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二章
8話:D級
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オークションの日程が決まった。
一ヶ月後の8月中旬だそうだ。
「ねぇ⋯⋯友梨さん」
「なぁに?」
「今日、下にあるビリヤードのある場所で遊ばない?」
「えー?そんなのあるの? 行きたい!」
「じゃあ決まりでいい?」
「そこは行こうでいいの!」
オークションの予定が色々決まった約一週間あとのこと。
俺と友梨さんの距離はまた少し縮まった。
きっかけはお互い最初からだった。
前住んでいた狭いワンルームの時は、狭いし不便だったけど、なんか距離が近くて⋯⋯色んな意味で満たされるような感覚が無意識にあった。
人に感心があまりない自分ですら、友梨さんが近くで寝ているという事実に少しドキドキして、毎日を過ごしていたし、ご飯を食べていても、オフの女性という服装に髪型がまたドキッとさせてくる。
そんな生活を続けていたからか、俺はだいぶ友梨さんに好意を寄せ、向こうも人並み以上の気持ちを抱いてくれているかと思う。
まぁ大きな話としては、つい先日。
◆◇
『煌星?寝た?』
『どうしました?友梨さん?』
夜の11時半頃。
お風呂も入って、パジャマの友梨さんが俺の部屋へと珍しくやってきたのだ。
『いやぁ、あんまりにも寝付きが悪くて!』
その時の友梨さんの気持ちは、少し自分にも当てはまった。なんか広すぎて、本来楽しかったあの時の時間が一気に遠ざかったような⋯⋯そんな感じ?
『ちょっと話しますか』
それからワンルーム時代の事を、まるで昔の事のように語った。
家事を手伝おうとした俺がドジして、滅茶苦茶綺麗にフライパンをひっくり返して床をびったびったした事とか、洗濯物の畳み方があまりにも雑なせいで怒られた事とか⋯⋯まぁ主に俺のミスが原因だが。
結論から言うと、多分俺達二人は寂しかったんだと思った。
急に隣で寝ているのが当たり前の俺達が⋯⋯急に別々で寝ようと、最初はリッチでイイじゃん!と思っていたが、いざ過ごすと⋯⋯寂しいことが分かった。
『ここで⋯⋯寝ていきますか?』
『⋯⋯うん』
それからここ一週間。
別にそういったゴニョゴニョがあった訳でもないが、お互い心の距離がだいぶ離れていたのが縮まった気がした。
◆◇
「そういえば煌星」
「ん?どうしたの?」
「五香さんから冒険者として活動する許可がおりたって」
「え!まじで!?」
「うん、でも⋯⋯等級はDまでだって」
Dか。でもいい。力試しがしたかっただけだから。
「まぁまぁ今はいいかな。しかも、別名義な訳だし」
「性転換させていくんだよね? 分かってるだろうけど、女は真っ先に狙われるし、いろいろなトラブルのもとにもなる。気をつけてね」
これは色々あった人の感情がこもった目だ。
⋯⋯面構えが違いすぎる。
「ありがとう、肝に銘じます」
会釈気味に頭を下げて礼を言う。確かに、外に出なさすぎて、俺は人間関係の欠片もわからない。しっかり吸収出来るようにしていこう。
「あ、友梨さん」
「ん?」
「D級まででおすすめのダンジョンなんかはありますか?」
俺はそう素朴に訪ねた。
目の前に立つ女性はプロ中のプロ。
今の内に聞いておいた方がいい。
「んー、強化電車に乗る必要はあるけど、ここから30分くらい走った所にある三木の荒野がオススメかな? 力を試したいんだよね?」
「そうなんです」
「だったら丁度いいモンスターばっかりだから、煌星に合うと思う。主なメインモンスターはウルフ、イーグル系統で、属性別のイーグルが滞在してる。イーグルは厄介だけど、エリアがしっかり分けられているから、近づかなければ問題はないよ」
「なるほど。ウルフ系ですか」
「そうそう。レベル7もあればウルフなんてカスみたいなものでしょ?」
戦ったことがないからわからないけど。
「以前モンクの人達が実戦でみんなそう教えてたから、大丈夫だと思う」
「なるほど、了解っす」
キラーラビットと戦った経験あるし、確かに問題ないだろう。
「それじゃ準備してきます」
それから俺はスキルを使って性別を変え、三木の荒野ダンジョンに向けて準備を始める。
武器と防具も友梨さん頼り。
死ぬほど暗い黒がメインのガントレットと付与がついている魔法生地ベースの黒いズボン。
そして上は動きやすい半袖の黒T。
ギルドで先に予約していたらしく、ギルドに寄って即座に渡してくれた。
終わるとそのまま強化電車に乗ってダンジョンへ。
今回はサポーターを付けずに一人行動の予定だ。とりあえず今回はただ入口前であれからどれくらい自分の力が変わったのかを確認する必要があるから。
今回のダンジョンがDランクというのもあり、かなりの岐路だ。
ここで今後の自分の立ち位置が大きく分かれる。
そんな事を考えながらソシャゲをしていると、すぐに強化電車は停止。気付けばもう三木に着いていたようだ。
「さて、行きますか」
俺。いや私が、初めてしっかり普通の攻略を始める最初のダンジョンに行けると心を弾ませていた。
一ヶ月後の8月中旬だそうだ。
「ねぇ⋯⋯友梨さん」
「なぁに?」
「今日、下にあるビリヤードのある場所で遊ばない?」
「えー?そんなのあるの? 行きたい!」
「じゃあ決まりでいい?」
「そこは行こうでいいの!」
オークションの予定が色々決まった約一週間あとのこと。
俺と友梨さんの距離はまた少し縮まった。
きっかけはお互い最初からだった。
前住んでいた狭いワンルームの時は、狭いし不便だったけど、なんか距離が近くて⋯⋯色んな意味で満たされるような感覚が無意識にあった。
人に感心があまりない自分ですら、友梨さんが近くで寝ているという事実に少しドキドキして、毎日を過ごしていたし、ご飯を食べていても、オフの女性という服装に髪型がまたドキッとさせてくる。
そんな生活を続けていたからか、俺はだいぶ友梨さんに好意を寄せ、向こうも人並み以上の気持ちを抱いてくれているかと思う。
まぁ大きな話としては、つい先日。
◆◇
『煌星?寝た?』
『どうしました?友梨さん?』
夜の11時半頃。
お風呂も入って、パジャマの友梨さんが俺の部屋へと珍しくやってきたのだ。
『いやぁ、あんまりにも寝付きが悪くて!』
その時の友梨さんの気持ちは、少し自分にも当てはまった。なんか広すぎて、本来楽しかったあの時の時間が一気に遠ざかったような⋯⋯そんな感じ?
『ちょっと話しますか』
それからワンルーム時代の事を、まるで昔の事のように語った。
家事を手伝おうとした俺がドジして、滅茶苦茶綺麗にフライパンをひっくり返して床をびったびったした事とか、洗濯物の畳み方があまりにも雑なせいで怒られた事とか⋯⋯まぁ主に俺のミスが原因だが。
結論から言うと、多分俺達二人は寂しかったんだと思った。
急に隣で寝ているのが当たり前の俺達が⋯⋯急に別々で寝ようと、最初はリッチでイイじゃん!と思っていたが、いざ過ごすと⋯⋯寂しいことが分かった。
『ここで⋯⋯寝ていきますか?』
『⋯⋯うん』
それからここ一週間。
別にそういったゴニョゴニョがあった訳でもないが、お互い心の距離がだいぶ離れていたのが縮まった気がした。
◆◇
「そういえば煌星」
「ん?どうしたの?」
「五香さんから冒険者として活動する許可がおりたって」
「え!まじで!?」
「うん、でも⋯⋯等級はDまでだって」
Dか。でもいい。力試しがしたかっただけだから。
「まぁまぁ今はいいかな。しかも、別名義な訳だし」
「性転換させていくんだよね? 分かってるだろうけど、女は真っ先に狙われるし、いろいろなトラブルのもとにもなる。気をつけてね」
これは色々あった人の感情がこもった目だ。
⋯⋯面構えが違いすぎる。
「ありがとう、肝に銘じます」
会釈気味に頭を下げて礼を言う。確かに、外に出なさすぎて、俺は人間関係の欠片もわからない。しっかり吸収出来るようにしていこう。
「あ、友梨さん」
「ん?」
「D級まででおすすめのダンジョンなんかはありますか?」
俺はそう素朴に訪ねた。
目の前に立つ女性はプロ中のプロ。
今の内に聞いておいた方がいい。
「んー、強化電車に乗る必要はあるけど、ここから30分くらい走った所にある三木の荒野がオススメかな? 力を試したいんだよね?」
「そうなんです」
「だったら丁度いいモンスターばっかりだから、煌星に合うと思う。主なメインモンスターはウルフ、イーグル系統で、属性別のイーグルが滞在してる。イーグルは厄介だけど、エリアがしっかり分けられているから、近づかなければ問題はないよ」
「なるほど。ウルフ系ですか」
「そうそう。レベル7もあればウルフなんてカスみたいなものでしょ?」
戦ったことがないからわからないけど。
「以前モンクの人達が実戦でみんなそう教えてたから、大丈夫だと思う」
「なるほど、了解っす」
キラーラビットと戦った経験あるし、確かに問題ないだろう。
「それじゃ準備してきます」
それから俺はスキルを使って性別を変え、三木の荒野ダンジョンに向けて準備を始める。
武器と防具も友梨さん頼り。
死ぬほど暗い黒がメインのガントレットと付与がついている魔法生地ベースの黒いズボン。
そして上は動きやすい半袖の黒T。
ギルドで先に予約していたらしく、ギルドに寄って即座に渡してくれた。
終わるとそのまま強化電車に乗ってダンジョンへ。
今回はサポーターを付けずに一人行動の予定だ。とりあえず今回はただ入口前であれからどれくらい自分の力が変わったのかを確認する必要があるから。
今回のダンジョンがDランクというのもあり、かなりの岐路だ。
ここで今後の自分の立ち位置が大きく分かれる。
そんな事を考えながらソシャゲをしていると、すぐに強化電車は停止。気付けばもう三木に着いていたようだ。
「さて、行きますか」
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