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現在_特務課

特務課_1

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「先輩!」
「よっ、反保。久々だね」

 データベース改ざんの聴取が行われてから、一週間と少し。有栖は特務課へと出社した。ユースティティア内で起こった事件であった為、拘留から解除され、正面から出社した彼女を見る視線は様々であったが、それを気に留めるだけ無駄なので無視した。寧ろ、直接絡まれて面倒なことになるよりは楽、と考えると同時にアンタッチャブルな存在な自身が愉快に思える余裕もあった。それは彼女自身が解放されたことは、進展に繋がったことと同意であり、そのことが彼女を多少高揚させていた。

「思ったより元気そうで何よりです。身体面も精神面も」
「規則正しい就寝時間に起床時間。それに健康面を考慮した三食に昼寝付き。ここで働いてるときより人間らしいな生活だったからね」
「何か少し羨ましく思えてきました」

 じとっと暗い視線で見つめてくる反保とその後ろにある彼のデスクには山積みになっている雑務関係の資料がある。上司も先輩も不在の中、彼の孤軍奮闘は想像に容易い。

「迷惑かけたわね」
「いえ、忙殺されてるぐらいの方が余計なことを考えずに済んだので丁度良かったです」
「それを聞いて少しは気持ちが軽くなった。でも、自分が特務課に戻ったってことは――」
「事態が進展するってことですね」

 反保の目が一瞬紅くなった気がした。それは有栖の見間違いだった可能性もあるけれど、そうでなかったとしても彼の真っ直ぐで力強い目は頼もしさを感じさせるには充分だった。

「そうだけど、京さんや佐倉さんが来るまでいつも通り仕事をこなしておこう」
「はい」

 その会話を交わした後、二人は各々のデスクに着いた。久々に座る自身の椅子に有栖は帰ってきたな、と実感したが、起動したパソコンを操作しメールソフトを確認すると同時に、過去最大量の未読メールの通知数を見て帰りたくなった。
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