『外伝:過去護衛編』不登校が久しぶりに登校したらクラス転移に巻き込まれました。

ちょす氏

文字の大きさ
上 下
2 / 18

会食

しおりを挟む
 それから約1時間後。
 先程の数名はとある東京のお店の中で食事の為にやってきた。

 勿論個室座敷部屋。
 しかし入ると広がるのは一面水族館の通路のようなガラス張りに高値が付きそうな魚がうようよ泳いでいる。

 その中央にテーブルと座布団が人数分。
 そしてそれとは別に専属のシェフが数人と容姿端麗な女達が数人。

 そこへ5名ほどの男たちが入ってくる。

「いやー、山方さん、こんな所をよくご存知で」
「いや大津さん、たまたまです。私の知り合いの検事の一人に聞きしましてな」

 この男の名前は山方俊郎やまがたとしろうと言って最高検察長。
 そしてもう一人の男は警視総監である大津泰次郎おおつたいじろう

「ちょっとそこの君来なさい」

 二人はもうすぐ初老だというのに、座るとすぐに近くの女を手招いて自分の隣に座らせる。

「おぉ、中々良い身体じゃないか」
「こちらも腰回りがえろくて最高だな! がはは!」

 妻がいるというのに早速女に札束を渡すとすぐに二人は自分の元へと抱き寄せて触りたい放題。

 暫く耐えようとしたもう二人の政治家だったが、10回ほど二人が揉み終えるのを見ると一回咳払いを。

 二人は冷静になって咳払いの意味を思い出して一度手を止めた。

「おおっと、これはこれは失礼しました」
「そうでしたな」

 顔を赤く染める女二人としまったという表情をする山方と大津。
 そう、今日は目の前にまだ10歳の少年が座っているのだ。

 そりゃ政治家であろうと誰だろうと、女体の出るところが出た大人の悪戯あそびを見せるには些か歳が若すぎるので止めるだろう。

「失礼しました、神城殿」
「いや、問題ない。大人というのは性欲に忠実だと聞く。仕方ないだろう」

 まるで興味がないような瞳を見せながら、神城少年は当たり前のようにそう言い放つ。
 その言葉を聞いた二人は逆に恥ずかしくなって水を飲む。

 "一体どちらが大人だろうかと"

「いやいや、神城殿は本当に10歳の子供ですかな? 私が10歳時は、まだ駄菓子を食べて喜んでいたものですが」

 大津がそう言うと、神城はすぐに鼻で笑う。

「まぁ、そんな人生であればどれ程良かったかと思うが、生憎俺の人生はこんな物だからな、仕方ない。煙草吸っても?」
「⋯⋯ええ勿論ですとも」
  
 その場にいる全員が煙草に火をつけ、至福の一服を楽しむ。
 ゆっくりと3回程吸った後、神城が口を開く。

「それで? 俺をわざわざ日本に戻す理由はなんだ? 何か理由があるんだろう?」

 神城以外の数人は目線を合わせた。
 そう。現在、日本には数多くのスパイと外部戦力の過剰さが目立ち、正直なところ、いつ何が起こってもおかしくはない状況である。

 神城という世界規模で活躍している男が母国に戻ったとあれば、その間に狙われるリスクが大幅に減るだろう。
 しかしここで下手をすると、この男はすぐに機嫌を悪くしてまた日本を発ってしまう。

 この男は海の向こうでは英雄と何処へ行っても言われており、国の中枢連中は頻繁に神城に永住権を取ってほしくて仕方がないようだ。

 ハニートラップから様々な事を彼に行ったがまるで効くことはなく、何も起こる事はなかった。
 我らとしては一番の吉報である事間違いなしだ。

「いやぁ、最近自衛隊の方で神城殿の手腕を発揮してもらいたいとの声が多く。また、様々な箇所からの要望が絶えることはなくてですね⋯⋯」

 政治家二人のうちの一人である浅倉拓海が上手いこと神城に説明する。
 それをもう一人の臼井晴人が持ち上げながら話は進んでいく。

「自衛隊ねぇ」
「ええ、以前神城さんと一部の部隊が衝突したとお話はかねがね」
「2年ほど前でしたかな?」
「あぁ、アイツらは平和ボケしすぎて思考回路が終わってる連中だ。お前らと一緒だ」
 
 一瞬空気がピリッと張り詰める。
 まるで神城が全方位に向かって舐め腐ったように挑発しているようにも聞こえ、もしこの場に似たような大人がいたら間違いなくブチギレ回しているだろう。
 
 しかしそんな真似はしない。
 もう平均50くらいの中老である彼らは心得ているからだ。
 この少年の機嫌一つで──己の築き上げてきた人生と、家族の人生の終わりが見えることを知っているからだ。

「私達はそんな事は考えていません! 断言します!」
「そうです!」
「果たしてそうだろうか」

 全員が一人の少年対してなんとか納得してもらおうと様々な角度から持ち上げ、話を進める。

「現在では神城さんの仰る通りに話を進め、改善も見られています。どうでしょう? 今一度、貴方の手腕で部隊を改善して頂くというのは」

 肩肘をつき、もう片方は煙草へと向かう。そして、煙草を一吸いしながら神城は何か考えている素振りをみせていた。

 その姿を見た4人は、『もしかしたら』などといらぬ妄想が先行する。

「自衛隊ねぇ、彼処はどうも気に食わない。組織の練度はともかく、上下関係がうざったすぎる」
「そこはなんと言いますか、私達の方から伝えておきますので! 勿論、タダとは言いません」

 そう言って4人が出したのは個人的な誓約書。

 日本で何かあった場合、この四人が全面的にバックアップするという旨が書かれた誓約書だった。

「はぁ」

 神城はやっぱりと言いたそうな表情でその誓約書を読み通した。

「はいはい、とりあえず暇な時でいい?」
「勿論ですとも! 何かあればいつでもご連絡してください」

 それから本題がある程度終わりが見えたので、全員はそのまま食事を心ゆくまま楽しんだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

「南風の頃に」~ノダケンとその仲間達~

kitamitio
青春
合格するはずのなかった札幌の超難関高に入学してしまった野球少年の野田賢治は、野球部員たちの執拗な勧誘を逃れ陸上部に入部する。北海道の海沿いの田舎町で育った彼は仲間たちの優秀さに引け目を感じる生活を送っていたが、長年続けて来た野球との違いに戸惑いながらも陸上競技にのめりこんでいく。「自主自律」を校訓とする私服の学校に敢えて詰襟の学生服を着ていくことで自分自身の存在を主張しようとしていた野田賢治。それでも新しい仲間が広がっていく中で少しずつ変わっていくものがあった。そして、隠していた野田賢治自身の過去について少しずつ知らされていく……。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

切り札の男

古野ジョン
青春
野球への未練から、毎日のようにバッティングセンターに通う高校一年生の久保雄大。 ある日、野球部のマネージャーだという滝川まなに野球部に入るよう頼まれる。 理由を聞くと、「三年の兄をプロ野球選手にするため、少しでも大会で勝ち上がりたい」のだという。 そんな簡単にプロ野球に入れるわけがない。そう思った久保は、つい彼女と口論してしまう。 その結果、「兄の球を打ってみろ」とけしかけられてしまった。 彼はその挑発に乗ってしまうが…… 小説家になろう・カクヨム・ハーメルンにも掲載しています。

GIVEN〜与えられた者〜

菅田刈乃
青春
囲碁棋士になった女の子が『どこでもドア』を作るまでの話。

幼馴染と話し合って恋人になってみた→夫婦になってみた

久野真一
青春
 最近の俺はちょっとした悩みを抱えている。クラスメート曰く、  幼馴染である百合(ゆり)と仲が良すぎるせいで付き合ってるか気になるらしい。  堀川百合(ほりかわゆり)。美人で成績優秀、運動完璧だけど朝が弱くてゲーム好きな天才肌の女の子。  猫みたいに気まぐれだけど優しい一面もあるそんな女の子。  百合とはゲームや面白いことが好きなところが馬が合って仲の良い関係を続けている。    そんな百合は今年は隣のクラス。俺と付き合ってるのかよく勘ぐられるらしい。  男女が仲良くしてるからすぐ付き合ってるだの何だの勘ぐってくるのは困る。  とはいえ。百合は異性としても魅力的なわけで付き合ってみたいという気持ちもある。  そんなことを悩んでいたある日の下校途中。百合から 「修二は私と恋人になりたい?」  なんて聞かれた。考えた末の言葉らしい。  百合としても満更じゃないのなら恋人になるのを躊躇する理由もない。 「なれたらいいと思ってる」    少し曖昧な返事とともに恋人になった俺たち。  食べさせあいをしたり、キスやその先もしてみたり。  恋人になった後は今までよりもっと楽しい毎日。  そんな俺達は大学に入る時に籍を入れて学生夫婦としての生活も開始。  夜一緒に寝たり、一緒に大学の講義を受けたり、新婚旅行に行ったりと  新婚生活も満喫中。  これは俺と百合が恋人としてイチャイチャしたり、  新婚生活を楽しんだりする、甘くてほのぼのとする日常のお話。

刈り上げの春

S.H.L
青春
カットモデルに誘われた高校入学直前の15歳の雪絵の物語

処理中です...