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クランとしての試練

第134話 とある秘密

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 あれとは【ダイス】の事らしい。
 秘密って言っても、俺がこの世界に転生させられた時に、確か手にしたまま転生した記憶がある。何せ赤ん坊として転生したからな。
 さらに言えば、10歳の時まで日本の、つまり前世を思い出す事なく暮らしていたから記憶があいまいになってしまうのは仕方がないだろう?

「余には、未来を、過去を視る事が出来るスキルがある。余の一族が王族たる所以だ。」

 国王がスキルについて語り始めたが、未来が見えるのか?
 過去も?

 これ、日本だったら宝くじやギャンブルで金儲けできまくりじゃないか!
 いやまて、相手は国王だ。
 金なんて今更ギャンブルで増やす必要が無いな。
 じゃあ何だ?敵の侵略を未然に防ぐのか?
 俺が黙っているのをどう判断したのかは謎だが、国王は話を続けるようだ。

「余のスキルをもってしても、クーンの事はまるで視えなかったのだ。」
 うん?未来と過去が見えなかったって事か?

「すまんが何を言いたいのか分からん。」

 因みに俺は国王に対してため口、いや、それより酷い言葉で話をしている。
 理由を教えてくれないが、それでいいそうだ。贖罪のつもりか?
 国王にこんな口をきけば、本来なら不敬罪等でしょっ引かれるらしい。

「そうだな、今の話はこれから話す事とは直接の関係はない。だが知っておいてほしかったのだ。クーンは他の人間と違う、特別な存在なのだという事を。」
 何だか話が大きくなってないか?
「何だよ特別な存在って。」
「クーンは神に選ばれたのだよ。」
 選ばれてねえぞ!
【あ、やべ】とか言っていたし、ミスだよミス!
 まあ言っても理解できんだろうし、黙っておこう。
「これも今回の話とは関係が無い。そろそろ本題に入るぞ。クーンが【ダイス】と呼んでいるあの【神器】だが、似た様な魔道具がこの世に出回っているのだよ。」
 どういう事だ?
「そんなのが出回っていたら、大騒ぎじゃないのか?」
「そんな事はない。事実クーンも一度使用している。」
 なんだって!俺も使ったって?覚えがないぞ。

「人は皆10歳でスキルを調べてもらうだろう。あの時に使用する魔道具、実は複数の魔道具の集合体なのだ。」

 スキルを調べてもらって、その後カードを発行してもらったんだよな。
 ひとつの魔道具・・・・ってあれがそうか。

「これはごく一部の人間しか知らないのだが、スキルを調べる魔道具ではないのだ。」
 俺は聞いてはいけない事の様な気がしたが、ここまで来たら聞いておきたい。

「ちょっと待て!どういう意味だ?」
「あれの中にはな、スキルの数を決める【神器】が入っているのだよ。それを使う事により、スキルの数が決まるのだ。」
「調べるのではなく、決めるって?」
「ああ、あの中には神から授かった【ダイス】が入っているのだよ。それに、どの様なスキルを得たのかは、鑑定持ちが調べるのだよ。」
 なんてこったい!
 じゃあ、俺が持っている【ダイス】、あれはこういう使い方をするのか?おかしい。
 何だか違和感を感じるな。




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