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第二章 あいまいみー

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 最初、俺は疲れているのだと思った。
 だって、視界に入る人々が二重に見えるんだから誰だってそう思うだろ。それが疲れ目かかすみ目か、それを判断しようとしたら俺は気を失って救急車に運ばれた。
 
 これが何なのかは、入院中に解った。
 二重に見える、というのは一方が実体で、もう一方は透けて見える状況だった。この後者の透けて見える方は――未来の映像だった。
 頭が狂ったと思ったか? 安心しろ、俺も最初そう思った。だが、その事態に発狂するほど俺のメンタルは柔らかくなく、そこそこ丈夫だったようだ。
 自分が狂った、と思いこむより、この現象を何かと理解しようとしたんだ。その結果が、これだ。
 見えているのは、おそらく一秒後の世界。
 例えば人の手が一秒後に、その透けて見える箇所へと向かっていき重なる――そんな感じだ。
 それが理解できたとき、俺はこれを一つの能力だと受け入れることにした。いや、何故、と考えることを諦めたかな? まぁ、どっちでも良い。
 とりあえず、この能力には利点がある、と思った。

 俺は入院中になんとかこの能力をコントロールすることに努め、能力のオンとオフの切り替え。そして、その能力を発動させる対象を一人や複数にすることができるようになった。
 そして、次にその能力の限界を知ることにした。
 それは見える未来の上限。一つは秒数。もう一つは人数。これは総合的に関係があった。
 
 秒数は二秒以上は頭痛が伴い、三秒に延ばすと気を失った。
 人数は見える未来を一秒に設定し、複数人見るとすると五人から頭痛が伴い、それ以上にすると気を失った。
 この人数に関しては秒数を延ばすと減っていくようだ。
 これは自分の精神力次第なんだと思う。訓練を重ねれば見える未来の時間も、人数も増えるのだろう。
 とりあえず、最低限のコントロールができるようになった時点で退院することになった。
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