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クランとしての試練

第115話 ステータスの偽装

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「くそっ!放せよ!」

 雲外蒼天の頼れるメンバー、ノールチェさんが誰かを引きずってこっちに来るのが見えた。

 どうやらしょっ引かれているのは、最近クランに加入したメンバーのようだ。

「それどうしたの?」
 多分ろくでもない話に違いないが、聞いておかないと。

「ステータスを偽っていたのが分かってな。ほら、クーンが酷い目に遭ったのはこいつのせいだよ。」
 僕達のクラン【以一当千】はスキルが1及び2持ちしか加入できない。
 金はあるから、ステータスの偽装や、配達物に何か仕込みが無いか等、調べる事の出来る魔道具をかなりの金額だったが購入。

 早速セバスチャンが使っている。

 で、何故こうした不届き者の加入を許してしまったのかと言えば、最近調べる事が多すぎて、魔道具の魔力が不足してしまい、調べる為には魔道具が使用可能になるのを待たなければならず、順番待ちだったからだ。
 今回、俺の惨状が発覚後、万が一と思い全員のカードを調べたそうだ。

 そして目の前の展開。
 調べると10スキル持ちだったようで、隠蔽スキルを所持していたのだとか。
 スキル以外にも、姿まで変えていた念の入りよう。
 今の姿はどう見ても20代。
 さっきまでは10歳だったはずなのだが、かけ離れたこの姿。隠蔽ってえげつねえな。
 で、こいつが持ち込んだ荷物の中に、怪しげな魔道具・・・・には見えず、一見すると単なる荷物にしか見えない特殊な魔道具が紛れ込んでいて、それが発動していたらしい。
 セバスチャンも手紙は調べたが、新規加入メンバーの荷物までは調べきれなかったらしい。

「クーン様申し訳ございませぬ。これがもし貴族の当主を狙った暗殺であれば、恐らく成功していたでしょう。かくなる上は、死んでお詫びを・・・・」
 俺はとめた。
「血で汚れるから駄目だ。それに解決するまで死ぬの禁止。こいつは【一騎当千】のメンバーだ。今のごたごたが解決するまで生きていないとこっちが困る。で、解決したら死ぬ前に来るように。もしかして見過ごしがあるかもしれないからな。」
 何でこう死んで詫びるとか言うかなあ。

 さて、偽装していたこいつの扱いと荷物をどうするかだが、荷物は没収、地中深く埋めるか、焼いてしまうかだな。
 もし埋めて影響があれば困るから焼いてしまうのがいいな。調べようにもまた発動すると厄介だ。封印できればそれはそれでいいのだが。

 俺はヤーナに託した。
 精霊が運んでいった。
 イフリートを召喚し、焼却するらしい。

「俺は何も知らん!」
「ほらほら暴れるんじゃないよ。あ、クーン、こいつを拘束しといてくれよ。」
 ノールチェさんは大の男が暴れても問題ないようで、見た目に反して凄い力だ。

「あ、ごめんごめん、そうするよ。」
 俺は【土】を用い、こいつを拘束した。
 ふん!外せまい!!!
「ぐ!どうなってやがる!全く動かねえじゃないか!いいのか俺をこんな目に合わせて!」
「ステータスを偽装して姿まで変えてクランに加入するのは重犯罪だ。そうだよなサスキア。」
 サスキアが近くに居たので聞いてみた。
「それはもう、即奴隷落ちの上に身分と所属のはく奪、それに全スキルの封印ですわ。」

「な、何だと!俺にそんな扱いをするとは許せん!こ、こんなはずでは・・・・成功すれば幹部にしてやるって代表が・・・・ぎゃあああ!!!!」

 ・・・・問題はまだ山積みだが、まだこんな事が起こりえるのだろうか。

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