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第一章

8話:化物スキルだということに気付く俺

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「うわ~初めて来たかも」

 次の日。
 早速100均で購入した傷付けない袋に詰めて買取屋に来たけど⋯⋯大丈夫なのか? というより、売れるか心配だな。
 入室するとすぐに受付で立っている強面の男の人が軽く頭を下げる。

「どうぞお掛けください」
「ありがとうございます」
「早速ですが今回はどのような物をお持ちでしょうか?」
「あ、はいこれです」

 リュックから取り出した生成した金コインをテーブルの上に置いてあるカゴに丁寧に入れる。

「金貨ですか?こちらはどうされたんです?」
「え? あーお爺ちゃんの身辺整理の時にたまたま押入れの奥に入れていた物の一部を持ってきてみたって感じです。他にも色々あったのですが、もし金ではなく、ただのアクセサリーであれば買取っていただく時に分かると思いまして」

 昨日の流れからするに、制限がないことが証明されれば──1回じゃ済まないくらい来店する羽目になるからな。
 先に予防線を打っておかないと。

「そう⋯⋯ですね。最近は私共のような買取屋の他にも、ギルドの方や冒フルの生産職の方にも人気の品になってますから、大変ですね」

 やっぱり冒険者という職業は凄いな。
というか、金もかなりの用途があるもんなー⋯⋯。
 確かにソシャゲなんかでも素材は金なんかの純度が関係するゲームとか、某建築ゲームでも金を大量に採掘するなんて当たり前だし、金は資産以上の価値があるんだな。

⋯⋯無知は怖えわ。

 俺は褒められるほど頭が良くない。
こういう時ばかりは身内の一人や二人いればなと思うよ。

 そう心の中で独り言を発していると、店員さんが首を傾げた。

"ヤバイ、なんかまずかったか?"

「どうかしましたか?」
「いえ、刻印が見当たらなかったので⋯⋯。押入れに入っていたんですよね?」
「え?はい」

 マジかー⋯⋯。
もっと調べとけばよかった。

「少々お待ち頂けますでしょうか?当店一番の鑑定士を呼んで参りますので」
「あ、分かりました」

 こりゃ駄目っぽいな。
鑑定が終わったら大人しく帰ろう。

 そう思っていると一人の鑑定士がやって来る。
かなりの年季が入っている制服に身を包み、凄腕感漂わせる気品溢れた雰囲気を醸し出している。
⋯⋯所謂イケオジって奴だ。

 イケオジが一つずつコインを調べている。
俺はもし本物だったら⋯⋯という妄想と、微妙な返答だった場合を頭に浮かべ、気が気じゃなかった。

「ふぅ⋯⋯終わりました」
「あ、本当ですか?」

どっちだ? どっちなんだ?
胸の鼓動が激しく全身を緊張という状態にさせる。
 俺はその圧迫感に耐えながら言葉を待つ。

「こちらのコインは⋯⋯本物です。しかも驚きですよ」
「戸賀さんどうしました?」
「いやなに、このコイン24ですよ」
「え? 24!?」

なんだなんだ? 24って何の話だ!
店員同士でそんな盛り上がるなよ。

「24って?」
「お客さん⋯⋯こりゃ当たりです」
「当たり?」
「ええ、金には純度を示すものがあるんですが、このコインは純度が限りなく100に近い⋯⋯いや、多分おそらく100だと思われる判定が私の方で出ましたので、お値段も上がると思いますよ。近頃の金は値上がり方から見ても凄いですし」

純度⋯⋯⋯⋯100?
おい、まじかよ。

 店員さん、これ、自分が昨夜生成したコインなんです。
これ、今の所無限に近いくらい作れるんです。

「となるとどれくらいになりますか?」
「計算させていただきますね」

 素早い手捌きで電卓を操作し、俺の目の前にサッと電卓の表示をみせる。

「えっ?」
「こちらここに30枚ありますので、合計266400でございます」

 ????──。
一瞬⋯⋯というか、数秒自分の脳みそが思考するのをやめた。

「え? マジですか?」
「ええ、こんな事を申し上げるのは良くはないと思いますが、ラッキーでしたね。先程色々あると仰っていましたから、恐らくお客様のお爺様は色々隠し持っていたのではないでしょうか?」

 店員さんが嘘を付いているようには見えない。
てことは⋯⋯この黄金君の能力は──本、物だ。

「こちら現金でございます」
「ありがとうございます」
「色々お持ちとの事でしたので、是非当店へいらしてください。恐らく刻印なしですが本物で間違いないと思いますので」
「またすぐ来ると思いますので、その際はよろしくお願いします」

 そう買取屋を後にした俺は、家に着くまでの一瞬も⋯⋯気が気じゃなかった。

**

バタン──。
家に到着すると、一気に全身の力が抜けて横になる。

「マジかよ」

 気が抜けた自分の声だが、我ながらそう思うと内心でも同調する。
 何なんだよこの力。
ステータスカードを確認してからにすれば良いと言うレベルじゃねぇぞ!?
 
 もしかしたら⋯⋯世界を変えるかも知れない力を俺は手にしてしまったのかもしれない。

「あぁ~!」

 頭の中が騒音でいっぱいになっていくがやがてその音は耳馴染みしかないパチンコの確定演出の音へと変わっていく。

「餓〇剣を差し込めー! キュキュキュイーン!!」

⋯⋯気付けば知らない内に寝落ちしていました。
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