有栖と奉日本『垂涎のハローワールド』

追憶_3

一色_十八歳_1

　十八歳になった俺は無事に――いや、無事ではないか。まぁ、それでも一応、特別警察高校を卒業して警察へと就職した。
　所属は捜査四課――『シニガミ』と呼ばれる組織図には掲載されへん部署やった。最初は同期とかに相談しようかと思ったけど、そんな余裕は俺にも同期達にも存在せんかった。各々が忙しくなり、自分のことで精一杯で、次第に散り散りになる。まぁ、それは俺が『シニガミ』に所属せんでも同じやったと思う。

　ほんで、俺は流されるがままに『シニガミ』に所属して、そのときの上司が方波見やった。どうやら、彼が俺を引っ張ってくれたようや。
　これは幸運といえば、幸運やったかもしれん。
　この人が引っ張ってくれんかったら、俺は卒業とともに消されていたかもしれんから。それがヤクザなのか警察なのかは知らんけど。