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過去との対話_有栖_1

有栖_1-1

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「生まれたときから元気の塊だった」

『私』が両親に自分の子供の頃はどうだったかを尋ねると、必ずその言葉から始まった。
 というのも、母は『私』が生まれたとき、そのけたたましい泣き声に男の子が生まれたと勘違いしたらしい。事前にお腹の中の赤ちゃんは女の子だ、と医師に告げられていたのに関わらず。

「女の子だから人形遊びの為にクマの人形を買ってあげたんだけど、よくその人形とケンカしてた」

 そんなわけないでしょ、と言いたいけどアルバムの写真に所々写り込んでいるクマの人形のあらゆる部分がほつれ、綿が出ているのを見ると否定はできなかった。そもそも『私』が覚えていない時点で、親と記憶の照らし合わせをしても意味は無いし、誰もが親の言うことを信じるのは当然だった。

「とにかく外で遊んでたわね。女の子の友達よりも男の子の友達の方が多かったんじゃない?」

 小学生の低学年だったかな?
 うん、それならそうだった気がする。
 あぁ、そうだ。その頃かな? 確か同級生の男の子とケンカになって――

「同級生の男の子を泣かしちゃってね。それで、その男の子のお兄ちゃん――確か中学生だったんだけど、仕返しにそのお兄ちゃんを呼んで来ちゃって。その子ともケンカ。結果は――」

 よく覚えてる。
 周囲の大人達が割って入ってレフェリーストップ。
 当然、腕力では勝てない『私』だったけど、意地では負けなかった。
 殴られて、顔面を腫らして泣きながらも相手の指を噛みつき続けた。


 負けん気が強いのは悪いことじゃないけど、力の正しい使い方を学ばないと将来危ないんじゃないかと両親は危惧した。そこから格闘技を習わせようってなったのよね。最初は――空手だった
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