猫奴隷の日常

ハルカ

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狼と犬の休日

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「やっぱオレがヤられる方なのかよ?」

誤解が解けた途端に腕を掴まれて入ったヴァイスの部屋で、相手は息すら奪う勢いで口づけてくる。
動きを止めてこちらを見るのに、カイは挑発的に笑ってみせた。

「いーって。来いよ」

再開される口づけは、荒々しくて余裕がない。ぶつかった歯に顔をしかめる。しかし、手慣れていたらいたで狼族の矜持だとかが邪魔をしそうだったから、このくらいでいいのかもしれない。


キスに没頭する相手のシャツの前を寛げ、滑り込ませた手で硬い胸板を撫でる。
止んだ口づけに閉じていた瞼を上げると、不満そうな目がこちらを見ていた。

「ンだよ?ちゅーは終わりか? うわっ!」

ガバッ と勢いよくシャツがめくられ、武骨そうな手が胸を這った。かさついた手で無遠慮にまさぐられ、カイは堪らずその手を払った。

「やめろって。ンなトコ触ったって感じねーから。つーか、痛てーんだよ、力加減考えろよな」
「・・・」

カイの言葉に耳がしゅんと垂れる。思わず笑いそうになりながら、肩を押してベッドに倒したヴァイスの体の上に乗りかかった。

「言っとくけど、狼は嫉妬深いかんな?その辺よく考えて行動しろよ?」


ついばむように口づけながら、掴んだ掌を自分の胸にあてさせる。一瞬震えたその手がかわいいとか思ってしまった。

「力入れなくていーから。女じゃねーから感じねーけど、触りたいなら触らせてやるよ」

胸を自由にさせながら、ヴァイスの首筋に痕をつけていく。目線を上げると、こちらを見ている欲を秘めた目とかち合った。

「オマエって、喋んねーくせになんか目が雄弁だよな」

硬さを持つそこを、ズボンの上からゆるりと一度だけ撫でる。性急に求めてこようとする手を押し戻し、カイはヴァイスの上に膝立ちになった。

「待てって。オレの方の準備が出来てねーから」

ズボンと下着を取り去り、唾液で濡らした指を尻に潜り込ませる。

「きっつ・・・ まあ、ここ使うのはハジメテだかんな・・・」

唾液を足して広げようとするが、やはりなかなかうまくいかない。
カイは狭い部屋の中を見回し、クリームのチューブを見つけて手に取った。

「ちょっともらうぜ」

白いクリームをまとわりつかせた指を尻にあてて押し込む。今度は抵抗なくにゅるりと入り込んだ。

「うわ、なんかフクザツ・・・」

多少滑りの良くなった指を中で動かしてみる。快感のようなものは感じられず、異物感が強い。

「つか、入んのかよコレ。流血沙汰とかになったらちょっと引くなー。ん?」

ヴァイスの手が伸びてきて、中に潜り込ませたカイの手を引っ張る。

「なに。してくれんの?いーけど、爪切ってんだろーな?」

引き抜いた尻穴に、ヴァイスの指がゆっくり入ってくる。さっき胸を雑に揉んで手を払われた経験を生かしたのか、慎重な手つきだった。

「っ、もちょっとゆっくり・・・」

他人の手でありえない場所をこじ開けられる感覚に怯む。一層慎重になった指が、思いのほか丁寧に狭い中を押し広げていく。カイは空いてしまった手でヴァイスの窮屈そうなズボンの前を開けてやり、固くなったそれを指で撫でた。

「もうこんなにしてんのかよ?まだ早えーって。そんなんじゃ、っ!」

話している途中で体が意識もなくビクッと震え、驚いてヴァイスを見た。同じく驚いた顔をした相手が、中を探っていた指を再び動かす。今度は明確な快感を拾ってしまい、カイはヴァイスの体の上で跳ねた。

「っ!あ・・・!」

崩れそうになった体を、ヴァイスの体の上に手をついて耐える。
カイが感じていることを確信したのだろう。同じポイントを執拗に攻め始めた手を、カイは慌てて掴んだ。

「まてって!そこ、っ・・・!」

おかしな悲鳴がもれそうになり、ヴァイスの手を掴んでいたのを離して自分の口を塞ぐ。止める者がいなくなった指が、いつのまにか二本に増やされて中を蹂躙し始める。
一度快感を拾ってしまうと、それまでが嘘のように余裕がなくなった。




「はっ、はっ・・・」

不本意にも散々喘がされて、ヴァイスの体に跨ったまま一度イかされた。
くたりと力を失った体を背後から抱きかかえられ、今は横向きにベッドに沈んでいる。さきほどまで指が入っていた尻にヴァイスの硬直が当たっていて、乱れていた息がなんとか整い始めたと思った頃に ぐぐ と質量のあるそれが体内に押し入ってきた。

「ぅあっ・・・!」

ビクン とヴァイスの腕の中で体が跳ねる。一息にカリの部分までが挿入され、止まりそうになる息を必死に吐き出す。丸めた背中にかかるヴァイスの息も荒い。
ゆっくりと、でも着実に自分の体がヴァイスのモノを受け入れていくことに驚嘆する。
あんなに狭かったそこが今どんな状態になっているのか。考えが追い付かない。

ようやく隘路を分け入られる動きが止まり、カイはほっと息をついた。

「はーっ はーっ むちゃくちゃ、しやがって・・・」

力のない悪態をつく。何か言っていないと、訳の分からない感覚に押し流されてしまいそうになる。

「いーから、うごけよ」

一度イッた自分と違って、ヴァイスにはもう余裕がないはずだった。
ギシ とベッドがきしむ音がして、ヴァイスがカイの目の前に手をつく。
少し浮かせた上体が張り付いていた背から離れて、収まっていた硬直が引き抜かれていく。

「――っ!」

勢いをつけて挿入されたそれに腸壁を削られる。止まることを忘れたように揺すぶられ、カイは耐えるようにシーツを握りしめた。衝撃が強すぎて、自分が感じているのかどうかすらよく分からない。

余裕のない掘削の動きが早まる。途中から抱え上げられていた片足に、指が食い込んで痛い。

「んんーーっ!!」

ぐ、ぐ と腰を打ち付けられて、奥に精が放たれる。
しばらくカイの首筋に額を付けて息を整えていたヴァイスが顔を上げ、カイが達していないことに気づいた。

「オレはいーって。もうへとへと・・・ って、オイ」

ヴァイスの手が伸びてきて、半分立ち上がったカイのそれを掌に包む。そのままゆるゆると扱き始め、カイは抵抗する力も出ずに好きにさせていた。まあ、イかせてくれるならそれでもいいと思っていたのに、中に入ったままだったヴァイスのものが連動するように硬さを取り戻し始めたことに気づいて慌てた。

「オイ、なに硬くしちゃってんだよ。もうしねーからな。オレ帰んなきゃなんねーし!」
「・・・」
「きーてんのかよ! ぁっ!」

両足を持ち上げられ、体勢が変わる。硬さを取り戻した高ぶりで、さっきよりも深いところまで貫かれた。あの体勢ではうまく最後まで入りきらなかったのだろうと、知りたくもないことに気づいた。

「テメっ、オレのペースってモンを考えろよな・・・」

悪態をつく口がヴァイスに塞がれる。下手くそなキスでまた歯があたって痛い。
収まらない熱に突き上げられながら、カイは襲い来る衝撃の中に快感を探った。

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