なんか黄金とかいう馬鹿みたいなスキルを得たのでダラダラ欲望のままに金稼いで人生を楽しもうと思う

ちょす氏

文字の大きさ
上 下
35 / 91
第一章

34話:夢かな?

しおりを挟む
 あぁ⋯⋯ここ一週間くらいでいろいろな出来事があったなぁ~。

「黄河さん」

 意味不明なダンジョンに、自殺しなければならないくらい強いダンジョンボス。

「黄河さん、もう朝ですよ」

 それに報酬かは知らんけど、無駄に強すぎる適合とかいう謎の機能を手に入れて、

「ちょっと黄河さん!」
「⋯⋯はい?」

 あぁ、今のは夢だったか。
 
「黄河さん⋯⋯もうお昼前ですよ?」

 寝ている真上からは──女神のように俺を見下ろす素晴らしい三神さん。まさか俺の家にい⋯⋯⋯⋯

「んん!? おはようございます!!」
「おはようございます、黄河さん。朝ごはん、いえお昼ご飯はもう出来ていますよ」

 これが現実か! なんてことだ!
 おはよう、ハニー。とか言いたいけど、現実問題そんなの無理すぎる。

「あ、ありがとうございます」
「もうっ、いつもこんな時間まで寝ているんですか?」
 
 あぁ⋯⋯ラブコメの主人公はいつもこんな待遇を⋯⋯。
 羨ましい⋯⋯なんて思っていたが、俺はその願いを叶えたのである!

「今起きます~」
「洗顔料と魔導具で作った美肌パックです。使ってください」
「ええ⋯⋯? お高いんでしょう?」

 現実問題、魔導具はどれもクソが付くほど高いのだ。
 この間も、なんか使えそうなのをないかと探していたら──どれも死ぬほど高くて開くのをそれ以降やめた。

「ええ、ボーナスで購入しましたよ」
「受付のお仕事ってそれくらい稼げるんですね」

 三神ハニーからパックを頂いて顔面オバケ状態になりながら、俺はハニーの話を聞く。

「特に、指名料やその他の要因がかなり多いですが」
「その他の要因?」
「はい、まぁ⋯⋯その、言いづらいんですが、容姿⋯⋯とか」
「あぁそれは失礼しました」

 さすがにそれは自分から言うのは嫌だろうな。
 だが確かに。

 三神さん!
 肩まで伸びる黒髪に、眼鏡が似合うようなクールビューティーだ。
 そんでしかも膨らみはたわわわわなほど。
 そして──いつもの服装とは違って、スウェット姿の三神さんがこの目に焼き付けれる日が来るなんて⋯⋯!!

「生きててよかったぁ⋯⋯!」
「え? 黄河さん? ちょっと!?」

 ごほん。
 
「それではそれでは、いただきます」

 それから10分程経過した後。
 俺は三神さんと遅れた昼食をとることに。

「三神さん」
「どうしました?」 

 いや、突っ込むところではないことは分かってる。
 うん。そうなんだけど⋯⋯。

「料理の腕──トンデモ過ぎませんか?」
「そうでしょうか? 普通の朝食では?」

 え? これが一般人の普通だって?

 キラキラ輝いている緑色のスープ。
 素晴らしい加減の焼けた食パンの匂い。

「これはなんていう料理なんでしょうか?」
「あ、これはグリンピースポタージュで、こっちはベーコンエッグトーストです! 最近私がハマってて⋯⋯」
「結婚しませんか?」
「⋯⋯へっ!?」

 何だこの女子力の塊は!?
 あんな事務仕事をこなしながら一流料理を!?
 嫁力というか、なんというか⋯⋯。

「ではでは失礼して」

 ⋯⋯っ!?

「うんま!」
「本当ですか?」
「めちゃくちゃ美味いです」

 朝食というのはこんなにも最高の味をしていたのか。
 俺はタブレットを付けて、動画サイトを開く。

「あ⋯⋯」
「どうかしましたか? 黄河さん?」

 一緒に一つの動画を見ながらご飯食べる。
 これはまさに夫婦じゃなかろうか。
 ⋯⋯じゃなかった。
 今見ている動画が、この間のユニークダンジョンの件について言及されている動画だった。

『約1ヶ月前から起きたユニークダンジョンについて回答してください!』
『大亜クラン人事部としては、早急な開示を求めます!』
『こちらもだ』
『私も気になりますね』

「ネットではもうこんな事になってたんだ」
「そうですよ? バレてすぐ⋯⋯こんな事態ですからね」
 
 それだけユニークダンジョンの報酬や入った人間が気になるっていうところか。

『えー八王子支部の五香です』

「あ、ギルド長だ」
「こうやってみると、かなりイケメンなんですけど⋯⋯」
「ギルド長性格が悪いんですか?」
「いえ? こんな硬い人ではないので、変に見えるんですよ」

 あぁ、プライベートを知っているとわけわからなくなるあの現象ね。

『現状、該当冒険者との話し合いが終わり、大方の方針を決めました』
 
 動画越しに記者たちのざわめく声が聞こえてくる。

『報酬の公開はなし。意図はどのように解釈してもらって結構です。しかし、ゼロというのも皆さんがご納得しないのもまた事実ですので、素材とだけ⋯⋯と、ご本人から言葉をいただきました』
『エブリデイ新聞の者です。特別なスキルなどは無かったのでしょうか?』
『本人からは素材とだけお聞きしました』

「確かにこう見るとギルド長イケメンですね」
「でも、昔死ぬほど遊んでたらしいから、評判はトントンなの」
「へぇ、イメージ通りって感じですね」
「それがどういうわけか──急に一途になって恋すらしなくなった仕事人間になったってわけですよ」

 ⋯⋯そんな人間もいるんだなぁ。

 その後、質疑応答が始まり、記者の質問に五香は答えていく。
 様々な質問に五香は不満の表情などを見せることなく乗り切り、いよいよ最後の一言を喋るシーンになった。

『ギルドとしては、これから行われるオークションに大々的に登録している物がありますので⋯⋯是非お金持ちや投資家、"生産者"の皆さんはチェックしてみてください。きっと⋯⋯目から大量の涙がこぼれ落ちる事でしょう』

 ⋯⋯わお。大胆。
 この間の話で聞いてはいたが、まさか本当に言うとは。

「オークションなんて、金持ちのためのイベントで見る気になりませんよ」
「まぁお金持ちの娯楽と思えばいいんじゃないでしょうか? でも黄河さんの素材が売られると、今後大変な事になりそうですね」

 それは間違いない。
 だってギルドのやり取りで一億も払い出すんだ。
 いくら俺が馬鹿だと言っても、なんとなく分かる。
 利益のないやり取りをする理由がないものに提案なんかしないだろう。

「ある意味、ここで俺が持ってきた報酬の真の価値が分かるってことですよね」

 隣で手を合わせながら頷く三神さん。
 俺ももうぺろりと平らげ、皿を片付けようとすると、三神さんが回収してくれてすぐ皿を洗いだす。

「ありがとうございます」
「いえ、いつもやってる事ですから」

 ⋯⋯うん。同じ一人でもここまで違うと、なんか心が辛い。

「三神さんはどうするんですか?」
「何がですか?」
「いや、さすがにここに住んだりするのはしんどいでしょ?」
「黄河さんが良いと仰るならここに半分くらいは寝泊まりしようかなと思っていました」

 こんな美女が⋯⋯? 俺の家に泊まる?

「あ、いいんですか?」
「あっ⋯⋯なんか変な事想像しましたね?」

 やべバレた。

「あはははは」
「大学生の年齢的に考えれば、適切な反応でしょうから問題ないです。それよりも、若さ故に無謀な事をするのを止める方が優先です」
「無謀?」
「私が居なくて少しくらいならと家から出て誘拐や拉致なんかの事故が一番危ないですからね」

 本人よりもしっかり考えてくれてるのはなんか嬉しい。
 俺もこれを機に、なんか家事スキルでも上げてみるかぁ。
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

スキル:浮遊都市 がチートすぎて使えない。

赤木 咲夜
ファンタジー
世界に30個のダンジョンができ、世界中の人が一人一つスキルを手に入れた。 そのスキルで使える能力は一つとは限らないし、そもそもそのスキルが固有であるとも限らない。 変身スキル(ドラゴン)、召喚スキル、鍛冶スキルのような異世界のようなスキルもあれば、翻訳スキル、記憶スキルのように努力すれば同じことができそうなスキルまで無数にある。 魔法スキルのように魔力とレベルに影響されるスキルもあれば、絶対切断スキルのようにレベルも魔力も関係ないスキルもある。 すべては気まぐれに決めた神の気分 新たな世界競争に翻弄される国、次々と変わる制度や法律、スキルおかげで転職でき、スキルのせいで地位を追われる。 そんななか16歳の青年は世界に一つだけしかない、超チートスキルを手に入れる。 不定期です。章が終わるまで、設定変更で細かい変更をすることがあります。

現代ダンジョンで成り上がり!

カメ
ファンタジー
現代ダンジョンで成り上がる! 現代の世界に大きな地震が全世界同時に起こると共に、全世界にダンジョンが現れた。 舞台はその後の世界。ダンジョンの出現とともに、ステータスが見れる様になり、多くの能力、スキルを持つ人たちが現れる。その人達は冒険者と呼ばれる様になり、ダンジョンから得られる貴重な資源のおかげで稼ぎが多い冒険者は、多くの人から憧れる職業となった。 四ノ宮翔には、いいスキルもステータスもない。ましてや呪いをその身に受ける、呪われた子の称号を持つ存在だ。そんな彼がこの世界でどう生き、成り上がるのか、その冒険が今始まる。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

高校からの帰り道、錬金術が使えるようになりました。

マーチ・メイ
ファンタジー
女子校に通う高校2年生の橘優奈は学校からの帰り道、突然『【職業】錬金術師になりました』と声が聞こえた。 空耳かと思い家に入り試しにステータスオープンと唱えるとステータスが表示された。 しばらく高校生活を楽しみつつ家で錬金術を試してみることに 。 すると今度はダンジョンが出現して知らない外国の人の名前が称号欄に現れた。 緩やかに日常に溶け込んでいく黎明期メインのダンジョン物です。 小説家になろう、カクヨムでも掲載しております。

追放されたら無能スキルで無双する

ゆる弥
ファンタジー
無能スキルを持っていた僕は、荷物持ちとしてあるパーティーについて行っていたんだ。 見つけた宝箱にみんなで駆け寄ったら、そこはモンスタールームで。 僕はモンスターの中に蹴り飛ばされて置き去りにされた。 咄嗟に使ったスキルでスキルレベルが上がって覚醒したんだ。 僕は憧れのトップ探索者《シーカー》になる!

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

召喚されたら無能力だと追放されたが、俺の力はヘルプ機能とチュートリアルモードだった。世界の全てを事前に予習してイージーモードで活躍します

あけちともあき
ファンタジー
異世界召喚されたコトマエ・マナビ。 異世界パルメディアは、大魔法文明時代。 だが、その時代は崩壊寸前だった。 なのに人類同志は争いをやめず、異世界召喚した特殊能力を持つ人間同士を戦わせて覇を競っている。 マナビは魔力も闘気もゼロということで無能と断じられ、彼を召喚したハーフエルフ巫女のルミイとともに追放される。 追放先は、魔法文明人の娯楽にして公開処刑装置、滅びの塔。 ここで命運尽きるかと思われたが、マナビの能力、ヘルプ機能とチュートリアルシステムが発動する。 世界のすべてを事前に調べ、起こる出来事を予習する。 無理ゲーだって軽々くぐり抜け、デスゲームもヌルゲーに変わる。 化け物だって天変地異だって、事前の予習でサクサククリア。 そして自分を舐めてきた相手を、さんざん煽り倒す。 当座の目的は、ハーフエルフ巫女のルミイを実家に帰すこと。 ディストピアから、ポストアポカリプスへと崩壊していくこの世界で、マナビとルミイのどこか呑気な旅が続く。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

処理中です...