猫奴隷の日常

ハルカ

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レイ 3

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「不束者ですが、これからよろしくお願いいたします」
レイは、ベッドに座る新しいご主人様の足元に跪いて頭を下げていた。


主人が決まって三日、レイは一通りの奴隷としての心構えを習った。
曰く、奴隷は立って移動してはならない。
曰く、求められてもいないのに話しかけてはならない。
曰く、言いつけられたことは例え「死ね」であっても守る。・・・などなど。
レイは性奴隷として買われたので、奴隷の正しい閨での振る舞いまで。
売約済みの商品である上、初物でもあったので本番はされなかったが、無機質の棒を後ろの穴に突っ込まれたときはさすがに泣けた。

ムルから聞いた話だと、レイの新しい主人はかなり高位の貴族らしい。しかしその恐ろしさから、悪魔と呼ばれているとか。
せっかく生き延びたのに、先はそう長くないかもしれない。
しかし、ここまでくれば生き延びて見せる。たとえ主人が鬼のような男だとしても。


「顔を上げろ」

主人の言葉を受けて勢いよく頭を上げ、レイは驚いた。
主人は鬼どころか、ものすごい美形だった。
髪はつややかな漆黒で、肩下まで長い。それを髪紐で無造作に結んでいる。そしてその瞳は、燃えるような赤だった。その赤が、不機嫌そうにレイを見下ろしている。
その訴えかけるような眼差しに、レイはハッと我に返った。
あまりにもその瞳がきれいで、引き込まれるように見とれてしまっていた。

いけない。危うく奴隷の閨での正しい作法を忘れるところだった。

レイは覚悟を決め「失礼いたします」と断り、膝立ちになって主人のズボンに手をかけた。前を開けて奉仕しようとしたところでなぜか手を掴んで止められた。

「何をしている!」
「何をって・・・ ご奉仕させていただこうかと」

何かおかしかっただろうか?習った作法通りにしたはずだけれど。
首を傾げたレイに、主人はなぜか怒ったように眉を吊り上げた。

「そうじゃない!俺の目を見ただろう」
「はい。拝見しました。とってもきれいな赤ですね」

言うと、主人は驚いた顔をした。
思ったより表情豊かな人だ。

「続けてもいいですか?途中でやめると手順が分からなくなるので」

再び股間に伸ばそうとした手は、またもや止められた。

「この赤い目が怖くないのかお前は!」
「? 怖くはありません。きれいだとは思いますが」

確かに、この国で赤い目の人には会ったことがない。でも、前世の記憶があるせいかレイには主人の目が怖いとは思えなかった。

「言っておくが、お前を買ったのは俺じゃない。勝手に気を回した奴が送り込んできたんだ」
「そうなんですか。でも大丈夫です。サービスは怠りませんから!」

言いながら、少々強引にズボンの前を開けてしまう。主人のペースに合わせていては朝になってしまいそうだ。

「おい!」

焦る声を無視して、下着の中から主人の男根を取り出す。まだ硬さのないそれを、レイは思い切って口に含んだ。

静止しようとしたのか、レイの銀色の髪に差し込まれた主人の指に前髪を引っ張られ、数日前にも感じた痛みを思い出してくぐもった悲鳴がもれてしまった。
それが聞こえたのか、主人の手が止まる。
潤んでしまった目で主人を見上げると、主人は少し焦ったような顔をしていた。
もう一度、しっかりと男根を咥えこむ。しかし今度は止められなかった。

レイは歯を立てないように注意しながら、丁寧に舌を使ってそれを舐めた。
レイとて男のそれを口淫するのは初めての経験だ。多分拙くてじれったいに違いない。
うまくできているだろうかと気になってちらちらと主人の表情を確認すると、その視線に気づいたのか主人は顔を赤くして横を向いてしまった。

しかし満更感じていないこともないのは、少しずつ硬度を増し始めた主人のモノで知れる。レイはビクッと震えた主人のモノに唾液を絡ませて、唇と舌を使って何度も扱いた。
同時に、根本とその奥にある陰嚢を両手を使ってマッサージする。口の中にある陰茎が急速に質量を増し、それが喉を突いて苦しい。

いつの間にか呼吸の荒くなっていた主人の指がレイの髪に、今度は優しく差し込まれた。その指が敏感な猫耳に触れていてくすぐったい。
促されるように口淫の動きを早くすると、主人の腹筋に力が入り、ぐっと後頭部を押さえつけられた。苦しかったけれど懸命に口をすぼめて陰茎を強く吸う。直後喉の奥に精が吐き出された。

「んーーっ! ごほっ!」

苦しさに涙を流しながらそれを何とか飲み込み、主人を見上げる。
主人は放心したようにレイを見下ろしていた。

「あの、ご主人様」
「な、なんだ?」
「少し後ろをほぐしてもよろしいでしょうか?さっきお風呂で用意しておいたのですが、ご主人様のモノが思ったよりも大きくって、その・・・」

恥ずかしくなりつい口ごもる。上目遣いに見上げると、主人は壊れた人形のように頷いた。
とにかく了解を得たので、レイはズボンをずらして床の上に四つん這いになり、指を自分の唾液で濡らして後ろをほぐし始めた。

主人の大きなものを受け入れるのは至難の業だという気がするが、切れてしまうのはなんとか避けたい。そう思って始めたのだが、先ほどお風呂でしたときには感じなかった甘い痺れを感じ、レイは背をのけぞらせた。

「あぅ・・・ ん・・・」

なんだろう。さっき一人でしたときよりもずっと気持ちがいい。
主人のモノに奉仕していただけでゆるく立ち上がってしまっていた自分のモノが、ぴくぴくと震えた。獣性の強い耳としっぽが、恥ずかしいほど反応して激しく動いてしまう。

ゴクリと喉が鳴り、見ると主人が固唾を飲んでレイの痴態を見ていた。
レイは自分の後ろをほぐしながら、再び固くなり始めた主人のモノを舐めた。少しでも滑りを良くしておきたかったからだが、そうするとそれはあっという間に硬度を増した。

「ごしゅじんさま・・・」

そろそろいいだろうかと主人を見上げる。
目が合った主人は切羽詰まった顔をしており、床に跪いていたレイを抱き上げてベッドの上に上げた。

足が大きく開かされ、先ほどまでほぐしていた場所に質量の大きなものが押し当てられる。
思わず息を飲んだレイは、上から見下ろす赤い瞳に射抜かれ、捕食者に囚われた獲物のように動けなくなった。
ただ捕食される瞬間を予感し、シーツを掴み、目をぎゅっと閉じて衝撃が来るのを待つ。

獲物を定めた主人の大きな手が中途半端に絡まっていたレイのズボンを抜き取り、シャツをたくし上げ・・・ なぜかそこで止まった。

そろそろと目を開くと、主人は険しい顔をしてレイの腹を見ていた。

「ご主人様?」
「これはなんだ?」

主人の手がレイの腹を撫でる。一瞬意味が分からなかったが、すぐに思い出した。
暴行された時のアザが、まだ体のあちこちに残っていたのだった。もう痛みはないものの、確かに見た目は最悪だろう。

「奴隷商人にやられたのか?」
「いえ。これはその、ちょっとした行き違いで・・・」

違法な運び屋をやったうえ、やばい奴らに捕まって殴られました、とは言いずらい。

言葉を濁したレイをどう思ったのか、主人は手を引いてレイの体を起こさせた。それから、レイの腹に手を当てる。
何をするのだろうと見ていると、次の瞬間主人の手から光が沸き起こった。

「え・・・」

アザのあるところがほんのりと温かくなり、キラキラとした白い光に包まれる。
その光が強くなり、一瞬にして消えた。消えた後は、その光が連れて行ってしまったようにレイの腹や腕に散っていたアザが無くなっていた。

「これ、魔法ですか!?」
「あ?ああ。そうだが」
「すごい!初めて見ました!」

シャツをまくり上げて隅々まで確認するが、全身に広がっていたアザが全てきれいに消えている。
レイは感動して主人を見上げた。

「すごいです!ご主人様は魔法が使えるのですね!?」

興奮してすごいすごいと繰り返していたが、主人が無表情にこっちを見ているのに気が付いて、しまったと思った。
感動しすぎて、また自分の役割を忘れてしまった。
レイはすかさずベッドの上で土下座した。

「申し訳ありません、ご主人様。続きを・・・」
「やめろ!」

強めに拒絶されて、レイは伸ばしかけていた手をひっこめた。

「いや。いい。今日はもう部屋に戻れ」

言われて、ちらりと主人の下半身を見る。立ち上がっていたはずの主人のモノは、今のやりとりのせいかすっかり元通りになっていた。レイのアザのせいで気分がそがれてしまったのだろう。
レイは上げていた頭を再び下げた。

「はい。それでは失礼させていただきます、ご主人様。・・・あの、服を着ても?」

主人の中には奴隷に裸で過ごすように命じる人もいると聞くので、一応確認を取る。

「当たり前だろう」

怒ったように言われ、慌ててズボンをはき、シャツを直した。

「では、失礼します」

一度頭を床に擦り付けてから出ていこうとしたところで、また呼び止められた。

「・・・まて。なぜ四つん這いなんだ」
「? 奴隷の基本姿勢ですけど」
「立って歩け」
「いいんですか?」
「いいと言っているだろう!」

怒鳴られた。短気な人らしい。
しかし、立って歩いていいというのは助かる。ずっと四つん這いでは膝がおかしくなってしまう。
立ち上がり、もう一度退出の礼をして部屋を出た。

そのまま行きかけて、レイは立ち止まった。よく考えると、奴隷部屋の場所を聞いていなかった。
戻って聞こうかとも思ったが、あまり奴隷のことで主人の手を煩わせるわけにはいかない。

まぁ、明日聞くことにして今日はその辺で寝よう。
レイはあくびをしながら廊下を歩いて行った。



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