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第三章_六日前
一色_3-3
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「アース博士の死後、彼女が残したデータとかはありますか?」
「彼女自身に関することは一切無いですね。あと、何かが作成途中だったみたいなものもありませんでした」
職員は話し慣れているのか、つらつらと続ける。
「まるで立つ鳥跡を濁さず、という感じなんですよ。綺麗さっぱり消えていました。でも、一方で我々のことを考えてくれたのかパソコンの中に『マザー・エレクトロンへ』というフォルダがあって、そこには開発予定だった草案が残してありました。それが我々では考えもつかない内容のものも多くて、改めてあの人は天才だったんだ、と思い知らされましたよ。一部の職員は『恩恵』と呼んでいます」
そういって、彼は笑う。
「その草案の中に『レシエントメンテ』というものはありますか?」
一色の質問に、その職員は首を傾げた。
「レシエントメンテ――聞いたことないですね。残された案は我々にとっては宝物のようなもので、何百回も確認しましたが、そのようなものはなかったと思います。えっと、クラウドで草案は共有されていますので、調べてみますか?」
「お願いします」
そこから、職員は胸ポケットからスマホのような端末を取り出し、手慣れた操作を行う。
「今、共有されているフォルダや社内のイントラネットの掲載事項を確認しましたが、ないですね」
その職員は改めて、何度か一色の前で検索をしたが確かに無さそうだった。
事実、マザー・エレクトロン株式会社がアース博士を酷使していなかった証拠の一つとしてこの草案については警察に提示していた。それは彼女は会社のことを思ってくれていたのだ、というあんまり意味のない弁明だが。
この情報については一色も過去に警察にいた伝手で確認させてもらったが、その中に『レシエントメンテ』がないことは確認していた。
「確かになさそうですね、ありがとうございます」
一色は検索結果を確認した上で、礼を言った。
「彼女自身に関することは一切無いですね。あと、何かが作成途中だったみたいなものもありませんでした」
職員は話し慣れているのか、つらつらと続ける。
「まるで立つ鳥跡を濁さず、という感じなんですよ。綺麗さっぱり消えていました。でも、一方で我々のことを考えてくれたのかパソコンの中に『マザー・エレクトロンへ』というフォルダがあって、そこには開発予定だった草案が残してありました。それが我々では考えもつかない内容のものも多くて、改めてあの人は天才だったんだ、と思い知らされましたよ。一部の職員は『恩恵』と呼んでいます」
そういって、彼は笑う。
「その草案の中に『レシエントメンテ』というものはありますか?」
一色の質問に、その職員は首を傾げた。
「レシエントメンテ――聞いたことないですね。残された案は我々にとっては宝物のようなもので、何百回も確認しましたが、そのようなものはなかったと思います。えっと、クラウドで草案は共有されていますので、調べてみますか?」
「お願いします」
そこから、職員は胸ポケットからスマホのような端末を取り出し、手慣れた操作を行う。
「今、共有されているフォルダや社内のイントラネットの掲載事項を確認しましたが、ないですね」
その職員は改めて、何度か一色の前で検索をしたが確かに無さそうだった。
事実、マザー・エレクトロン株式会社がアース博士を酷使していなかった証拠の一つとしてこの草案については警察に提示していた。それは彼女は会社のことを思ってくれていたのだ、というあんまり意味のない弁明だが。
この情報については一色も過去に警察にいた伝手で確認させてもらったが、その中に『レシエントメンテ』がないことは確認していた。
「確かになさそうですね、ありがとうございます」
一色は検索結果を確認した上で、礼を言った。
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