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美味い
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「やべぇマジですげぇわ」
「量子制御は、私達の専売特許ですから」
一瞬で食堂みたいな場所にやってきた。
中は市民ホールくらいはあると思う。
「さぁネスト様、こちらへ」
某魔法使い映画のような長机の中間あたりに行くとイベルワが椅子を引いてくれてそこに掛ける。
「すぐにお持ち致します」
せいぜい10分くらいは掛かるだろうと思い、何をしようかと思っているとジュウゥと何かが焼ける音が耳に入る。
横には何もなく、音の発生源は上だった。
「え?誰もいなくない?」
「はい。磁場を使って自動的に物体を移動させています」
うん。言ってることは理解できたんだけど、そう言われても俺の記憶上そんな精密なことができないを知っているからか、納得はしない。
ふよふよと机の上にやってきたのは恐らくステーキ。明らかに高そうな副菜付きで。
「他にもまだまだありますよ」
するとドンドン続けざまに上から様々な料理が次々と運ばれてくる。和食、洋食、中華、イタリア料理など、中には見たことのない国の料理までがテーブルに並んだ。
「これ全部食べれないよ?」
「構いません。ネスト様専用の料理ですから」
「他のみんなはどんなご飯を食べてるの?」
「カプセルです」
「え?カプセル?サプリみたいな事?」
頷くイベルワ。
「食事楽しい?」
「楽しい⋯⋯という感覚はありませんが」
「機能上食べれるんだよね?」
「はい」
「食べようよ。流石に一人でご飯食べてもつまんないじゃん」
少し驚いた様子でポカンとするイベルワ。
まさかそんなことを言われると思ってなさげだ。
「ほら」
次いでに俺は目の前に並ぶ鉄火巻を一つ取ってイベルワに食べさせようとしたのだが、口どこ?
「あれ⋯⋯イベルワ⋯⋯どこ口?」
「こ、ここです」
「おわっ」
1本の触手から口が広がり、そこへ鉄火巻の先端を触れさせるとモグモグ食べ始めた。意外と可愛い。
「どう?」
「美味しゅうございます」
「イベルワが作ったんでしょ?」
「いえ?素材は農業エリアで育てて、シェフ機能をインストールし新設した部署の者たちが始めました」
「そうだったんだ」
部署の一つが俺の一言で作られてしまうとは⋯⋯。
迂闊に何も言えん。
「イベルワも食べよう?」
「で、では⋯⋯」
隣に座るイベルワにいくつかの寿司のお皿を渡す。
そして俺はというと、ピザだのラーメンだの、餃子を頂いた。
勿論だが、滅茶苦茶美味い。
「ねぇ。これ気づいたんだけど、全部の味があったりする?」
「ネスト様の好みがわからなかったのでしょう。用意してお口になさったのを中心にしようと考えているのでは?」
「だからといって全部は勿体ないような⋯⋯」
「問題ありません。廃棄しても再生エネルギー源となりますし、いくらでも増やせますから」
おっそろし。マジで魔法じゃい。
「醤油も良いけど、味噌もいいな。家系も⋯⋯って、全部美味いじゃん」
「そう言っていただけるとシェフも喜ぶと思いますよ」
気付けば当時生きていたときよりも遥かにお腹の中へと食べ物が入っていた。
あれ?こんなに食べれたっけ?
「こんなに食べてたら体に悪くなっちゃうよ」
「何を仰いますかネスト様。今も現在体に回る巡回療法でネスト様に必要ないものは強制的に分解して回収しておりますから、好きなものを食べても問題ございません」
まるで当たり前のようにそう言い放つイベルワに俺の顔は固まっていた。
「え?まじで?」
「⋯⋯マジです」
うん。凄いよ。未来。凄いぞ、未来。
「変わり身がお早いですね、ネスト様」
「食べれるんだから食べるに越したことはないし?」
ならば有難くいただく。それから20分程であれだけあった食事たちは半分くらいは消えていた。
「ご馳走様でした」
「ではこの後はどうされますか?」
と、言われてもなぁ。
「んー⋯⋯⋯⋯逆にやる事ある?」
「労働なんてものはありませんし、公務もありません。ネスト様がそこに居るだけで問題ありませんので、お好きにしていただけたらと思います」
⋯⋯うん。そうだよね。
「では、少し面白い勉強の方法でも試してみますか?」
「勉強?俺頭良くないよ?」
「問題ございません。今の状態であれば問題なく受講できる事ですので」
そうイベルワに手を引かれ、次なる場所へと飛んだった。
「量子制御は、私達の専売特許ですから」
一瞬で食堂みたいな場所にやってきた。
中は市民ホールくらいはあると思う。
「さぁネスト様、こちらへ」
某魔法使い映画のような長机の中間あたりに行くとイベルワが椅子を引いてくれてそこに掛ける。
「すぐにお持ち致します」
せいぜい10分くらいは掛かるだろうと思い、何をしようかと思っているとジュウゥと何かが焼ける音が耳に入る。
横には何もなく、音の発生源は上だった。
「え?誰もいなくない?」
「はい。磁場を使って自動的に物体を移動させています」
うん。言ってることは理解できたんだけど、そう言われても俺の記憶上そんな精密なことができないを知っているからか、納得はしない。
ふよふよと机の上にやってきたのは恐らくステーキ。明らかに高そうな副菜付きで。
「他にもまだまだありますよ」
するとドンドン続けざまに上から様々な料理が次々と運ばれてくる。和食、洋食、中華、イタリア料理など、中には見たことのない国の料理までがテーブルに並んだ。
「これ全部食べれないよ?」
「構いません。ネスト様専用の料理ですから」
「他のみんなはどんなご飯を食べてるの?」
「カプセルです」
「え?カプセル?サプリみたいな事?」
頷くイベルワ。
「食事楽しい?」
「楽しい⋯⋯という感覚はありませんが」
「機能上食べれるんだよね?」
「はい」
「食べようよ。流石に一人でご飯食べてもつまんないじゃん」
少し驚いた様子でポカンとするイベルワ。
まさかそんなことを言われると思ってなさげだ。
「ほら」
次いでに俺は目の前に並ぶ鉄火巻を一つ取ってイベルワに食べさせようとしたのだが、口どこ?
「あれ⋯⋯イベルワ⋯⋯どこ口?」
「こ、ここです」
「おわっ」
1本の触手から口が広がり、そこへ鉄火巻の先端を触れさせるとモグモグ食べ始めた。意外と可愛い。
「どう?」
「美味しゅうございます」
「イベルワが作ったんでしょ?」
「いえ?素材は農業エリアで育てて、シェフ機能をインストールし新設した部署の者たちが始めました」
「そうだったんだ」
部署の一つが俺の一言で作られてしまうとは⋯⋯。
迂闊に何も言えん。
「イベルワも食べよう?」
「で、では⋯⋯」
隣に座るイベルワにいくつかの寿司のお皿を渡す。
そして俺はというと、ピザだのラーメンだの、餃子を頂いた。
勿論だが、滅茶苦茶美味い。
「ねぇ。これ気づいたんだけど、全部の味があったりする?」
「ネスト様の好みがわからなかったのでしょう。用意してお口になさったのを中心にしようと考えているのでは?」
「だからといって全部は勿体ないような⋯⋯」
「問題ありません。廃棄しても再生エネルギー源となりますし、いくらでも増やせますから」
おっそろし。マジで魔法じゃい。
「醤油も良いけど、味噌もいいな。家系も⋯⋯って、全部美味いじゃん」
「そう言っていただけるとシェフも喜ぶと思いますよ」
気付けば当時生きていたときよりも遥かにお腹の中へと食べ物が入っていた。
あれ?こんなに食べれたっけ?
「こんなに食べてたら体に悪くなっちゃうよ」
「何を仰いますかネスト様。今も現在体に回る巡回療法でネスト様に必要ないものは強制的に分解して回収しておりますから、好きなものを食べても問題ございません」
まるで当たり前のようにそう言い放つイベルワに俺の顔は固まっていた。
「え?まじで?」
「⋯⋯マジです」
うん。凄いよ。未来。凄いぞ、未来。
「変わり身がお早いですね、ネスト様」
「食べれるんだから食べるに越したことはないし?」
ならば有難くいただく。それから20分程であれだけあった食事たちは半分くらいは消えていた。
「ご馳走様でした」
「ではこの後はどうされますか?」
と、言われてもなぁ。
「んー⋯⋯⋯⋯逆にやる事ある?」
「労働なんてものはありませんし、公務もありません。ネスト様がそこに居るだけで問題ありませんので、お好きにしていただけたらと思います」
⋯⋯うん。そうだよね。
「では、少し面白い勉強の方法でも試してみますか?」
「勉強?俺頭良くないよ?」
「問題ございません。今の状態であれば問題なく受講できる事ですので」
そうイベルワに手を引かれ、次なる場所へと飛んだった。
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