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第一章:八日前

一色_1-3

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 真木は一色に対して以下の報告を行った。

 天使は表からではなく、裏から警察を牛耳ろうとしていること。
 天使は表では若くして幹部職に該当しているが、本職は裏で警察の暗部に関わる業務に従事していること。
 天使は既に多くの幹部や与党の重役議員の汚職をもみ消し、多大な信頼を得ていること。

「憶測――というよりは確信に近いんだが、田中――派出所勤務の警察が殺人事件を起こした、その犯人だが、彼が中々捕まらなかったのも、天使の策略かも知れない」
「その理由は?」
「当時、田中の行動記録のデータには偽装があったはずだ。だけど、不自然なぐらいに辻褄が合うように証人がいた。しかし、犯人として確保されてからはその証人が、これまた不自然なぐらいに証言を変えたり、辻褄が合っていた部分が改訂して穴があったり、と『ちゃんと確認していれば事前に防げた』かのように違和感のあるデータに変わっていた」
「寝かせるだけ寝かして、大きな爆弾に育てたってことか。理由は――真木、お前に責任をとらせて辞めさせる為やろな」
「恨みを買う人生ではなかったはずだけどなぁ」
「お前は仕事も出来るし、隠蔽など取引には応じないし、周囲からの信頼も厚かったからな。裏から見たら厄介な存在やったんやろ」
「真面目に生きて損した気分だ。まぁ、未練もないが」

 嘲笑混じりにそう言うと、真木は一度水を飲み、喉を潤した。ここからが重要だ、と言わんばかりの間の取り方だった。

「イチ、現在警察は天使、もしくは、天使に協力している警察の重役の誰かによって都合の良い組織に作り替えられつつある。
 事実、多くが天使に協力的の様相だ。一部には賢い奴も根性のある奴もいるけど、基本は様子見。けど、このままいけば――」
「天使に飲み込まれるやろな。その警察の重役も天使を操っているつもりかもしれんけど、最終的にはそいつも飲み込まれるやろ。
 天使ならそれが出来る」
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