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武器屋巡り
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「やっぱここよねぇ~。あら、ここもう少し張っててもいいんだよね⋯⋯」
「おっ、面白い武器あるじゃん!やっぱダクライのおっちゃんの所じゃないとな!」
武器を手に取って、俺は思わず店主のダクライのおっちゃんに声を掛けていた。
⋯⋯ん?ちょっと待て。今もしかして、あんな感じの割には意外とノリノリじゃん?とか思ったろ?
違うな。正確には「環境に馴染んでいる」と言ってくれるかな?
「んぉ? あぁ、これはな⋯⋯」
今見ているのが多分地球の名前で言うところのソードブレイカーだ。形状から見てもほぼ間違いないだろう。
現状俺が使用しているのは故郷のロングソードで、ソードブレイカーを忍ばせてパキン!といかせるみたいな場面ありそうじゃね?
「またこんな変なのばかりうちの箱から見つけよって」
「武器屋に置いてあるのは全部有効活用できるものしか置いてないでしょ?」
「まぁそうだが⋯⋯」
ここはシャルの冒険者たちなら必ず一回は来ると断言しても良い武器屋⋯⋯ダイ。
ダクライは卓越した腕を持つ職人だが、性格がかなり良いことから、初心者から上級者まで、みんなここで発注したり見物したりする。雑談の方で一日中盛り上がったりなんかもあったりした時もあったな。
⋯⋯ま、一言でいえば、めっちゃいいやつだから皆集まってくる、だ。
それで俺は店の端にある売れない商品エリアに張り付いて珍しいものだったりレアなお宝探しに勤しむ。
もしかしたら何かいいものがあるかもしれない。
てかこの世界の人間からしたらゴミでも、俺からしたらお宝だったみたいな話はもう10回は味わっている。
「ダクライのおっちゃん、なんでこんなでっけぇ鎌なんて作ろうと思ったんだ?」
「貴族の坊っちゃんに頼まれたのさ。作ったんだが、すぐに飽きてそのザマさ」
「こっちは?」
「それも違う貴族様の発注物だ」
鎌にキラキラの鉄剣。やはり男は厨二病にかかる時期が訪れるという訳だな。うん。
「アタシ決めたわ!」
「何がだ?」
何やら意気込んでいるので近くに行ってみると、金貨レベルのする弓を手にとって買う決意をしていた。
ほう、耐久性重視はまぁそうか。
「ビビちゃん、金貨12枚」
「⋯⋯くぅー」
「まぁこれは上等なやつだからな。下げれねぇぞ」
「ねぇノア?」
「うん?」
「あたし達のパーティーに⋯⋯」
「入らんぞ」
「まだ最後まで言ってないのに!」
「文脈的にそう言うだろうと思ったまでだ。大体、なんで俺なんだ? お世辞にも毎日酒場で呑んだくれてる落ちこぼれ野郎だぞ?」
「そんな事⋯⋯!」
「あるだろう? 実際、今日だって俺達が呑みまくってる最中にやってきたじゃないか」
俺としてもなぜここまで好かれてるのか理解できない。
別に何かを知ってる訳でもないわけだしな。
「い、いいのよ!そんな事は!」
「まぁ多分俺は、ソロが似合ってんだよ。何も考えずに薬草採取して、街のお掃除して、偶に警備やったりして過ごすのがいい。そっちに入ったら毎日危険だし」
「それは⋯⋯そうだけど⋯⋯」
街を散策する俺達の視線の先の方にある一画で、何やらざわざわしている。
「平民が!これは見世物ではないのだぞ!」
おぉ⋯⋯ありゃ王都の貴族様だ。
着ている服で大体わかる。
「なんでこの街で?」
「ウーロン伯爵、ラインハルトに会いたくて仕方ないって噂は本当だったのね」
「なんでそこでラインハルトの名前が出てくんだ?」
「なんで⋯⋯?そりゃ、今やラインハルトの影響がもろに広がってる状況だからでしょ? 今、大陸で景気がいいのは王都付近一部だけ。あとは皆微妙か不作。ラインハルトの影響力を一心に受けているこのシャルの街だけが今や筆頭稼ぎに躍り出そうなくらいよ」
「そんなにか」
思わず唖然としてしまった。ラインハルトの影響力の大きさを少し舐めていたかもしれない。
恐ろしくも感じる。
うー怖え怖え。知識チートはやり過ぎるとマジでこうなりかねんから仮想の人物で行っててよかった~!
いや一瞬自己主張しようか迷ってたんだけど、この世界の貴族マジで怖いから、自己主張やめたんだよね。
全然思ってた異世界じゃなかったというか⋯⋯まぁ当たり前というか。
本当不敬罪って怖すぎる単語だわ。その点、シャルの領主は丁寧で物腰柔らかい事で有名だ。
「なんでウチに言わなかったんだー!とか叫んでたらしいよ?どうせ無視してたくせに」
普通そうだわな。いきなり手紙でこうすれば量産出来ますよーとか信用なさ過ぎだわな。
シャルの領主はよく実行したと思うわ。
「だろうな。ここの領主様々ってやつだな」
「あと何か必要なものある?」
「いや?特に俺はないよ」
「じゃあこのままウチのパーティーハウスに来る?」
「あ、待って⋯⋯それまた今度でいい?」
「んー、まぁしょうがないから許したげる。用事?」
「あぁ。ちょっとな」
「⋯⋯女じゃないよね?」
「ビビはなんの心配してんだよ」
ギルド近くまで戻り、俺とビビは解散した。
そして俺は、歩きながら見覚えのある人間を目撃したので、気になってその現場の方へと歩いていった。
「おっ、面白い武器あるじゃん!やっぱダクライのおっちゃんの所じゃないとな!」
武器を手に取って、俺は思わず店主のダクライのおっちゃんに声を掛けていた。
⋯⋯ん?ちょっと待て。今もしかして、あんな感じの割には意外とノリノリじゃん?とか思ったろ?
違うな。正確には「環境に馴染んでいる」と言ってくれるかな?
「んぉ? あぁ、これはな⋯⋯」
今見ているのが多分地球の名前で言うところのソードブレイカーだ。形状から見てもほぼ間違いないだろう。
現状俺が使用しているのは故郷のロングソードで、ソードブレイカーを忍ばせてパキン!といかせるみたいな場面ありそうじゃね?
「またこんな変なのばかりうちの箱から見つけよって」
「武器屋に置いてあるのは全部有効活用できるものしか置いてないでしょ?」
「まぁそうだが⋯⋯」
ここはシャルの冒険者たちなら必ず一回は来ると断言しても良い武器屋⋯⋯ダイ。
ダクライは卓越した腕を持つ職人だが、性格がかなり良いことから、初心者から上級者まで、みんなここで発注したり見物したりする。雑談の方で一日中盛り上がったりなんかもあったりした時もあったな。
⋯⋯ま、一言でいえば、めっちゃいいやつだから皆集まってくる、だ。
それで俺は店の端にある売れない商品エリアに張り付いて珍しいものだったりレアなお宝探しに勤しむ。
もしかしたら何かいいものがあるかもしれない。
てかこの世界の人間からしたらゴミでも、俺からしたらお宝だったみたいな話はもう10回は味わっている。
「ダクライのおっちゃん、なんでこんなでっけぇ鎌なんて作ろうと思ったんだ?」
「貴族の坊っちゃんに頼まれたのさ。作ったんだが、すぐに飽きてそのザマさ」
「こっちは?」
「それも違う貴族様の発注物だ」
鎌にキラキラの鉄剣。やはり男は厨二病にかかる時期が訪れるという訳だな。うん。
「アタシ決めたわ!」
「何がだ?」
何やら意気込んでいるので近くに行ってみると、金貨レベルのする弓を手にとって買う決意をしていた。
ほう、耐久性重視はまぁそうか。
「ビビちゃん、金貨12枚」
「⋯⋯くぅー」
「まぁこれは上等なやつだからな。下げれねぇぞ」
「ねぇノア?」
「うん?」
「あたし達のパーティーに⋯⋯」
「入らんぞ」
「まだ最後まで言ってないのに!」
「文脈的にそう言うだろうと思ったまでだ。大体、なんで俺なんだ? お世辞にも毎日酒場で呑んだくれてる落ちこぼれ野郎だぞ?」
「そんな事⋯⋯!」
「あるだろう? 実際、今日だって俺達が呑みまくってる最中にやってきたじゃないか」
俺としてもなぜここまで好かれてるのか理解できない。
別に何かを知ってる訳でもないわけだしな。
「い、いいのよ!そんな事は!」
「まぁ多分俺は、ソロが似合ってんだよ。何も考えずに薬草採取して、街のお掃除して、偶に警備やったりして過ごすのがいい。そっちに入ったら毎日危険だし」
「それは⋯⋯そうだけど⋯⋯」
街を散策する俺達の視線の先の方にある一画で、何やらざわざわしている。
「平民が!これは見世物ではないのだぞ!」
おぉ⋯⋯ありゃ王都の貴族様だ。
着ている服で大体わかる。
「なんでこの街で?」
「ウーロン伯爵、ラインハルトに会いたくて仕方ないって噂は本当だったのね」
「なんでそこでラインハルトの名前が出てくんだ?」
「なんで⋯⋯?そりゃ、今やラインハルトの影響がもろに広がってる状況だからでしょ? 今、大陸で景気がいいのは王都付近一部だけ。あとは皆微妙か不作。ラインハルトの影響力を一心に受けているこのシャルの街だけが今や筆頭稼ぎに躍り出そうなくらいよ」
「そんなにか」
思わず唖然としてしまった。ラインハルトの影響力の大きさを少し舐めていたかもしれない。
恐ろしくも感じる。
うー怖え怖え。知識チートはやり過ぎるとマジでこうなりかねんから仮想の人物で行っててよかった~!
いや一瞬自己主張しようか迷ってたんだけど、この世界の貴族マジで怖いから、自己主張やめたんだよね。
全然思ってた異世界じゃなかったというか⋯⋯まぁ当たり前というか。
本当不敬罪って怖すぎる単語だわ。その点、シャルの領主は丁寧で物腰柔らかい事で有名だ。
「なんでウチに言わなかったんだー!とか叫んでたらしいよ?どうせ無視してたくせに」
普通そうだわな。いきなり手紙でこうすれば量産出来ますよーとか信用なさ過ぎだわな。
シャルの領主はよく実行したと思うわ。
「だろうな。ここの領主様々ってやつだな」
「あと何か必要なものある?」
「いや?特に俺はないよ」
「じゃあこのままウチのパーティーハウスに来る?」
「あ、待って⋯⋯それまた今度でいい?」
「んー、まぁしょうがないから許したげる。用事?」
「あぁ。ちょっとな」
「⋯⋯女じゃないよね?」
「ビビはなんの心配してんだよ」
ギルド近くまで戻り、俺とビビは解散した。
そして俺は、歩きながら見覚えのある人間を目撃したので、気になってその現場の方へと歩いていった。
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