる。

 湧き上がってきた不安を拭おうとして、店内を一人で物色してみる。もちろんアキちゃんの側から離れないようにして、だ。
 やたらと種類が多いコンドームゾーン、潤滑ゼリーにローション、そして布面積が少ない下着……、いったいこんな下着で何を守ろうというのだろうか。理解に苦しむ。

 ふとバラ鞭が私の目に留まった。この前のことを思い返す。お尻を叩かれてすごく痛かったけれど、でも何かから解放されていくような痛みが気持ちよかった。
 洗濯バサミやメンタームを使って一人で散々思い返しながらしたけれど、お尻も軽く叩いてはみたけれど……、アキちゃんにされている時程自分を追い詰めることはできなかった。
 また叩かれたい、と思う。一人でしていたことも、叩かれたいと思っていることも、とてもアキちゃんには言えないけれど。

 
 お目当てのものを選び終えたのか、気づくとアキちゃんが隣にいた。
 いつものニヤニヤ顔で、「ふーん、メイはこれがいいの。」なんて言っている。

 私は何も言えずに下を向く。
 そりゃ買ってくれたら嬉しいけれど……、やっぱり鞭が欲しいだなんて口が裂けても言えない。

 「どうなの?メイ?」とアキちゃんに聞かれるけれど、
 「べっ……別に。見てただけ。」なんてそっけなく返してしまう。

 アキちゃんは暫く私と鞭を交互に見て、「まぁいっか。」と言って鞭を手に取った。
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