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外伝  章努の話 

冒険者ギルドにて

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現実は厳しい。
 ピートロネラは念の為に冒険者ギルドへ向かった。
 兵士の話が本当であれば、既にゆうしゃ様は死んでいて、死体は冒険者ギルドでカードを含め確認したという。

「確認しに行ってまいります。」
「姫様お待ちを!姫様程の高貴な方が出入りする場所ではありません!」

「そうは言ってもゆうしゃ様の死体があると言う事です。絆を今も感じていますから人違いなのは明らかです。しかし死体の正体は誰なのか確認する必要があります。それに色々な事実も知りたいですし。」

 侍女は諦めた。
 普段は優しい姫だが、一度決めれば意思を曲げる事はない。

 ・・・・
 ・・・
 ・・
 ・

「何ですって!既に焼いてしまったですって!」
 ピートロネラは職員を問い詰めていた。

「そうは言ってもお姫様、あのまま死体を放置すれば病気の元になったり腐ったりで大変なのですよ。それにですね、既に1週間以上経っていますし、陛下へ報告は致しましたがその後何の沙汰もありません。そうなればわざわざ魔法で保管するより焼いてしまった方が安全だったのですよ。それと、こちらはカードです。そして焼いたのは私達ではなく、教会ですからね!」
 ピートロネラはカードを受け取った。

 カードは確かにピートロネラが用意した物だった。
 しかし何かがおかしい。
 カードに記載しているレベルが変だったのだ。
 確かレベルは0だったはずなのに、ここにはレベル4となっていた。
 こんな短期間にここまで上がるのも異常だが、レッドボアに襲われたと言うが、レベル4であればレッドボア相手に後れを取る事は考えにくい。

 ピートロネラは暫くカードを見た後、ふと思いついた事があった。
 ゆうしゃ様専用の装備はどうしたのだろう、と。

「死体が身につけていた物や所持品はどうしましたか?」

「少々お待ちを・・・・メーユ・ミッフという人物が死体を発見し、ここへ運んでいますね。所持品と言いますか、死体になってしまわれた人物の近くにあった物品や装備品は、暗黙の了解で発見者の物になるのが慣例ですから、恐らくはミッフという人物が持っていったのでしょう。少なくとも買取は致していません。買い取ったのはレッドボアですね。そして何度も言いますが、確認した後は教会が死体を引き取っていますからね!」
 暫く悩んだ後、
「カードは貰っていきますわ。」
「あ、はい!お願いします!これでこの件は私共の手を離れた、で宜しいでしょね?」

「そうですわね。私が全て引き受けますから、解決と処理して下さって結構ですわ。」

 死体は既になく、残されていたのはカードのみ。
 こうなればメーユ・ミッフという人物を探すしかない。
 それよりも絆を感じているので、そちらへ向かうほうがよさそう。そう考えたピートロネラは冒険者ギルドを後にした。
 教会へは既に護衛の女性騎士を向かわせている。

 ピートロネラは侍女の手配した魔道車へ乗り込み、恐らくゆうしゃ様は既に国境を超えたと思われるので、急ぎ国境へ向かった。 
 その前に道中教会があるので、先行させている女性騎士と合流する事となる。
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