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追憶_6

一色_三十三歳_1

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 捜査一課で活躍していく中で、当然ながら出世の話も出た。けど、現場が好きやから、という理由で断ってきたんよ。理由は半分は本当、もう半分はシニガミにおった自分が幹部側に行くと、警察の裏側に飲み込まれるんやないかと思ったからや。
 仕事としては今のままで充分過ぎるほどに満足していたし、京も俺の気持ちを尊重してくれた。幸せやったなぁ。
 そんで、このときに一つの出会いがある。

「イチ、今日から来る新人の面倒みてくれ」
 それは当時の上長が俺を信頼して任せたことやった。というか、俺以外なら上手く扱えるか解らんかった、というのが正しいかもしれん。
 その新人の経歴を事前に見て、驚いた。優秀、というのもあったけど、それ以上に――
「お、来たか」
 捜査一課のオフィスのドアから総務課の署員が顔を出し、こちらに合図を送っている。新人が来た、ということだ。課長が頷くと、ドアが開き、一人の青年が入って来た。
 すらっとしたスマートな青年で、きりっとした眼にエリートさを表すようなメガネが似合ってたな。
「本日から、こちらに所属します。虹河原 聖です。宜しくお願い致します」
 
 虹河原 聖。
 特別警察高校を首席で卒業。卒業後、十八歳の若さでそのまま警察へと入署。そして、捜査一課に配属。
 俺とは違って、聖は裏社会には触れず、俺が歩みたかった道を真っ直ぐ歩いてきた奴やった。
 せやからかなぁ、俺は聖が可愛くてしかたなかったわ。
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