有栖と奉日本『ミライになれなかったあの夜に』

エピローグ

天使

「――以上が現時点での情報です」
「どのように動きましょうか？」

　HALビルにて天使は彼方と此方の報告を聞き、小さく笑った。

「『レシエントメンテ』はこちらに、ワクチンである『デスペラード』は高良組に、そして、パスワードはユースティティアに。面白い状況ですね」

　その様子には余裕があるようにも思えるが、状況としては決して優位にあるようには思えない。それを口にしたのは飛田だった。

「相手に対抗策がある以上、こちらも動くべきだと思いますが」
「そうですね。ですが、もう少し泳がして、もう一つ動いたところで、こちらも動きましょう。上手くいけば、ユースティティアも高良組も『デスペラード』も一緒に潰すことが出来るかもしれません。次は飛田くん……キミにも動いて貰いますよ」

　天使の言葉に飛田が静かに頷く。

「全てが佳境に入ろうとしています。こちらも全てを終わらせる為に、次のステップに移行する準備をしましょう」