有栖と奉日本『デスペラードをよろしく』

プロローグ

プロローグ

「はい、よろしくお願い致します。では、詳細の案内についてはメールにて送付致します」

　天使は言って、電話を切った。そして、パソコンを操作し、メールソフトを立ち上げる。
　文字を打ち込み、左から右へ流れていく文字、一つずつ作成していく文面、完成していくメールは間違いなく彼の気分を高揚させていた。それは、このメールの完成は天使が成し遂げようしていた計画が最終段階に入ったことを意味することになるからだ。

　血反吐を吐きながらも、血塗られた道を歩み、描き続け、追い求めた理想像。長い歳月を経て、それが実現しようとしている。そのことは常に冷静を心がける天使でも、影響はないとは言い切れなった。

　タン、とエンターキーを押し、右の中指が少し弾む。そして、完成したメールを送付した。

「飛田くん、彼方、此方」

　呟くように、発した言葉に同室で控えていた三人が反応する。

「高良組と連絡をとって、ユースティティアをおびき出す準備を進めます。計画は以前伝えたとおりで、変更はなし。クライアントの前ですべてを終わらせましょう」