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過去との対話_有栖_4

有栖_4-2

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「警察とかは?」

 両親にも友達にも就職先の一つとして、その言葉をよく聞いた。正義感が強く、男勝りな『私』にはぴったりだ……らしい。
 でも、あんまり乗り気にはならなかった。当時から汚職や賄賂……そんな話はよくニュースで取り上げられていた。それに噂では昔からある組織なので男尊女卑やら女性差別も多い、とか聞いていたので、そのような環境で耐えられる気がしなかった。

 やっぱりスポーツトレーナーかな、とか考えていると、専門学校の先生から一つだけ珍しい提案をされた。

「有栖、ユースティティアって知っているか?」

 その名前は聞いたことはあったが、専門学校の先生が詳しく説明してくれた。
 治安維持組織『ユースティティア』
 現政権と警察の癒着によって治安維持が危ぶまれた経緯で新設された治安維持組織で、警察と同等の権力を有する強力な組織だ。
 まだ歴史が浅い為から知名度は低いけど――

 と説明を聞いていたが、どうやら『私』はそのユースティティアへの推薦状を出せる対象らしい。理由は、スポーツテストの結果が全国トップクラスだから。おまけに他の希望者がいないらしい。

 その説明を聞いて、『私』は面白そうだな、と思った。
 新設された組織ということもあり、社風も新しいかもしれない。女性でも活躍できる環境かもしれない。スポーツテストの結果を考慮しての推薦なら前線部隊って可能姓も――そのような想像が膨らんでいくと、それは希望となり、期待となり、『私』の進路を決めるきっかけと前に進む為に背中すら押してくれたような気がした。

 そして、『私』は両親と相談し、自身でも改めて検討はしてみたけれど、最初に抱いた希望と期待に胸が踊った感覚を忘れることが出来ず――ユースティティアへの就職を決めたのだった。
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