有栖と奉日本『ミライになれなかったあの夜に』

ぴえ

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過去との対話_有栖_4

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 高校卒業後、『私』はスポーツ関係の専門学校に入学した。受験らしい受験はなく、学校からの推薦があり、願書の提出と簡単な筆記テストを受ければ手応えを感じることなく合格した。
 進路については色々と考えてみた。格闘技のプロを今更目指すつもりはなかったが、その経験を活かせないかとは考えた。
 最初はアスリートの身体のケアを行うスポーツトレーナーがいいかもしれない、と思った。なので、そういった体育関係のような職業に就ける専門学校に入学した、ということだ。

 専門学校の日々は、わりと普通の学生生活を過ごしたと思う。合コンもいったし、友達ともたくさん遊んだ。
 初めて彼氏も出来たし、恋愛でこれまであまり感じたことのないくすぐった感情も味わった。
 その人で処女も捨てた。初体験、という特別な経験はこれといった印象には残らず、破瓜の傷みと出血と馬乗りになった彼氏が獣のようでどこか気持ち悪く感じたぐらいだ。だから、捨てた、という表現に自然となってしまう。
 その彼氏とは『私』がそういった行為を好まないから、身体の関係が少なくなると定期的に性欲が発散できる他の女性と浮気をしたので、その現場を押さえて、殴って、さようなら。

 まぁ、そのような青春の日々を二年間過ごしながらも、『私』は先生から教わったトレーニングメニューを毎日欠かさなかった。
 これはほぼ一日のルーティンに組み込まれてしまっていたので、しないとなんか気持ち悪いし、身体が本調子にならないような気がした。


 そして、そこそこの青春を過ごした二年間はあっという間で就職先を決める時期になった。
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