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現在_ならず者

反保_1-2

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 反保は一瞥はしたものの折角通された席、ということもあり、少し躊躇いながら座ることにした。

「良いのか? ユースの隊員がヤクザの隣で飯食っても」
「他の席を要求するのも、状況も解ってないのに出て行くのも、店の人に失礼ですから」
「そりゃそうだな」

 少し笑った久慈は、目の前にあるラーメンとチャーハンのセットを口に運ぶことを再開した。反保も目の前に立て掛けられている薄汚れたメニューを手に取ると、パラパラと見たところで店員が注文を聞きに来た。
 まだ決まっていなかったが、ここで伝えるのを後回しにすると、また聞きに来るのは遅くなるだろうし、大きな声で呼び止めるのも苦手なので、反保は結局、隣で食べている久慈と同じメニューを頼むことにした。
 注文を終えると、反保は特にすることもなくカウンター席から見える店主であろう年老いた男性が慌ただしく調理する様子を見ていた。そこに、

「大変そうだな」

 久慈が目線は料理に向けたまま、反保に話しかける。それがユースティティアの隊員に話しかけているのか、反保という一個人に話しかけているかは定かではない。
 このような言い方になるのも、かつて反保はユースティティアに入隊する前に久慈と面識があった。しかし、それを彼は覚えているが、久慈が覚えているかは解らない。

「そちらにも伝わっているんですね」
「まぁ、俺達はユースや警察の情報には敏感になっているからな」
「そうですか」
「で、どうだ? 打開策はあるのか?」
「言うわけないでしょう。あったとしても」
「そりゃそうか」

 かみ殺すように笑うと久慈は食事を再開する。残りはもう僅か、といったところだ。

「……ですが、言わなきゃいけないこともありますね」
「ん?」
「久慈さん。覚えているかは解りませんが、僕は入隊前にアナタに助けてもらったことがあります。その節はありがとうございました。また、黙っていなくなってすみませんでした」

 反保は心のどこかでずっと気になっていたことを、ようやく伝えることが出来た。
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