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過去との対話_奉日本_5

奉日本_5-3

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 その日は通常より賑わっていた。これは伊東が何かを画策した、というよりは偶然が重なったのだろう。先週でもこのような日があったので、伊東の腕が良い、というよりは立地が良いのだと思った。
 ここはタクシーも店前まで入れるし、少し離れた場所に休憩できる場所もあるので、『そういうことが目的』の男が標的の女性を連れてくることが多い。また、常連に関しては伊東も少し協力をしているようだった。

「いらっしゃいませ」

 開店して忙しさの波が少し穏やかになったところで、別の波としてやって来たのがユースティティアの一行だった。一つ前の飲んでいた店を出るところで連絡があったのでリザーブ席を用意していた。そこに数人の屈曲な男とそれを引き連れる中年の男性――その一番偉そうな男が伊東が懇意にしている相手だろう。
 そこまでを察するのは容易だったが、少し驚いたのはその中に一人だけ女性がいたこと。強制的に連れて来られたのかは定かではないが、少々気合の入った表情だったことに加えて紅一点だったので目立っていた。
 このときは、だからといってこれ以上の勘繰りをすることはなく、ただ席に案内し、普通の客として接客したのを覚えている。
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