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クランとしての試練

第114話 忍び寄る影

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 俺は気を失っていたのか?

 状況が分からないが、起きなければ!

 俺は勢いよく起きた!
 ガツン!

「い、いたああ―――――い!!ってクーン、気が付いたのね!びっくりしたわもう。突然顔中から血を出すんだもの。フロリーナが何とか回復してくれたけど、血を失っているから急に動いたらってこら!動いちゃ駄目って言った傍から!」
 ヤーナが俺の看病をしていてくれたようだが、今は気にしている時間が無い。

「ヤーナ、ディーデリックを呼ぶんだ。ブラックホールドラゴンと共に急ぎ動くように。それにシロとポチ、天ちゃんも総動員だ!急げ!」
「く、クーン?どうしたのよそんなに慌てて。訳が分からないから怖いわよ!」
 すまんが一刻を争う。

「後で説明をする!それに集められるだけ人も従魔も集めてくれ!ニールスにいは絶対だ!」
 俺は再びベッドに倒れた。

 ・・・・
 ・・・
 ・・
 ・

 いかん!倒れている場合じゃないってのに!

「クーンさま?これを飲んで下さい。血を失った時に良いと聞きましたので、用意をしてもらいましたわ。」

 何故かフロリーナがいる。
 ヤーナは俺の言いつけで、色々動いてくれているんだな。

 俺は何か得体のしれない液体を飲んだ。
 よくわからないが、血を失ったって、貧血状態であれば鉄分の補充?
 まあ少し落ち着けば回復するだろう。

 あとこの液体、何だか落ち着くなあ。何だろう。
 味わってみる・・・・ルイボスティー?
 確かリラックス効果があったっけ?鉄分の補給にもいいんだよな。何だか本当に落ち着く。

 そんな事を思っていると、何やら微かに声が聞こえる。

 言い争っているのか議論しているのか、何やら大きな声で話し合っているのかな?

 上体を起こし、暫くしてから起き上がってみる。
 大丈夫だ。
 まだ少しふらつくが、壁を伝い声のする方に向かうと、どうやらクランのメンバーが、集められるだけ集まっていたようだ。

 主要なメンバーは皆いるようで、ニールスにいがセバスチャンと何か話しているようだ。

「・・・・に仕掛けはございませぬ。恐らく言葉の、特定の言葉を発すると何かが発動する仕組みと思われます。」
 セバスチャンが言っているのは手紙の事か?
「ではこの場に何かが持ち込まれていたという事かい?」
「分かりませぬ。」

 俺は部屋に入った。

「クーン、歩いて大丈夫なのか?」
「ニールスにい、今は気分がよくてここまで歩いても大丈夫だったよ。それより急いで出発しないと。もう準備はできているよね?」

「どうしたんだいクーン。僕もセバスチャンも手紙を読んだけれど、全く理解できなかったんだよ。そしてこの場に集まったクランメンバー全員に話したけれど、誰も理解できなかったんだ。」

 あれは一体誰の差し出した手紙だったのだろう。
 内容も意味不明で繋がりが無いように見えて、その実明らかに俺を脅していた。
 もし真実であれば急ぎ守らなくては。
【バリ】の意味は分からないけれど、バリって製品を加工した時に、どうしても出る余分な出っ張りなんだよな。それが何を意味するのかは分からなかったけれど、【そろそろ新品に替え時】と言うのが気になるし、【コア】が何を指すのかもわからない。いやそうじゃない。分かっているはずだ。
【靴を五足】だったか、それもそうだ。
 何が言いたいって、なんでこういう言い回しをしているか、それが分からないからだ。


 しかしわかるのは、あれは俺達が暮らしていて、今はもうない領地出身の人を指しているのは明白なんだ。その人達・・・・父や母も含め・・・・に危険が迫っている!

 そんな事を思っていると、ヤーナが血相を変えてやってきた。
「見つけたわ!クーンをこんなにした正体が分かったの

よ!ただし触ると危険だから何もしていないけれど、どうして誰も気が付かなかったのよ!」

 凄く興奮しているな。顔を真っ赤にさせて、息を切らせて汗を・・・・は!俺は一体何を考えているんだ!

「ヤーナ、何を見つけたんだ?」
「おかしいとは思っていたし、全員の身元を調べるには時間が無さすぎて!いい事クーン、あんたがあの手紙を読んだ時に、近くに見慣れないアイテムはなかった?」

「うーん、新たなクランメンバーの私物を一旦置いてあったりはしていたけれど、それ以外に何かあったかなあ?」
「それよそれ!新規の加入者の中に、敵のメンバーが紛れていたのよ!」

 何それ怖い。

「じゃあ新たなクランメンバーを全員除名する?」
「それは悪手よ!敵の思うつぼだわ!」
 ではどうしろと?



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