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追憶_7

一色_三十九歳_1

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「一色さん!!」
 その日、聖は怒りの感情を露わにして、俺を会議室に呼び出して、前に立ち塞がったな。それを見て、俺は――あぁ、バレたな、と思った。それでも長い間、出し抜いた方かもしれんな。
「ユースティティアに転職する、というのは本当ですか?」
 聖は俺を睨みながら、真っ直ぐに、そして、不安そうに聞いてきた。否定して欲しいんやろなぁ。頭も良くて、身体能力も高い、それに最近では別の才能も芽吹いてきたってのに、こういう解りやすいところがコイツの欠点やな。まぁ、そこが良いところなんかもしれんけど。
 たぶん、俺の転職の情報も捜査一課の誰かが聖が何も知らんでおることに耐えかねて話したんやろ。俺は転職のことを聖以外には話して、黙ってて欲しいって伝えたから。
「……ホンマやで」
 俺がそう言うたとき、聖は明らかに泣きそうな顔を一瞬見せて、俯いた。そんな顔するって思ったから言いたくなかってん。黙って消えようかと思ってん。あとから恨まれてるとか聞く方が楽やったから。
 お前のことは可愛がってたし、自慢の相棒やから……自分が辛くならんように逃げるように去りたかってん。
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