693 / 735
外伝 章努の話
貸しひとつだよ?
しおりを挟む
【うわ!いきなりかい?契約を結んで結果を残す必要があるとはいえ、これはいくらなんでも酷いじゃないか?】
野良神は章の周囲に発生したどす黒い煙のような霧を確認し、愚痴を発した。
【反応がないね。我を見失ったか。さて皇女さん、こういう時はどうすべきだと思う?】
ピートロネラは考えていた。
黒い煙は何を意味するのだろう、と。
【分かりません。何とか黒い煙を取り除きたい所ですが、発生した原因を突き止めないと、今後同じ事を繰り返すかもしれません。野良神さんには解決法がありますか?】
【あるのはあるんだが・・・・仕方がない、契約の一部を分けてくれたんだ、ここはサービスと言いたいけれど、貸しひとつだよ?】
そう言いつつ野良神は章の深層へ語り掛けた。
【おーい、君もそろそろ諦めて現状を受け入れたほうがいいと思うよ?ほら、ピートロネラ皇女ってかわいいじゃないかい?かっこいい所を見せればきっと惚れてくれるよ?】
その瞬間、一ほんのわずかながら煙の威力が少し落ちた。
【ピートロネラが俺に惚れるのか?嘘じゃねえだろうな?】
野良神は考えた。
実は既に、ピートロネラの心は章の物と言っていいほどなのだが、章に対しては
【皇女さんから直接聞いた訳じゃないけれど、少し落ち着いてから確認してみるといい。きっと嬉しい返事が返ってくると思うからね。それにさっき夢と思っていたあれ、彼女も僕も同じ体験を頭の中でしているんだよ?】
野良神は慎重に言葉を選んだ。
嘘を付けない。
なのである意味あいまいな言葉を章に伝えねばならない。
幸いな事に、章は自分に都合のいい解釈をした様だ。
そして章の脳波を見極める。
ここからは今までの経験が頼りだ。
【あんな好みの女がマジ俺に惚れるってか!あ―――だけどさ、俺やっちまったんだよなあ。それと頭の中って何の事だ?今関係ある?】
【それを気にする必要はないさ。むしろ女性にとっては喜ばしい事だと思うよ?それとまあ、今は頭の中に関しては関係ない・・・・とは言わないけれど、後回しでも問題ないね。】
【そんな訳あるか!それに後回し?まあいい!それよりもう俺は終わりなんだよ!やらかした事は隠せない!うう、俺は男として終わったんだよ!】
【だってね君、皇女さんを魅力的に感じ、その結果身体は正直に応えたんだ。むしろご褒美さ。だからそんな悲し事を言わないでおくれよ。】
この頃になると野良神は自分で何を言っているのか理解しがたい状況になっていた。
章の脳波に合わせて導き出した対応なのだが、正直なところこいつ大丈夫なのか?と思ったとか思わなかったとか。
だが、頭の中で起こった出来事をどうやら夢と思っている事から、彼はこの世界の人間とは何か大きな違いがあると感じ、こうした対応をしようと考えた野良神。
そして暫くして黒い煙は消えた。
【やっと落ち着いたようだね。じゃあ確かめてみよう。丁度皇女さんがこっちに来るからね、聞いてみるといい。】
【おいコラちょっと待て!聞くって何を聞くんだ!ピートロネラはまあいい!駄目なのは周囲にいる4人の女だ!】
【あ!】
野良神はすっかり忘れていたが、今回の元凶はこの4人だったりする。
だが野良神の心配は杞憂に終わった。
「ショー様!」
ピートロネラは一切の躊躇なく章に抱き着いたからだ。
「うわ!嫁入り前の娘が軽々しく男に抱き着くんじゃねえ!」
嬉しくもついそんな言葉を言ってしまう。
「何を言っているのですか?ショー様は私の伴侶ですから問題ありません!」
「伴侶なら問題ないのか?」
「ええ、問題ありません。」
「ところで一つ聞いていい?」
「何なりと。」
「伴侶って何?」
ピートロネラは固まってしまった。
野良神は章の周囲に発生したどす黒い煙のような霧を確認し、愚痴を発した。
【反応がないね。我を見失ったか。さて皇女さん、こういう時はどうすべきだと思う?】
ピートロネラは考えていた。
黒い煙は何を意味するのだろう、と。
【分かりません。何とか黒い煙を取り除きたい所ですが、発生した原因を突き止めないと、今後同じ事を繰り返すかもしれません。野良神さんには解決法がありますか?】
【あるのはあるんだが・・・・仕方がない、契約の一部を分けてくれたんだ、ここはサービスと言いたいけれど、貸しひとつだよ?】
そう言いつつ野良神は章の深層へ語り掛けた。
【おーい、君もそろそろ諦めて現状を受け入れたほうがいいと思うよ?ほら、ピートロネラ皇女ってかわいいじゃないかい?かっこいい所を見せればきっと惚れてくれるよ?】
その瞬間、一ほんのわずかながら煙の威力が少し落ちた。
【ピートロネラが俺に惚れるのか?嘘じゃねえだろうな?】
野良神は考えた。
実は既に、ピートロネラの心は章の物と言っていいほどなのだが、章に対しては
【皇女さんから直接聞いた訳じゃないけれど、少し落ち着いてから確認してみるといい。きっと嬉しい返事が返ってくると思うからね。それにさっき夢と思っていたあれ、彼女も僕も同じ体験を頭の中でしているんだよ?】
野良神は慎重に言葉を選んだ。
嘘を付けない。
なのである意味あいまいな言葉を章に伝えねばならない。
幸いな事に、章は自分に都合のいい解釈をした様だ。
そして章の脳波を見極める。
ここからは今までの経験が頼りだ。
【あんな好みの女がマジ俺に惚れるってか!あ―――だけどさ、俺やっちまったんだよなあ。それと頭の中って何の事だ?今関係ある?】
【それを気にする必要はないさ。むしろ女性にとっては喜ばしい事だと思うよ?それとまあ、今は頭の中に関しては関係ない・・・・とは言わないけれど、後回しでも問題ないね。】
【そんな訳あるか!それに後回し?まあいい!それよりもう俺は終わりなんだよ!やらかした事は隠せない!うう、俺は男として終わったんだよ!】
【だってね君、皇女さんを魅力的に感じ、その結果身体は正直に応えたんだ。むしろご褒美さ。だからそんな悲し事を言わないでおくれよ。】
この頃になると野良神は自分で何を言っているのか理解しがたい状況になっていた。
章の脳波に合わせて導き出した対応なのだが、正直なところこいつ大丈夫なのか?と思ったとか思わなかったとか。
だが、頭の中で起こった出来事をどうやら夢と思っている事から、彼はこの世界の人間とは何か大きな違いがあると感じ、こうした対応をしようと考えた野良神。
そして暫くして黒い煙は消えた。
【やっと落ち着いたようだね。じゃあ確かめてみよう。丁度皇女さんがこっちに来るからね、聞いてみるといい。】
【おいコラちょっと待て!聞くって何を聞くんだ!ピートロネラはまあいい!駄目なのは周囲にいる4人の女だ!】
【あ!】
野良神はすっかり忘れていたが、今回の元凶はこの4人だったりする。
だが野良神の心配は杞憂に終わった。
「ショー様!」
ピートロネラは一切の躊躇なく章に抱き着いたからだ。
「うわ!嫁入り前の娘が軽々しく男に抱き着くんじゃねえ!」
嬉しくもついそんな言葉を言ってしまう。
「何を言っているのですか?ショー様は私の伴侶ですから問題ありません!」
「伴侶なら問題ないのか?」
「ええ、問題ありません。」
「ところで一つ聞いていい?」
「何なりと。」
「伴侶って何?」
ピートロネラは固まってしまった。
1
お気に入りに追加
4,670
あなたにおすすめの小説
14歳までレベル1..なので1ルークなんて言われていました。だけど何でかスキルが自由に得られるので製作系スキルで楽して暮らしたいと思います
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はルーク
普通の人は15歳までに3~5レベルになるはずなのに僕は14歳で1のまま、なので村の同い年のジグとザグにはいじめられてました。
だけど15歳の恩恵の儀で自分のスキルカードを得て人生が一転していきました。
洗濯しか取り柄のなかった僕が何とか楽して暮らしていきます。
------
この子のおかげで作家デビューできました
ありがとうルーク、いつか日の目を見れればいいのですが
5歳で前世の記憶が混入してきた --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--
ばふぉりん
ファンタジー
「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は
「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」
この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。
剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。
そんな中、この五歳児が得たスキルは
□□□□
もはや文字ですら無かった
~~~~~~~~~~~~~~~~~
本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。
本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。
異世界に転生した俺は元の世界に帰りたい……て思ってたけど気が付いたら世界最強になってました
ゆーき@書籍発売中
ファンタジー
ゲームが好きな俺、荒木優斗はある日、元クラスメイトの桜井幸太によって殺されてしまう。しかし、神のおかげで世界最高の力を持って別世界に転生することになる。ただ、神の未来視でも逮捕されないとでている桜井を逮捕させてあげるために元の世界に戻ることを決意する。元の世界に戻るため、〈転移〉の魔法を求めて異世界を無双する。ただ案外異世界ライフが楽しくてちょくちょくそのことを忘れてしまうが……
なろう、カクヨムでも投稿しています。
母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)
いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。
全く親父の奴!勝手に消えやがって!
親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。
俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。
母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。
なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな?
なら、出ていくよ!
俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ!
これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。
カクヨム様にて先行掲載中です。
不定期更新です。
【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~
みやま たつむ
ファンタジー
【本編完結しました(812話)/後日譚を書くために連載中にしています。ご承知おきください】
事故死したところを別の世界に連れてかれた陽キャグループと、巻き込まれて事故死した事なかれ主義の静人。
神様から強力な加護をもらって魔物をちぎっては投げ~、ちぎっては投げ~―――なんて事をせずに、勢いで作ってしまったホムンクルスにお店を開かせて面倒な事を押し付けて自由に生きる事にした。
作った魔道具はどんな使われ方をしているのか知らないまま「のんびり気ままに好きなように生きるんだ」と魔物なんてほっといて好き勝手生きていきたい静人の物語。
「まあ、そんな平穏な生活は転移した時点で無理じゃけどな」と最高神は思うのだが―――。
※「小説家になろう」と「カクヨム」で同時掲載しております。
こちらの異世界で頑張ります
kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で
魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。
様々の事が起こり解決していく
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!
七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」
その天使の言葉は善意からなのか?
異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか?
そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。
ただし、その扱いが難しいものだった。
転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。
基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。
○○○「これは私とのラブストーリーなの!」
主人公「いや、それは違うな」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる