上 下
242 / 262
クーン20歳

第241話 ローシェ・ボル

しおりを挟む
 さて、ニールスを除く【雲外蒼天】のメンバー5人はやっとニールスの手がかりを得た訳だが、この後どうするかで揉めた。
 その訳は・・・・

「え?あっちでしょ?」
「何言っているのよ、向こうよ。」
「ちょちょ一寸待って!一体何を聞いていたのよ!このまま回れ右よ回れ右!」
「そうじゃないでしょ!前進あるのみよ!交代しても手がかりなんてないんだから!」
「山の方へドラゴンが飛んでいくのを見たという目撃情報があるのですよ?そちらに向かいませんか?」

 若干1名ほど正解なのだが、皆自分の直感を信じてやまない。
 その結果真実が混じっている事に気付かず御覧のありさま。

 しかしそれは全否定された。
「目撃情報って、一体いつの話よ?」
「は、半年ほど前と言っていました・・・・」

「そんな半年も前の話なんてあてにならない!」
「そうよそうよ!それに私が聞いたのは、空高くへ消え去ったドラゴンの事ばかりだったわよ!」

 確かにドラゴンは空高く上昇し、その後何処かへと去った。

 しかしその後ドラゴンを密かに追跡していた冒険者が居たのだ。
 その冒険者によれば、山の向こうへ飛んでいったとの事。

 彼女の名は、

 ローシェ・ボル

 水魔法と投擲スキルの持ち主である。
 そんな彼女は内気で内向的、そして引っ込み思案。
 唯一男性ではニールスが気にかけてくれ、そして雲外蒼天のメンバーに励まされつつここまでやってきた。そんな彼女は自己主張が乏しすぎる。

 テンションが上がっている時はいいが、そうでない時はこうして正しい意見も自己主張の強いメンバーに押され、消極的になってしまう。

 そんな彼女が聞きだした情報は埋没してしまった・・・・

 その後尤もらしい意見が採用されたが、それはドラゴンがやって来た方向へ移動する事だった。
 ある意味正解かもしれないが、結局ドラゴンが何者で、何が目的だったのかわからずじまい。
 そんな中でこの判断。

「さあ出発だ!!待っていろよニールス!」
「待って下さいノールチェさん!」
「は!ヘンリエッテは相変わらずトロいなあ!こういうのは早いもん勝ちだぜ!という事で、抜け駆け―!」
「あー!もう少しで私にも【ピピー】が!」
「そうよそうよ!5人中3人が【ピーピッ】なのよ!うわあああ!」

 4人は駆けていく。
『うう、絶対信用できる情報だったのに・・・・いつか私の・・・・駄目、無理!』

 こうして5人はニールスの現在地から遠ざかって行く事となる。
 そして当然ながら移動中にドラゴンの目撃情報は多数あった。
 何せドラゴンが今向かっている方向からやってきたからだ。

 半年無駄にした。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。

ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。 剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。 しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。 休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう… そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。 ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。 その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。 それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく…… ※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。 ホットランキング最高位2位でした。 カクヨムにも別シナリオで掲載。

平民として生まれた男、努力でスキルと魔法が使える様になる。〜イージーな世界に生まれ変わった。

モンド
ファンタジー
1人の男が異世界に転生した。 日本に住んでいた頃の記憶を持ったまま、男は前世でサラリーマンとして長年働いてきた経験から。 今度生まれ変われるなら、自由に旅をしながら生きてみたいと思い描いていたのだ。 そんな彼が、15歳の成人の儀式の際に過去の記憶を思い出して旅立つことにした。 特に使命や野心のない男は、好きなように生きることにした。

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

スキル【僕だけの農場】はチートでした~辺境領地を世界で一番住みやすい国にします~

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
旧題:スキル【僕だけの農場】はチートでした なのでお父様の領地を改造していきます!! 僕は異世界転生してしまう 大好きな農場ゲームで、やっと大好きな女の子と結婚まで行ったら過労で死んでしまった 仕事とゲームで過労になってしまったようだ とても可哀そうだと神様が僕だけの農場というスキル、チートを授けてくれた 転生先は貴族と恵まれていると思ったら砂漠と海の領地で作物も育たないダメな領地だった 住民はとてもいい人達で両親もいい人、僕はこの領地をチートの力で一番にしてみせる ◇ HOTランキング一位獲得! 皆さま本当にありがとうございます! 無事に書籍化となり絶賛発売中です よかったら手に取っていただけると嬉しいです これからも日々勉強していきたいと思います ◇ 僕だけの農場二巻発売ということで少しだけウィンたちが前へと進むこととなりました 毎日投稿とはいきませんが少しずつ進んでいきます

魔法が使えないはずのダンジョンで俺だけ魔法を使えるようになったんだが

よっしぃ
ファンタジー
この物語は1人の転生者が死の瀬戸際で前世を思い出し、魔法が使えないはずのダンジョンでだけ自分だけ魔法を使える状態で入れてしまい、その後やはり魔法を使えないはずのダンジョンで低レベルな魔法しか扱えないはずが、イザ使用すると恐ろしい威力を発生し、無双する話。  この世界での名はティモ・フローレク。  気が付けばこの世界にいた。  いたというか前世を思い出した。  どうやら俺は日本で死に、その後この世界へ転生したらしい。  今俺は危機的状況にある。  元々気性の激しい冒険者がいたんだが、そいつが今日機嫌が悪く俺はとばっちりを受けた。  ダンジョンの入り口に突き飛ばされ、激しい衝撃をその身に受けたんだ。  何の事って思うよな?  つまりあれだ、この世界のダンジョンって、魔法が使えない。  魔法を使える状態でダンジョンに入ろうとすると、こうして見えない壁のような何かに遮られ、無理やり通ろうとすれば激しい痛みを伴い、最悪命を落とす。 ではどうするか?  魔法を使えないようにする装備を身に纏いダンジョンに入るしかない。  以前魔力がゼロになったら入れるんじゃね?昔色々な連中がチャレンジしたが、入ったはいいが魔力が回復した瞬間拒絶された。  勿論ダンジョン内でそれを外せばたちまち酷い痛みを伴い堪えられなくなる。  そんな壁に今俺は無理やり押し付けられ酷い痛みに藻掻いている。  俺を視えない壁に押し付けた奴は笑っている。  因みに俺は魔法を殆んど扱えない。  いや、正確に言えば最低レベルの魔法しか扱えない。  そんな俺は何とか回復させ脱出しようとしたのだが・・・・途中で意識を失った。  で、気が付けばこうして前世を思い出し、しかもダンジョンの中。  げ!俺魔法を遮断するアイテムを持っていないんだが?

貴族に転生してユニークスキル【迷宮】を獲得した俺は、次の人生こそ誰よりも幸せになることを目指す

名無し
ファンタジー
両親に愛されなかったことの不満を抱えながら交通事故で亡くなった主人公。気が付いたとき、彼は貴族の長男ルーフ・ベルシュタインとして転生しており、家族から愛されて育っていた。ルーフはこの幸せを手放したくなくて、前世で両親を憎んで自堕落な生き方をしてきたことを悔い改め、この異世界では後悔しないように高みを目指して生きようと誓うのだった。

捨て子の僕が公爵家の跡取り⁉~喋る聖剣とモフモフに助けられて波乱の人生を生きてます~

伽羅
ファンタジー
 物心がついた頃から孤児院で育った僕は高熱を出して寝込んだ後で自分が転生者だと思い出した。そして10歳の時に孤児院で火事に遭遇する。もう駄目だ! と思った時に助けてくれたのは、不思議な聖剣だった。その聖剣が言うにはどうやら僕は公爵家の跡取りらしい。孤児院を逃げ出した僕は聖剣とモフモフに助けられながら生家を目指す。

処理中です...