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クーン20歳

第237話 ニールスの戦い

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クーンがニールスにいがどうしているのか心配している頃、ニールスは・・・・

「これで最後です!」
 剣に纏う炎は全てを焼き尽くす。
 炎はニールスの剣から離れ、悪魔を焼き尽くす。

『GUGYAAAAAAAA!』
 悪魔は倒れた。

「うぐ、流石はデーモン。しかしこれで僕は力を使い果たした・・・・死体を焼く事すら敵わない。」
 呟きと共にその場に倒れる。

 その瞬間、周囲を囲っていた空間が砕け散り、一頭のドラゴンがニールスの居る場所へ突っ込んできた。
「まだいたのですか?もう何も見えないんですよ、申し訳ない。あれが最後と思っていたので全ての力を出し尽くしました・・・・クーン、後を託します。」
 ニールス・カウペル 24歳。
 その名は知らぬ者はいないと言う程で、悪魔を討伐する事を己の使命とし、世界中を駆け巡りこうして地道に仕留めてきた。

 決して油断はしていなかったのだが、とある理由から力の大半を封じられてしまい、本来の力を十全に発揮できないまま悪魔に挑む事となり、辛うじて仕留める事が出来たが、最後の一撃を己の命を燃やす事で得ていたので、もうニールスに生気は殆どない。

 そこに人がいれば、死相が出ているのに気付いただろう。
 ドラゴンはニールスを見ると口を大きくあけ、周囲にブレスを吐いた。
 人知れずこのままこの場で朽ち果てると思われていたが、目の前のドラゴンは容赦がない。

 その後、地面に横たわっているニールスに何かを吐き出した。
 ニールスは凄まじい蒸気に覆われてしまった。
 さらに追い打ちをかけるようにドラゴンはニールスを口に放り込んでしまった。
 そして・・・・

 周囲を見渡したドラゴンは、満足そうな表情と共に、空の彼方へと消えていった。


 ・・・・
 ・・・
 ・・
 ・

 かつて魔大陸にも多数のドラゴンが生息していたという。
 だが魔族が栄えると共に、その姿は殆ど見られなくなってしまった。

 しかし実際には違う理由があった。

 人類が栄えると同時に魔族もその勢力を増していたのだ。
 だがある時魔族は知らず禁を犯してしまった。
 悪魔と言われる種族を地上へ出してしまったのだ。
 地下深くに住んでいた悪魔は、はるか以前に1人の魔族によって地下へ封じられた。
 本来悪魔はとある出入り口を用い地上へ出ていたのだが、その出入り口を封じられたのだ。

 その封印も厳重に秘匿され、二度とその封は発見される事はないだろう、そう思われていた。
 世界樹による封印。但し悪魔を抑え込むため、世界樹の生命力をもってしても自らの成長力を全て封印の維持に使うしかなく、数千年経っても全く成長していなかった。


 だが数千年の時が経ち、地下に異常が発生、その時に世界樹を秘匿していた一部が地上へ出てしまったのだ。
 それをたまたま魔族の集団が襲撃されており、戦闘中に偶然秘匿していた部分ごと封印の一部が破壊されてしまったのだ。つまり世界樹は折れてしまったのだ。


 そして悪魔が地上に出てきた。世界樹を見ると食べ、力を増したデーモン。
 ニールスが最後に戦っていた個体だ。


 これら悪魔の出現によって一部の種族を除き、魔大陸の魔族は壊滅的な被害を被った。

 生き残ったのは世界樹を中心とした場所で生活をするエルフ族と、ごく一部の魔族のみ。

 クーンが魔大陸へ向かったが、殆んど魔族を見なかったのはこの為だ。

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