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「俺が間接的に関わっている……ですか」

 奉日本を少し驚いた表情を作って、有栖の言葉に反応した。

「はい。まず、この男を殺した犯人は、自分の元上司です」
「犯人は明確なんですね」
「えぇ、自首していますから。ですが、今大事なのは犯人よりもこの男が知っていた情報です」
「ですが、その男と話した記憶はありませんよ」
「えぇ、自分も高本さんがこの男と直接話したとは思っていません。ですが、この男と確実に接した人間とは知り合いだったはずです」
「……なるほど。続けて下さい」
「落が殺害されたのは――ユースティティアの打ち上げがあった日なんです。その場には自分もいました。もちろん、殺害を実行した上司も。そして、二次会にも行っています」
「…………」
「殺害をした上司は聴取で、落のその日の行動については当日にバーテンダーから聞いた、と自供しています。つまり、そのバーテンダーは落と事前に接触しており、様々な情報を得ていたことになります」
「そうでしょうね」
「ですが、そのバーテンダーは既に捕まっています。正確に言えば、過去に自分が捕まえましたが、警察に身柄を確保され、今も拘留中です。警察に話を聞きたいと言っても無理かと思います。不思議な力が働きそうで」
「不思議な力は解りませんが、有栖さんが捕まえて、警察に身柄を確保されたバーテンダー、というのは聞き覚えがありますね」
「はい、その男の名前は――伊東貞正(いとう さだまさ)。高本さんの先輩のバーテンダーでしたよね?」
「はい」
「そして、落が殺害された日とユースティティアのその上司が二次会を開いた日、これは一致しており、そのバーの店主が伊東でした。しかし、その伊東からは情報は聞けません」
「それは困りましたね」
「ですが、その日、伊東のバーには他にも店員がいました。自分も覚えています。伊東はカウンターの向こうで酒を作っていましたが、店内の客にメニューを渡したり、注文を聞いて伊東に伝えたりしていた青年がいたことを。調べたところ――それは高本さん、アナタですね?」
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